第20章 交錯



「――どうだ、飛影。瑪瑠の居場所は解りそうか?」


気を額の眼に集中させていた飛影は小さく首を振って蔵馬を見た


「…妖力を完全に封じられている。あの両刃って奴も同様だ。探すのは不可能に近いな」

「…そうか…」

「また、振り出しに戻ったな」


S級の妖怪3人が集まっても見つけることが出来ない程、両刃は上手く姿を隠していた


「それと、傷は平気か?蔵馬」

「ああ…なんとかな」


蔵馬は顔をしかめて傷口を見た
恐らく後悔しているのは蔵馬も同じだろう
今まで黙っていた裟羅が俯き加減に口を開いた


「両刃の居場所、だけど…」

「どこにいるのか、解ったのか?」

「…ううん。今どこにいるのか、解った訳じゃない…ただ、彼だったら行きそうな所が、ひとつだけある。もしかしたら…」

「そこにいるかも知れないってか…」

「…ある種の賭けだな」

「裟羅」


蔵馬の声に顔を上げ、彼を見る
その眼は真剣だった


「その場所に、案内して欲しい」

「……わかった」


幽助達に目配せする
反対する者は誰もいなかった
蔵馬の事が心配だったが、きっと彼は同行する事を拒否するだろう



“これは、自分達の戦いだから”と―――…















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「う……!!」


鈍く痛む頭を抑えながら瑪瑠は眼を覚ました
辺りを見渡すと、どこかの薄暗い森の奥にいるようだった


「な、なにこれ…!?」


瑪瑠は自分の身体に違和感を感じ、驚きの声を上げた
黒い蔦のような触手で両手を頭上で一纏めにされて満足に動く事が出来ない


「――やぁ、やっと目覚めたようだね」


暗い闇の向こうから両刃が現れた





「両刃さん!」

「先に言っておくけど、助けを求めるなんて無駄な真似はしないほうがいいよ。それと、君如きの妖力じゃ、それを切る事すら出来ないから」

「うぅ…!」



後者は両刃の言う通りだった
どんなに力を入れても蒼い炎を出してもその触手はびくともしなかった
ついさっき妖力を得たばかりなのだから、当然と言えば当然なのだが、やはり歯痒くて仕方ない



(でも…!!)



瑪瑠は両刃を睨みつける
金色の瞳に黒髪の青年が映った
その表情は…どこか、悲しそうに見えた
瑪瑠の中にあった両刃にあった感情が薄れて行く




(この人も、裟羅ちゃんと同じなんだ…叶わない恋をして、それで―――)







―――壊れてしまった


壊れてしまう程に、愛していた



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