旧夢 | ナノ

▼先輩ヒロイン4

放課後、俺は億安と別れて、ミョウジ先輩が校門へ来るのを待った。
これからデートに誘うつもりだ。

今までの経験から、ミョウジ先輩は正攻法では駄目な人だ。
少々強引に、先輩が嫌がったらどうしよーもないが少々強引に進める必要がある。
俺はいつまでも先輩一人が涼しい顔しているのが悔しくもあった。
通り際にキャーキャー言う女子達を半ば無視しながら先輩を探した。


「あ、東方君。」
暫く経って鈴のような声が俺の脳内に響く。
「ミョウジ先輩。これからカメユーでも行きましょう!」
「いいよ。」
にこりと笑う先輩が可愛くって眩暈がおきそうだ。
いけね、このままじゃミョウジ先輩のペースに流されてしまう。
とはいえ、俺はカメユーへ行く時の先輩がいつも人通りの少ない坂道を通るのは知っている。
そこは初めて先輩を見つけた所で、雰囲気もばっちりのいいデートコースだ。今日こそは行ける。

他愛もない会話をしながら歩く。声が上擦りそうになる。ちょうど坂に差し掛かる。

「ミョウジ先輩」
先輩が此方を向くより早く、ガバァッと先輩を抱きしめた。すっぽりと収まる先輩は思ったより小柄だった。
今まで嫌がるかと思って出来なかった。先輩柔らけぇぇ!
煩悩に傾きかける気持ちを引き戻す。今起ちあがったら終わりだ。
「先輩、俺」
ミョウジ先輩が顔を上げる。良かった嫌がる素振りはなかった。
『唇奪っちゃうんだよ』康一の声が頭で反響する。
いいのか、俺。奪っちゃっていいのか!?

「東方君」
先輩が俺の胸から顔を上げる。こ、この視点、うおおグレートだぜェ…!
「あのさ、私のこと先輩って呼ぶのやめない?」
「え」
「私、東方君のこと、下の名前で呼んでいいかな?」
心なしか、いつの間にか真っ赤になっていたミョウジ先輩の顔。
先輩も俺と同じだったらしい。

「も、勿論!俺もミョウジ先輩のこと」
言いかけて間違いに気がつく。訂正するより先にナマエが笑う。
「アハハ!仗助君はそのままでもいいや。可愛いもの」
「可愛いってなんスか」
「あはははは、仗助君は可愛いのよ。ねぇ、これからカメユーじゃなくて公園行かない?」
なんだか、ただ話したい気分。と続けるナマエに俺は勢い良く頷いた。
いつだって俺はナマエと話したいんだぜ!

「ねぇ、そのためには仗助君が私を離してくれなくちゃ」
ナマエの要望にもっともっときつく抱きしめた。
「嫌ッス。当分離さねー」

その後暫くナマエを抱きしめていたらムラムラしてきて慌てて離した。
体に残った温もりで暫くポケットに手を入れていなきゃならない事態まで発展する。
先輩が一度下を見てニコッと笑ったのでバレているらしい。
次は絶対に家にお呼びしようと俺は心に決めた。
To be continued


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