旧夢 | ナノ

▼ポル連載4

眼鏡をかけると自信がつく女。
化粧をすると途端にキリッする女。
おろしたての靴を履くと楽しくなる女。
全員というわけじゃないけれど、何かあればうまく行くって言うことは良くある。
私の場合逆がある。
ブラが無いと気になって気になって普通に歩けない。

「いいじゃねーかよーブラぐらいよー」
ポルナレフが言う。ジョセフさんもどうってことない、って顔をしている。
当然だ。二人の母国は二ップレスだとかノーブラだとかがセックスアピールとしてよくあるくらい。
そもそも男を誘惑するために乳首に偽乳首をつけたり、
あそこに、膨らんだ偽あそこをつけたりする人が変態というわけでもなく居る国だ。
ノーブラが気になるなんてそうそうないだろう。

でも私は寝るとき以外におっぱいが揺れるなんて信じられない。
胸をきつく押さえて私は困った。
アヴドゥルや花京院は反応に困っているが、私はもっと困っている。

「大体そんな小ぶりな胸で揺れやしねーよ」
というポルナレフに何か適当なものを投げてやりたくなる。
もともと下着は何枚も持っていたのだが、ミドラーに襲われてストックは全滅、
唯一身に着けていたブラはポルナレフが色々ドジって切った。
「揺れるわよ馬鹿!」
これ以上文句を言う気力がない。私は拗ねた。
ジープで走っている間、胸がバンバン揺れる。
ポルナレフの言うとおり決して大きくない胸だけど揺れる時は揺れる。
乳首が服の上から浮いてても、胸が丸出しでも耐えられるけど、
胸が何の支えもなく揺れるのだけは自分でも何故か嫌だった。

夕方頃ホテルついてすぐに部屋を借りた。
部屋割りは花京院とポルナレフの二人と同室になった。
胸を下から支えるように腕を組んで歩く。なんだか恥ずかしいし、酷く心許ない。
そして両手が使えなくって不便だ。

「あー…ナマエ、私が布を買ってこよう。それで下着の替わりになるか」
アヴドゥルが言いづらそうに提案してくれる。
「ごめんねアヴドゥル。お願いしてもいいかな。」
細長い布の方がいいかも、と言うとわかったと言って出かけて行った。

ホテルの客室は通りに面した二階にある。
私は窓際に座って通りを眺めていた。私達みたいに旅行できている人もチラホラいる。
殆どが男で女は見当たらない。現地で生活している人はノーブラらしかった。
大人しく座っている私にポルナレフは少し申し訳ないとでも思ったのだろう。

「わるかったよ。」と言った。
「いいのよ。私が過剰なだけだから。」
花京院はベットに座って顔を赤くしている。
二人きりにしない配慮か、年頃なのかは知らないけど、少し申し訳なかった。

そのうち、アヴドゥルが帰ってくる。
紅色の固めの布と、青い柔らかい布を持ってきてくれた。
「派手な色ばかりになってしまったが…」
「十分だよ。ありがとうアブドゥル。」

私はそれを持ってシャワールームへ入った。
さらしにしたいんだけど、どう巻いたものかしら。
普通に横にぐるぐると巻いて、胸を潰すだけで何の解決にもならないことを知る。
やり方が悪いのかもしれないけど、これは息苦しい。でも揺るめたら意味がない。
解いて、アンダーに一回巻いて胸を下から支えるように持ち上げる。
いい感じだ。ちょっと強度に心配がある。もう少し大きければやり易いのに。
結局紅色の布をいっぱいに使ってなんとか抑えられたものの、
谷間と背中は丸出しの洋画に出てくるお姉さん風になってしまった。
先ほどまでのTシャツから見違えるほどに女らしい服装になった。
Tシャツも背中を思いっきり破れていたからこの際捨てる。上からTシャツを着ると不恰好になってしまう。
うーん、お腹むき出しはちょっと心配かな。さらしを少し下へ引っ張るとちょっと臍だし程度で済んだ。

シャワールームから出ると、ポルナレフだけ残っていた。
「ナマエ、みんな先に食事に行ったぜ。俺達も…」
言いかけてポルナレフは唖然といった風に私を見る。
「なによ。」

「お前それ肝心の胸は殆ど出てんじゃねーか!」
「おっぱい丸出しみたいないい方しないでよ。胸の間が少し見えてるだけじゃない。」
「横乳も見えてんだよ!」
「端っこだけじゃない。乳首は全然出てないよ。」
「ち、乳首だってちょっとは浮いてるじゃねーか!」
「布の皺に隠れてガン見しなければわからないじゃん!!」
「男は皆ガン見すんだよ!!」

激しい言葉の押収から、少しの沈黙を持って言い返してやる。
「…ドスケベ」
ポルナレフがピクと反応する。
「大体昼間はノーブラだって良いって言ってたじゃない。」
「そ、そりゃあ…」
「じゃあ別にいいでしょ行こう。お腹空いた!」
納得しない様子のポルナレフを気にも留めない様子でさっさと客室から出ようとする。

「わかった。わかった!」何がわかったというのやら。
「じゃあナマエ、俺から離れるな!単独行動は絶対禁止だ」
まるで保護者のような口ぶりに二つ返事で返した。

To be continued


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