歪んだ夜が一つ、二つ///
「私は誰だと思う?」
目の見えないウォルター。
目隠しされた彼は、幼い姿のまま。
できる限り優しい声で、問いかける。
私の声に戸惑って、彼は悩む。
彼が小さく動くたびに鎖が音を立てる。
「んと……」
答えられない彼に一歩一歩近づく。
驚かせてしまわないように。
これ以上悲しませてしまわないように。
「ウォルター。ここは、さみしい?」
「え?ん……うん。」
「そう。」
そっと彼の頭をなでた。
ぱっと私を、見上げる。
見えない目で私を見つめて。
「ママ?」
「私が、ウォルター、キミの?」
「うん、ママでしょ?だって、だって。」
ここはだれもこれないばしょだから。
これるとしたら、ままだけでしょう。
そう言って、ウォルターは私に抱きついた。
そっと肩に手を添えて、ウォルターにまきつく鎖を見る。
鎖をたどっていった先には。
悪魔が、一人。
「私を選ぶ?」「私を捨てる?」
ふたつの夜が。
ふたりの私が。
同時に、声を発した。
mae ◎ tugi