New world 1

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僕には夢がある。

コクーンが堕ち、ライトさん達が姿を消したあの日から

僕には一つの目標ができた。


その目標は僕の夢であり、遂げなければならない絶対的な問題。

かつて僕を絶望の淵から救ってくれた
彼女を…救いたい。

その願いを追いかけ続ける事が僕の生きがいであり、希望である。

しかし夢を追いかけ続けてくると見えてきたいろいろな問題がある。



セラさんとノエルが言った。

『全てのパラドクスを解決すればきっとライトニングは戻ってくる。』

残念ながら僕には時を簡単に越えることは出来ない。

だからこそ、僕に出来る事をやるしかない。




コクーンが復興活動を始めた時、政府に変わる機関の立ち上げに僕の父さんも協力し、アカデミーが創立された。

そのもとに新都アカデミアも創立され今では最も進歩した都市となった。

アカデミーで働くためには、厳しい道があったのだけれど、僕は希望で乗り越えてきた。

夢があるから。




「主任!応答願います」

多少のノイズ音と共に左耳につけた通信機から、部下の声が聞こえる。

部下と言っても年上の人だから少し複雑だ。

「主任に会いたいという方が来られてますが…」

「…どちら様?」

「男女と…へんな生物です…あぁ!」

通信機の向こうから 変な生物じゃないクポ!モグだクポ! という声が聞こえる。

男女とモグと呼ばれる生物。この組み合わせはおそらくこの世に1組しか存在しないのではないだろうか。

「ありがとう、そちらに向かいます」


新都・アカデミアのアカデミーの建物。

用意された部屋のドアを開くと、考えていたとおりの人達がいた。


「セラさん、ノエルさん、お久しぶりです。」

「ホープ君、お久しぶり、ってことになるのかな?私達からしたらこの間会ったばっかりなんだけど…」


「話があるクポ!

女神様が、ご主人様をこっちに戻すと言い出したクポ…」

モーグリの言葉に僕の心臓は大きく跳ねる。

10年間、保障はないけど待ちわびた日。

女神エトロの眠りを守る、モーグリのご主人様。

それはつまり、ライトニングの事だ。

「…いつ!どこで!?」

彼女にまた会いたい、話をしたい、…触れたい、

その願いだけで僕はほとんど失ってしまった世界でしっかりと道を見失わずに歩いてくることができた。

自分の中の止まりかけた時計の針を、少しだけど動かす事ができたんだ。


「分からないクポ…ヴァルハラの混沌の影響でご主人様がどこに飛ばされるのか…

もしかしたら今ここに現れるかも知れないし、パルスのべヒーモスの前に現れるかもしれないんだクポ…」

モーグリの言葉に僕の脳内に良くないイメージが浮かび上がる

もし、意識を失っている時に強敵の前に現れてしまったら?

魔物だけでない、他の男の前に現れてしまったら?

待ちわびた時のあまりにも突然すぎる訪れに、僕の思考回路はショート寸前だ。

ただ彼女が危ない。それだけがわかる。


「ヴァルハラから来るってことは、前みたいにゲートから現れる可能性が高いと俺は思う。」

ノエルが冷静に口を開いた。僕と対して歳も変わらないのに驚くほどの胆の据わりようだと思う。

「ゲートの事を詳しく知っている人、時を超えられる俺たち以外にはホープしかいない。」

「ホープ君、おねえちゃんを助けてあげて!私たちもゲートを巡ってお姉ちゃんを探すから・・・」

慌しくかけ出す3人の背を見送り、僕は自分のユニットの人達に指令を出した

「第3ユニット、各ゲート付近で
都民IDを所持していない、

ピンク色の髪の女性を見かけたらすぐさま連絡を…」

通信機を握り締めて応答を待つ。

ライトさん…会いたい。どうか無事で…



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