08 「あっはははははは!!!」 「もう!立花先輩、笑い事じゃありませんよ!」 生徒指導室、風紀委員会の活動教室。 僕と、綾部先輩立花先輩で向かい合ってソファに座っていた。 「いやー喜八郎もなかなか酷いことをするなぁ…はははっ…」 腹を抱え、声を押し殺してまだクツクツと笑っている。 そんなに笑うことないじゃないか! 何故先輩がこんなに爆笑しているのかというと、今日の昼休みに綾部先輩から言い渡された『初めてのおつかい』の話をして聞かせたのだ。 はたしてこれが風紀委員会の活動なのかと! でもこれはれっきとした風紀委員会の活動なのだそうだ。 「我ら風紀委員会の権力を学園の脅威なるものにしておく為の活動」 だそうだ。 はぁ、と溜め息を吐くことしかできない。 命令(と言うとちょっと失礼かもしれないけど)した張本人は、関係ないよ、と言うように僕の淹れた茶をすすっている。 「しかし…一発目の委員会でおつかいとは…くふっ…喜八郎の鬼っ……ふはは……私でもそんなことはしなかったのに、お前も立派なS指導委員だな。」 「もぅ…笑い過ぎです。…って、S指導委員って何ですか?」 ここは風紀委員会でしょう? 「ああ…S指導委員とはだな、作法のSとサディスティックのSをとってS指導委員と呼んでいるのだ。」 「あの…それが…」 「我々は作法指導委員とも呼ばれていてな、そこから生徒達が勝手にサディスティックと合わせてS指導委員となったのだ」 「はぁ…」 理解できたのかできていないのか、いまいち要領をえない返事を返す。 「まあSが入った理由としては立花先輩の蛮行に由来しますよね」 綾部先輩が湯のみで遊びながら言う。 「そんなこと無いだろう。」 「いえ、そうですよ。だって立花先輩の代からこのあだ名が付いたじゃないですか。仙蔵のSも入ってますよ絶対。」 「そうだったか?まあいい。はぁ…。藤内。」 「はい?」 「あらためて、ようこそ。風紀委員会へ。」 頭にぽん、と手を乗せながら、立花先輩が言った。 [目次] [栞] |