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一方、綾子達はどんどん先に進み、しばらくすると開けた場所に社が見えてきた。

「うわぁ…大きなお社…」

綾子は、思わずそうつぶやく少女の手を引いて、社へと近づいていった。
すると、急に当たりの温度が急激に下がり始め、
穏やかな気候だったはずの当たり一面が、雪と氷に覆われ始めた。

(うっわ…さっきの杏ちゃんといい、亜梨ちゃんまでブチギレてる…流石に、やりすぎたか…)

そんな事を思いながら、社の正面に立つと、急に冷たい風が吹き、社の正面から1人の女性、
無表情のため一段と機嫌が悪そうに見える亜梨馬が現れた。

思わず、綾子の手を強く握った少女だったが、女性と目があった瞬間、
今までにない恐怖でその場から動けなくなった。

「……」

亜梨馬が一旦少女に視線を向け、次いで綾子に視線を向けると、無表情のまま手を前にすっとを差し出した。
すると、手のひらから氷の塊が綾子めがけて飛んできて、少女に当たらない具合で、綾子の体を傷つけた。

「きゃっ?!だ、大丈夫?!」
「………」

片手を少女が握っているため、綾子は片手で思わぬ攻撃を防いだのだが、
避けきれなかった氷が綾子の仮面を砕いていた。
氷の攻撃を防ごうとした片腕が、うまい具合に顔を隠していたおかげで、
かろうじて顔を晒すことはなかったが、身体中所々傷ついて血が流れた。

「…行け」

亜梨馬が冷たくそう言うと、綾子は急に少女の手を離し、その場から消えた。

「え?!」
「安心していいよ…あなたは傷つけない。悪い子にはお仕置きしただけ。お遊びが過ぎたからねあの子…」
「でも、ずっと私の側に…!」
「それでもだめ…それに、甘やかすと調子に乗るからね…」

亜梨馬は、少女に対し穏やかに話し始めると、当たり一面の氷や雪は全て消えていた。



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