17





「あの…ここは…」
「ここは、このコミュニティーの要。私がこのコミュニティーの長。迷子になったんでしょ?」
「はい…勝手に入ってしまって…早く出ようと思ったんです…でも、どんどん迷ってしまって…」
「この結界に入ったのも、何かの間違いでしょ?だったら、別にあなたは侵略しに来たわけでもないし、
遊びに来たなら歓迎するよ」

申し訳なさそうに話し始める少女に、亜梨馬は微かに微笑むと、少女を促し社の中へと招き入れた。
はじめ、恐怖と緊張で動けなかった少女だったが、自らコミュニティーの長と名乗り出た女性が、
思いの外優しかったため、恐る恐るだったが、彼女に従い社の中へと入った。

少女が社の中へ消えた時、杏が璃尾狐と琉紅を連れて社へと戻ってきた。
社の中に招かれ、ようやく落ち着きを取り戻していた少女の前に、
3人が現れたことで、恐怖を思い出し悲鳴を上げそうになった。
更に、追い打ちをかけるよう、急に海里がなつを連れて現れたため、少女は再び涙目になった。

「大丈夫。この子達、皆ここの領地の住人達。あなたをここに呼び寄せようと思ったんだけど、
ちょっとそれぞれイタズラが過ぎたようだね…」

口調は優しくも、鋭い目で全員を見舞わたした亜梨馬に、身に覚えのある者達は、
未だ怯えている少女に向かってそれぞれに謝罪をし始めた。

皆の様子を見て、ようやく少女の緊張が完全に取れたとき、
その場にいる全員が鳥肌が立つほどの妙な気配を感じ、今度は少女以外に緊張が走った。

「なによこれ…」
「綾っちの幻術が解けた…というより、解かれた?今度は、本気で侵入者?!」
「杏…様子見てきて。海里となつ、琉紅はこの…えっと…」
「梅流!私、梅流です!」

少女の名前をまだ聞いていなかった亜梨馬に、少女は勢いよく答えた。

「ありがとう。皆自己紹介まだだったね…私は亜梨馬。梅流と海里となつと琉紅、4人はここで待機」
『はい!』

テキパキと指示を出す亜梨馬に、それぞれが自分の役割を把握し、大きな返事をした。

「それから、璃尾狐…」
「それじゃ、私はフリーですね…杏ちゃん達に合流できたら、援護に周ります」
「頼んだ。先行って、私も後で合流する」
「了解です!」

指示を出す亜梨馬に、慣れたようにそれぞれの配置に付く皆に、
梅流は驚きながらも、あまりの無駄のないそれぞれの動きに感動さえ覚えていた。


1/1
prev / next
list



Novel top / Top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -