第13章 望み



「う……っ!!」


軽い頭痛に見舞われながら、琉紅は眼を覚ました


「ここ、は・・・?」

「具合はどう?琉紅」

「あんまり、無理しないでね」


頭を押さえながら身体を起こす
汀兎と流蘢、紅唖が心配そうに琉紅の顔を覗き込んだ

辺りを見回す
どうやらここは、瑪瑠達の家らしい
少し派手な装飾がされた燭台の炎が部屋の中を照らしている


「わ、私は平気です…それより、あの…」

「飛影さんなら、麓兄と一緒に外に出ているわ」


クスクスと意味深に笑う流蘢に促されて琉紅は家の外に出た
森は元の姿を取り戻しており、辺りにしんしんと雪が降り続いている

「琉紅…!もう、起きて平気なのか?」

「うん、今の所は何ともありません。ご心配おかけしました」

麓に深々と頭を下げる
それから、少しだけ眼を凝らして先を視る

真っ白な世界の中に佇む黒い人影
彼も琉紅の気配に気付いていたのだろう
僅かに肩が動いた


「…飛影」

「…何の用だ」

「さっきは、助けてくれてありがとうございました。あなたがいなかったら、どうなっていたか…」

「……フン」


飛影はチラリと琉紅を横目で見て、すぐに視線を戻した



その直後、静かな空に大きな稲光が走った
ハッとして空を見上げる

稲光が見えたのは、その時だけでその後はまた静かな空に戻った


飛影は小さく舌打ちをして呟いた





「何をしている、あの馬鹿が…!」





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