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そんな所に海里は内心申し訳なく思いながら、
す〜っとチラチラと姿が見えるように少女の周りを動いていた。

少女がうつむいている為、なかなか気づかないので、海里は仕方なく、
側によると、スッと透き通る手で首元に触れた。

「ひっ?!」

突然の感触に、少女が涙を流しながら後ろを見るが、もちろんそこには何もなく、
少女が震える手を胸の前でぎゅっと握り、当たりを警戒するように見ていると、
今度は動く海里の姿を捉えたのか、青ざめた顔でゆっくりと立ち上がった。

立ち上がると、目線が変わり動く海里をはっきりと捉えられ、
少女はガタガタと震えながらゆっくりと一歩を踏み出そうとした。

そのタイミングを見計らい、海里は今までの速さとは比べ物にならないくらいの速さで動き、
少女の正面、顔がくっつくのでは無いかと思える距離まで急に動き、
少女の正面でピタリと止まった。

「ひっ…きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

一瞬息を呑んだものの、こらえきれず、少女は泣きながら悲鳴を上げ、号泣し始めた。

海里は、驚かしたことに満足したのか、そのままスッと姿を消した。
少女の様子に、流石に驚かすことが専売特許という幽霊の海里であったが、
後ろめたさを禁じ得なかった。

少女が泣いている姿を見て、流石に綾子も可愛そうになり、
わざと草の音を立て、少女の正面に現れた。

「ひっ?!」

綾子の姿さえも恐怖を感じたのか、突然の綾子の登場に再度軽い悲鳴を上げた少女だったが、
綾子の姿を確認した瞬間、安心したのか、余計号泣して綾子に抱きついた。

(これは…亜梨ちゃんに怒られるやつだわ…)

驚かせすぎたと、仮面の下で反省しながら、
綾子はそっと少女を抱きしめると、すぐに体を離し、手をつないだ。

「…ひっく…ひっく…」

相当恐怖を感じたのか、綾子の手をギュッと握ったまま、先を進む綾子に従い、
泣き止もうとしない少女に、綾子は激怒する亜梨馬を想像しながら最後の場所、
その亜梨馬がいる社へと足を進めていた。



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