旧夢 | ナノ

▼先輩ヒロイン3

俺はミョウジ先輩を家にお呼びしたい。
何回も誘っていたのだが、あれだこれだと適当な理由をつけてかわされ続けている。
一度デートをした時は公園や海を見たり、ファミレスで飯を食ったり、カメユーで買い物をして、
という具合にかなり充実していたというのにそれ以来一度もデートをしていない。
俺に脈がないのかと思えば全然そんなことはない。

ドゥ・マゴでお茶をしている先輩に出会うと手を振ってくれるし、そのまま近づくと座りなよ、と言ってくれる。
優しく勉強を教えてもくれるし、プレゼントだと言ってたまにキーホルダーやアクセサリーをくれる。
ミョウジはかなりサブカル好きで、俺に似合うといってくれるものはどれも珍しいキマったデザインのものだ。

その度に俺は嬉しくって先輩の両手を掴んでお礼を言う。
そのお礼になにかをプレゼントしようと思うのだけど先輩は断固として食べ物しか受け取らない。
だからドゥ・マゴではいつもパフェを奢っている。
悩みを億安に話すと、ちゃんと泣き出すので恋人らしくやっていけているのだろう。
ただし俺が『ミョウジ先輩』と呼んでいるように、ミョウジ先輩が俺を『東方君』と呼ぶように、
恋人らしい進展は未だに何一つないのだ。

例えばキスしたり、抱きしめたり、手を繋いだりといったこと。
ミョウジ先輩、と言わずにナマエと呼ぶこと。
厳密に駄目といわれては居ないが、まだ呼べるような関係じゃなかった。
いつかはミョウジ先輩をベッドに押し倒して…ということ夢にも見ている。

「なんつーかよォ〜家に一度呼べればその関係がもっと進展できるような気がするんだよ〜〜!!」
「仗助君、それってさぁ」

一通り話すと、康一が口を開いた。
場所は屋上。億安は昼飯を買いに購買で並んでいる。
億安の居ない今のうちに、と康一に恋愛の相談をしている。
考えてみたら康一しか恋愛経験のある奴が居ねーのな。

「僕が言うのも変だけど、押してみたらどうかな。一度、家には呼ばずにまず唇を奪っちゃうんだよ。」
「康一、お前随分なこと言うんだな」

こいつ由花子にかなり毒されてんぞ。と思わずにいられなかった。俺でもそんなこと思いつかない。
しかし康一の提案は俺にとっては大きな発見だった。
今まではミョウジ先輩に翻弄されてきたようなものだ。今度は俺がリードしてなし崩しにそのまま…
熱い妄想に入りかける自分を止める。
俺はミョウジ先輩と『進展』したいだけだ。

「ありがとよ康一。今度試してみる。」
「力になれたならよかったよ。頑張って」

俺はいい友達を持ったぜェー!!!!

To be continued


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