シズちゃんのおもちゃ
■変態島×乙女臨也企画です
■臨也女体化注意
■R18っ!
「ぼっしゅーとしてきた」
高校で出会った化け物、兼現在の恋人であるシズちゃんに久々の逢瀬でわけのわからないことを言われた。
「は?」
シズちゃんはもともとバカだ。眉目秀麗、頭脳明晰!新宿の素敵で無敵な情報屋で大活躍中の俺とは違って、主語やら副詞やら大事な部分をだいぶ端折って話しかけてくる。
ときに、シンプルイズベストという言葉が表すとおり、無駄を省くことは大事ではある。だが、シズちゃんの場合あきらかにいろいろ足りない。意味不明もいいところだ。
「だから、これぼっしゅーとしてきたんだって」
「あのさぁ、まずシズちゃんぼっしゅーとって日本語として間違えてるからね?土曜夜9時にある世界の不思議発見しちゃう番組の専用用語だからそれ。『と』はいらない、『と』は。没収っていうんだよ。ってかなんなのその紙袋」
さっきからずいずいと俺に押し付けられる白い紙袋に、なぜだか不安がつきまとう。
およそニヶ月ぶりに休みがとれて、はるばる新宿から池袋の端っこ、駅から徒歩30分くらいあるシズちゃんの家に遊びに来た。もちろん、俺は駅からタクシーを使用して。
シズちゃんはまだ仕事だったらしく、いなかったから合鍵で部屋に入って待っていた。
程なくして帰ってきたシズちゃんは、いつものバーテン服とサングラスをかけて少々顔を赤らめていた。あ、おかえりーおつかれさま。と行った俺にやっぱりいやがったか、と一言返して、その後に言ったのが、「ぼっしゅーとしてきた」だった。
この俺の優秀な頭で考えると、シズちゃんは仕事である取り立て先で何かを没収してきたのだと思う。借金の返済で、すぐに現金で払うことが困難な場合、その場にある金目のものを代わりにいただいてくるというのはよくある話だ。
家電やPC、貴金属に不動産の権利書など、とにかく借金回収に行ったからには手ぶらで帰るわけにはいかないのだろう。たまに、そのおこぼれにあやかってシズちゃんは借金の担保になりえないものを貰って帰ってきたりしていた。
今回もその方向で間違いないんだろうけど……。中身の見えない紙袋から得たいの知れないプレッシャーがかかっている気がするのは気のせいか?
「これ貰ってすぐ手前んとこ行こうと思ったら、俺んちの方からノミ蟲くせぇ臭いがしたから急いで帰ってきた。手前に土産だ。ん」
「はぁ?ほんとシズちゃんさあ……美人でかわいくて仕事も出来るこんないい女掴まえて、ノミ蟲とかくせぇとか失礼にもほどがあるんだけど。ってか、借金返済できない人間の家から持ち帰ったものなんて俺いらないし。なんなの?俺の仕事が忙しくて全然会えなかったから、遠まわしに嫌がらせしてるわけ?」
「うぜぇ。いいから、これ着てこいよ」
がさり、と俺の目の前に掲げていた紙袋から、イライラした様子でシズちゃんが取り出したものを見て絶句した。
ぴらぴらのすけすけのぎりぎりの女モノのセクシーランジェリーだったのである。
「は……っあああ!!?何これ!?どこでこんなもの手に入れてきたわけ?買ったの?シズちゃんが??まさか!!うそでしょ!!??」
「なっ!!俺が買うかよっ!だから、ぼっしゅーとしてきたっつってんだろうがよおおおおお!!」
「じゃ何!?もしかしてこれ使用済みとか?げっ!気持ち悪っ!」
そんなもの受け取るはずもなく、後ずさりしようとするとシズちゃんに右腕を掴まれた。痛い。非常に痛い。
「ちょっ……シズちゃん!痛いから離して……っ!」
「臨也君よ〜。この二ヶ月誰のせいで恋人がいるにもかかわらず、一人でマスかいてたと思ってんだ手前!!人が連絡するたび、仕事仕事って断りやがって!!今度会ったときに埋め合わせするって言ったのはどこのノミ蟲くんだったっけかー?」
あ、やばい。ブチブチと額に血管を浮き上がらせて凄んでくる池袋の喧嘩人形、兼現在恋人のシズちゃんに俺は為すすべもなく。
「わかった!!わかったからっ!着りゃあいいんでしょこれ!」
と、了承してしまったことに俺は後々はげしく後悔するのである。
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