「…そうだ。別に、闘わなくてもいいんだよね」




片刃はバッと腕を生い茂る樹木に向かって向けた
炎が放たれ、木々や森に住む狐達が燃えていく
麓は傍らに添えた刀を素早く抜くと片刃に向かって駆け出した 



「貴様あああああああああああああ!!!!!!」



片刃は高らかに笑いながら麓を見ている 振り下ろされた刃を左腕で受ける


「あはははははは!!!そうだ僕の役目はこの種族の”姫”と”宝玉”を奪うことだけ!!!さぁ、この森を燃やされたくなかったらさっさとその両方を寄越すんだね!!!」

「く…っ!!!」

その間にも森は真紅の炎に包まれていく
その間にも森は真紅の炎に包まれていく
逃げ惑う白狐たちと、倒れていく木々に容赦なく炎は襲いかかった


(この長兄…・思ったよりも強い力を持っているな…!僕としたことが見くびっていたようだ…)


僅かに片刃の力が抜ける
その時、自分を取り囲む妖気に気づいた

眼には見えないが、何かが自分の周りに纏わりついている



(そういえば…・!!!飛影の姿が、見えない…・!?)


刹那、黒き炎が片刃を襲った




「解るか?これが”真の炎術”だ…」



その声は背後から聞こえた
炎を放つ瞬間に避難させたのか、傍らには麓がいた

飛影がゆっくりと左腕を上げる
彼の指揮に従うように、黒龍は激しく舞を踊る





「邪王炎殺…黒龍波!!!」





轟音が響き、黒龍は蛇が獲物を絞め殺すような動きをしてから空へと登っていった
あとに残ったのは黒い羽根だけだった


「飛影…どうして…」

「…勘違いするな。お前らの為にやった訳じゃない」

麓も彼の捻くれ屋な性格を知っていたので苦笑するしかなかった
口ではああ言っているが、現に飛影は自分たちを守ってくれた
黒龍を放った時、彼はこの森に火の粉一粒落とさなかった
自分が仕留めたいものだけを仕留めるのは、攻撃が広範囲の炎使いには容易ではない
それを容易くやってしまのだから、彼の戦闘センスには驚かされる

だが、ここで安心はしていられない
片刃が放った炎はまだ消えてはいないのだ
妖気の混ざった炎は通常の炎と違って消えにくく、その炎で負う火傷はそう簡単には治らない
この炎によって命を落とした狐もいるかも知れないのだ


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