旧夢 | ナノ

▼ポル連載5

DIOの館へ向かう前日。
乞食を雇って館を探しているので今日から明日にはカタが着くだろう。
ナマエの居ない部屋で、俺達はナマエの処遇について話し合った。
ナマエは今までまぁ役に立ってきた。
しかし、それはスタンド使いとの戦闘じゃなく、旅に関しての話だ。
俺達はナマエが直接戦うことを避けてきたのでそれも仕方がないかもしれない。
俺達は満場一致でナマエをこのホテルへ置いていくことを決めた。

俺は一人でナマエの居る部屋へ向かった。
ホテルの一室、ベッドの上に、ナマエは何をするでもなく座っていた。

「ホラ、ポルナレフ様がジュースを持ってきてやったぜ」
こいつ起きたら怒るんだろうな。
と思いながら睡眠薬を混入させたジュースを渡す。
そういや、こいつの面倒を見るのはいつだって俺だったな。

「ありがとう」とナマエは屈託なく笑って受け取る。疑いもしないで飲んだ。
凄く喉が渇いていた、と言っていた通り一気に全て飲み干す。

これで確実だ。明日の朝までは大丈夫だろう。
「どうしたの?ポルナレフ、なんか暗いね。またなにかあったの?」
「どうしてこういう時は気がつくんだよお前。」
俺はナマエの腰に両手を回して、今まではやろうともしなかった恋人のように、家族のように抱きしめる。

「な、なにどうしたの!?」
慣れない動作に驚いたらしい。もがくナマエを力ずくで押さえ込む。
「いいからじっとしてろ。いいかナマエ。絶対に帰ってくる。お前を迎えに行く。」
「一体どういう…」
「お前を置いていったりはしない。お前を…」
言いかけて、腕の中でナマエは既に眠っていたことに気づく。
こいつの体重がいつの間にかかかっていることに気がつきもしなかった。

そのまま抱き上げてベッドに転がす。ちゃんと布団をかけて、髪を撫でてやる。
黙っていりゃ天使のような顔なものを。
いつもは平気で毒づいたり皮肉を言ったりする癖に、今は可愛い口を閉じて寝ていやがる。
動かないナマエを眺めていると、出会った時より肌が荒れているとか、それでも血色が良くなったとか、色々気づくことが多かった。
起きた時のために、ミネラルウォーターをサイドテーブルに置いておく。

「眠ったか?」アヴドゥルが部屋の入り口で言う。
「ああ。じゃ、行こうぜ。」

起きたらすぐに出られるように、カードキー式の鍵を、外から閉めてドアの隙間から部屋へ差し込む。
従業員が入らないために札も掛けて置いた。
ちゃんと迎えに戻るからな。もう一度胸中で誓って承太郎たちが集まる場所へ向かった。


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