「華菜は、君の事をどう思っているんだ?」
「アイツは・・・解らない。多分、嫌いではない、と思う」
丁度、丁が麦茶を持って茶の間に戻ってくる
紅光と琉菜に手渡し、続けるように促した
「“魔女”と同じ種族であるにも関わらず、嫌いではない、と」
「同じ種族・・・?」
紅光の言葉に月雨が疑問の声を上げる
それから、カラカラと楽しそうに笑った
「いやいや〜同じ種族言うんはあり得んやろー!」
「ちょっと、茶化すな“みだら”」
「み、みだらちゃうわ!!」
「んで、してその根拠は?」
「だって、魔女って女やろ?杯は女やないやん!」
自信満々にビシッと指を差してそう言う
その姿に一気に虚脱感に見舞われる一同
「あの、さぁ・・・漫才じゃねーんだから・・・」
「な、なんや!ほんのジョークやないか!もしかしたら、魔女って“ただのあだ名”の可能性が微レ存・・・!!」
――――ガタンッ!!
月雨がそう言った時だった
桂の手元の麦茶が音を立てて倒れた
茶色い透明な液体が机を伝い、畳へと染み渡っていく
水溜りに映る桂の表情からは――明らかな動揺が見て取れた
「桂、君は――」
紅光が桂にそう言った、刹那――
突如、紅光達の回りに黒い影のような物が複数体現れた
何れも顔の無い人型をしている
それらが無造作に彼らを排除しようと蠢く
「ちょ・・・ッ!!人の家ン中で暴れんな!!」
影の攻撃を避けながら丁が決死の表情でそう叫ぶ
ガシャン、と影の振り下ろした腕が窓ガラスを叩き割る
「コイツらの狙いは私達か・・・!」
「ここじゃ狭い・・・!外へ出るぞ!!」
紅光の指示で桂以外の各々が窓を叩き割り、外へと転がるように出る
丁は最初こそ躊躇っていた物の半ばヤケクソと彼らの後に続いた
「な、なによ、コレ・・・!」
境内にも同じように無数の影が蠢いていた
それぞれが一つの明確な意思があるようにこちらへ向かってくる
神社一帯とその上空を歪な模様のドームが覆っていく
「結界か・・・!」
「外部から完全に遮断されたって訳やな」
「まー・・・ご近所様に怒られないからいいけどよ・・・」
「何呑気なこと言ってるのよ・・・来るわよ!」
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