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※下ネタ多い



「「「「「「お願いしますヤらせてください!」」」」」」

「お願いします帰らせてください」

「「「「「「お願いしますヤらせてください!!」」」」」」

「お願いします帰らせてください」

「「「「「「お願いしますヤらせてください!!!」」」」」」

「帰らせろっつってんだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

ちなみにこれは、六つ子とトト子の会話ではない。
六つ子と私の、定期的に行われる会話だ。

「…あーあ、今回もだめかぁ」
「だめに決まってんだろ、あんた達の部屋に閉じ込められて性的行為迫られるとか一歩間違えたら犯罪だからね」
「閉じ込めてるなんて人聞き悪いよ杏里ー、今回はオッケーしてくれるまで出さないよってだけ」
「犯罪です!おば様ー!」

おそ松が悪びれもなく言い放つので本気で身の危険を感じた。
いくら普段はわりと良好な友人関係を築いているからといって、いざとなれば向こうは成人男性が六人。こっちは女一人。
しかも場所は六つ子の部屋。完全にアウェーだ。
一応客人として扱ってくれてはいるのか私はソファーに座らされ、六つ子は揃って床に正座している。
しかし性的行為を強要されている事態には変わりない。

「毎回言ってるけどトト子に頼めば」
「無理無理ワンパンで終了だから」
「私もワンパンで終了したいわ」
「そんなこと言って〜杏里ちゃんてば優しいから結局暴力はふるわないでしょ?」
「まあね…痛いのやだし」
「だから先っちょだけ!ねっお願い!」
「六人全員先っちょだけとか身も心も相当労力使うじゃん」
「フッ…約束しよう、必ず天国へ連れていくと…ノッキンオンヘブンズドア…!」
「童貞が何言ってんだ」
「は?杏里だって処女じゃん偉そうなこと言えんの?」
「はいもう一松消えた〜一松には死んでもヤらせません〜」
「うっ…ごめんなさい……」
「杏里ちゃんセクロス!」
「サンクスの間違いだよ十四松」
「杏里ちゃん、ぼ、僕らも一応勉強とかしてるから、だから一生懸命頑張るから…!」
「今んとこチョロ松が一番正解に近いよ。でもだめ」

六人が一斉にうなだれる。

「どうしたらオッケーしてくれんの…」
「どうしてもオッケーしません。大体何で私なわけ?何回もお断りしてるじゃん」
「杏里ちゃんが好きだからに決まってんじゃん!」
「泣き真似しても無駄だよトド松。お前らは好きな子にまずヤらせてって言うの?」
「男の本能をそのまま言葉にしただけ」
「一松はコミュ障過ぎるわそりゃ危険人物に認定されるわ」
「ククッ…褒め言葉」
「嫌だ!こんな奴にバージンあげるの絶対やだ!」
「ねー杏里ちゃん絶対たのしーよ!大人の男女のパーティーだよ!」
「乱交パーティーって言いたいのか?十四松何気に際どいよね?」
「ちょっ、ら…乱交とかじゃないって!一人ずつでしょ!?」
「チョロ松はまともなようでいてポンコツだな」
「えー俺別に乱交でもいいよ?ただ一番最初は俺な?」
「は?ふざけんなよ長男とか関係ねーし」
「おそ松兄さんが杏里ちゃんの初めてとかほんと勘弁して」
「何でだよ。お前の言葉を借りるなら一番勉強してんの俺だからね?何回想像で杏里抱いたと思ってんの?」
「想像だったらもう杏里調教済みだし…勝ったな」
「どれだけ満足させられたかで勝敗が決まんだよ!俺満足度100%リピート率100%だしー!」
「二人とも想像でだろ!?僕もだけどさ!!」
「僕は別に順番とかどうでもいいけど〜でも試してみたいこと色々あるからそれぜーんぶさせてほしいなー」
「フッ…俺は杏里が悦んでくれればそれでいい」
「そーだねー!」
「この二人が余裕なのって何かムカつくんだけど…僕達と同じ童貞のくせに」
「私からしたらお前ら全員ムカつくわ。ヤらせないっつってんだろ」

私をほっといて繰り広げられる言い争いにようやく口を挟むことが出来た。
大きく息を吐いて立ち上がる。

「そういうわけだからもう帰るね」

一歩踏み出した瞬間、素早い動きで六人に包囲される。
しまった。

「オッケーしてくれるまで出さないっつったよなぁ杏里?」

おそ松に手首を掴まれる。
赤いツナギを着てるからおそ松だと分かったけど、今六つ子はみんな同じ顔をしている。血走った目の暴走寸前の顔。
六人が全員同じ顔をしているのは危険信号だ。
背中に冷や汗が流れた。
とりあえず落ち着かせないと。

「…分かった。ここにいるから、手を離して。乱暴にされるのは嫌」

そう言うと大人しく包囲を解除してくれた。

「次はないからね杏里ちゃん」

事もあろうにチョロ松がそう言い放つ。
今回はマジで本気かもしれない。
まずい。どうにか現状打破しないと。

「今の『乱暴にされるのは嫌』っていいな!それ言ってよヤってる途中に」

おそ松がへらへらとリクエストしてくる。そういうのを連想させる意味で言ったんじゃないし。
大きくため息をついて元のソファーに戻る。
すると両隣に体をぴったりと寄せておそ松と一松が座ってきた。
目の前には冷たい目をしたチョロ松と、真顔のカラ松と、スマホを持ったトド松と、なぜかカラーコーンを被った十四松。
もう私は客人ではなく監視対象となったようだ。最悪。

「それでさぁどうする?せめて杏里の好きなようにさせてあげるよ」

おそ松がすぐ隣からにやにやと声をかけてくる。
ぶっ飛ばしたい。トト子に護身術程度でもパンチの仕方を習っておくんだった。

「…好きなようにって?どういうこと?」
「例えばさ、さっき言ったみたいに一対一がいいとか」
「複数がいいとか〜?」
「野外とか!?」
「杏里が攻めでも悪くないぜ…」
「調教されても構わないし」
「ちょっと待って、一松は調教したいの?されたいの?どっち?」
「べ、別に…杏里だったら、どっちでも、いいし…」
「どこで照れてんの?」
「色んな彼女で一通り試したから何でも来いって感じ!」
「え、何だおそ松彼女いるんじゃん。その子としなよ」
「だから杏里がいいっつってんじゃん!第一その子たち画面から出てこねーし」
「ああ、AV女優ね…」

安定の童貞だった。

「さっき言ったけど私だって処女なんだから、初体験が不慣れな人とだったら嫌。スムーズにいかなさそうだし」
「大丈夫!ちゃんと慣らすよ、これで!」

十四松が被っているカラーコーンから、ピンク色のウィンウィンとうねうね動く…最後まで言わずとも察してください…を取り出した。

「何でそんなとこに…ってか何で十四松がそんなの持ってんの?」
「杏里ちゃんに使いたくて!」

にこりと笑う十四松は無邪気だ。
無邪気ゆえに言い知れぬ恐怖を感じる。

「絶対それあんたらのより大きいじゃん」
「フッ…試してみるか?」

あ、墓穴掘った…
隣で一松がツナギを脱ぎ始めたので阻止した。

「…何?あ、もしかして既にプレイ始まってます?」
「違う違う違う。ムード大事にして」
「そうだよねぇ〜だから僕こんな真っ昼間じゃなくて深夜に杏里ちゃんの家忍び込もうって言ったんだよ?」
「さらっと犯罪計画立てるなお前」
「今となってはトド松の意見を採用しとけば良かったかもね…」
「このポンコツ!」
「昼間でもなかなか背徳感あっていいと思うけどね俺は。いつ親が帰ってくるか分からないスリルってゆーの?昼下がりの情事ってやつ」
「お前はAVの見すぎだ」
「ねー杏里ちゃん、このバイブ舐めるとこ見せてもらうだけでもだめ?」
「どうにか道具名出さないようにしてたのに台無しだわ十四松」

だめだ、埒があかない。

仕方ない。
次にピンチの状況になったら使おうと思ってたあの作戦に出るか。
上手くいくか分からないけど…

これ見よがしにため息をついて、悲しそうな表情を作る。

「杏里?どうした?」
「…みんな、私のこと好き?」
「好きに決まってんじゃん!さっきから言ってるだろ?」
「むしろ愛していると言っても過言ではないぜ、ハニー」
「じゃなきゃこんなこと言わないよ?」
「……そう」

もっと悲しそうな表情を作る。
六人が戸惑っている。私がこんな顔になるの初めてだもんね。

「杏里?」
「私もみんなのこと好きだよ」
「…!」
「杏里ちゃん…!」
「でも……」
「…でも、何?」
「何だ杏里、何でも言ってくれ!」
「豚でも犬にでもなるから」
「杏里ちゃんが望むなら何だってあげるよー!」

頑張って目に涙を溜めて、震える声を絞り出す。

「…一回だけ、なの?」
「そうだよ、一回だけだよ!」
「ぜってー悪いようにはしないから!俺本気だから!」
「一回だけでいいんだ、それだけで僕達一生の思い出になるから…!」

首を振った。

「そうじゃ、ない。私達の関係は、一回だけで終わっちゃうの…?」

六人が息を飲む気配がする。

「…私は…っそんなの、嫌……さっきから聞いてたら、みんな一回だけって……その後、私はどんな気持ちでいればいいの…?」
「杏里」

おそ松の方に向き直させられた。

「ごめん。俺たち自分のことばっかりで、お前の真剣な気持ちを考えてなかった」
「杏里ちゃんはちゃんと考えてくれてたんだね」
「不安にさせて悪かった」
「大丈夫!ぼくたち絶対大事にするから!」
「身も心も全部捧げる気でいるから」
「ありがとう、杏里ちゃん」

感動の雰囲気に包まれるこの場。
おそ松が照れ笑いをした。

「えー…っと、そんじゃ…杏里、風呂入ってくる?」
「待って」

私の一言で、また私に注目が集まる。

「どうした?」
「………私ね?わがままかも、しれないけど…」
「うんいいよ、言ってみな」
「何でも受け止めてあげるから」
「私…」


これで、とどめになるといいけど。


「処女を捧げるのは、一人だけがいい。生涯愛するのも、一人だけがいいの」


数秒後、室内は戦場と化した。
怒号と武器と小物とエロ本が飛び交う部屋をどうにかくぐり抜けて、私は無事に家の外に出ることができた。
二階を見上げると、未だに凄まじい闘争が繰り広げられているであろう騒音と振動が伝わってくる。
今後は六人全員ではなく、一対一の戦いになるだろう。
「好きだ」と言ってしまったので執着度は増したかもしれないけど、まあ嘘ではないし一対一の方が何かとかわしやすい。
しかし今回の件で、少しは体術的なものを身に付けた方がいいと実感した。
私はトト子に弟子入りするため、魚忠に向かうことにした。



続く