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Lightning Side
何だか眠くなって、目が覚めたら…
なんだかおかしな所にいた。
ゲートには見覚えがあるものの、通れはしない…
一体ここはどこで、何年なんだ?
階段の付近にいる人の人数と雰囲気からして、ここは大都市だ。
私の元いた世界ではこんな都市はなかったはずだから、ここは未来、と言う事になる。
未来だとして…私の格好は回りと比べて浮きすぎている。
鎧を着ている人間なんてどこを見てもいない。
着替えたいがギルは持っていないし、
未来だとしたら知りあいなどいるはずも無いし
いたとしても、この中からでは見つけるのは至難の業。そうなると、私はどうすれば良いものか…
考えていても仕方が無いと悟り、私は
とりあえずエスカレーターのようなものに乗って下に降りてみる
「随分と進んだ技術だな…」
そう感心するのもつかの間、さらに広大な景色に目を奪われる
パルスなど広大な自然の景色なら驚きはしないが、ここは…全てが人工物で出来ていて本当に未来、という感じがする。
ふと後ろから視線を感じ振り返る
すると、黄色い服を着た男がこちらを凝視して何やら誰かと通信をしている
なんだ、と思いつつもその場で立ち止まっていると黄色い服の人が仲間と合流し、3人でこちらに向かってくる
「あの…都民IDを見せてもらえますか?」
そう声を掛けられて、私は困惑する。
コクーンにも市民IDがあったようにここでも、都民IDと言うものが存在するのだろうか
…そんなもの、今ここに来た私が持っている訳はない
「…なぜだ?」
「アカデミー上層部からの命令です」
「アカデミー? すまないが、私はIDなどは持ち合わせていない」
「はい?そんなはず… IDがないと身元不明人として連行しなくてはならないのですが…
それにその剣も危険物として…」
「ほう…捕まえるのか?私を」
「上層部の命令ですので、ご同行願えませんか?」
「断る」
私は黄色い服の集団に背を向けて歩き出す
歩き出すと言ってもどこに行けばいいのかあてもないのだが
「追いかけろ!逃がすな!」
そんな事を言われ追いかけられては逃げるしかない。
ヴァルハラと違って、この世界は重力が重い。
今思えばヴァルハラの方が重力が無かったようにも思えるが…
民間人から逃げるほどの体力は十分に残っている。
しかし…知らない土地で迷路のような路地を逃げ回っていたのではどう考えても分が悪い。
そもそもなんで私は追いかけられなくてはならないのだ、追ってはいつのまにか10人以上になっている。
「いたぞー!主任が来るまでに捕まえるんだー」
逃げても隠れてもすぐに見つかってしまう。剣を出して暴れる…なんて事をしたらそれこそ本当に追いかけられる立場になってしまう。
それに相手はおそらく民間人だ。
大人しく捕まるしかないのか…?
狭い路地の後ろは行き止まり、前には数人の黄色い服の集団
知らない土地、知らない世界、知らない時代、知り合いもいないここで、
もうどうにでもなれ、そう思った。
捕まったとしても逃げ出せば良い。
「主任!応答願います!主任の言っていた女性を捕まえましたが…拘束しますか?」
「っ!…すいません!…はい…ではこのまま待機します。場所は西ブロック、R番地付近です」
なにやら黄色い服の連中は誰かと通信をしているようだった
訳が分からないが暫らくすると後ろの方から新な人物が来たようだった
「主任!こっちです!」
「ありがとう。」
主任という事は…この黄色い服の親玉か…
私を訳の分からない事で追っかけまわしてきた奴らの…
黄色い服の連中の間からさらに、黄色い服を着た男の姿が見える
その瞬間、私はその男に掴みかかった
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