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「よー来たか、お二人さん」



十干神社に着くと、鳥居に背を預けるようにして丁が立っていた
その頭には無造作にタオルがかけられている


「すまない、遅くなった」

「いや、全然大丈夫。立ち話もなんだから家ん中へどーぞ」

「ってかアンタ何被ってるの?」

「熱いんだよ、目立つし」

「あー・・・」


丁の案内にされ、境内を通る
この段階ではまだ何の気配も感じない
精々、元々居着いている精霊や使い魔の類くらいだ


「今日お兄さんは?」

「いない。遠方に仕事しに行ってる。ったく、この肝心な時に・・・」


正門とは別の入口から家へと入る
隅々まで行き渡った冷房が日に焼けた肌を冷やす
琉那はほっと一息ついた
茶の間へ通されると桂と月雨が既に揃っていた
月雨はまるで自分の家のように寛いでいる


「てめ、なに人のPSP勝手にいじってんだよ」

「進めてやったんやろ、感謝せぇ」


月雨からPSPを奪い取り「茶ァ入れてくる」と部屋を後にし、台所へと向かう
紅光と琉那も各々に腰を下ろした

ふと桂を見ると俯き気味に罰が悪そうな顔をしている
その様子を紅光は訝しげに見ていた
確かに、あの時の桂は錯乱気味であったが最終的には笑顔で自分たちに礼を言ってきたのだ
それがここに来て、翳りが見えるのはやはり――



(――只事では無い、という事か)

「単刀直入に聞こう。君と、華菜はこことは違う世界・・・異世界から来たのか?」


紅光の問いに桂は小さく頷いた


「ああ・・・もう隠す必要もない。オレは、なんとかして華菜を説得して元の世界に帰りたい・・・
オレたちには、もう時間がないんだ」

「時間?」

「自分の体の中に突然異物が入ってきたらどうする?
なんとかして掻き出そうとするよな
“世界”もそれと同じだ
イレギュラーの存在を世界は認めない
必ず何かしらの影響を及ぼす
・・・だから、そうなる前に早く――」


そこで桂は言葉を区切った


神様
魔女
異世界・・・


今まで出てきたワードの中で明確に判明しているのは“華菜と桂が異世界人である”という事と“華菜が神に等しい力を持っている”という事だ
華菜が神に近い力を持っているのならば、彼女の力で異世界へ来る事も可能になる
しかし、最後の一つ・・・“魔女”だけがどうしても繋がらない
桂の説明ではそれが抽象的な物なのか実在の物なのかすら解らない

そして、桂と華菜が異世界人とは言え“人間”であるかどうかも判明していないのだ
何より桂は華菜によって己達の正体を話す事を禁じられている


「・・・ひとつ、聞いてもいいか?」


紅光の言葉に顔を上げる桂
先を促すように小さく頷いた


「君は、“魔女”と同じ種族の者か?」

「・・・・・・ああ」




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