貴方にとって幸せな一日になりますように。




ー1月28日ー

日付が変わった直後、携帯電話がメールを受信する。
1、2…6通もメールが来た。
受信箱の中の一通、弟である幽からのメールをまず読んだ。

あぁ、そうか。
今日は俺の誕生日だ。

映画の撮影で忙しいらしい幽は、直接会って祝えないから時間ができたら改めて電話すると伝えてきた。
その他のメールも静雄の誕生日を祝う内容ばかりで、ふっと頬を緩ませる。


この歳になっても、やはりこうやって祝われるのは嬉しいものだ。
幸せな気分に浸り携帯電話を閉じた矢先、電話の着信音が鳴り響く。
サブディスプレイには『のみむし』の名前が表示されていた。

「もしもし。」
いつもより幾分か穏やかな声音で電話に出る。

「あ、シズちゃん起きてた?今からそっち行くから、待ってて。」
一方的にそう告げられ早々に電話が切れる。
相変わらず自分勝手な臨也の行動に小さく溜め息をついて、ソファに腰掛けようとした所にチャイムの音。

「はいはい。」
鍵を外しドアを開けると、そこには臨也の姿があった。
何かを隠すように両手を後ろに廻して、ニコニコしながら静雄を見上げている。

「早かったな、入れよ。」
いつもの不敵な笑みとは違う満面の笑顔に少し気持ち悪さを覚えながらも、先に部屋へ戻ろうと背中を向けて歩き出す。

その後ろをついて来る臨也は、静雄がソファに座ると隠していた物を机に置いていきなり静雄に抱き着く。

「シズちゃん、誕生日おめでとう。」
ゆっくりと唇を重ね合わせ、触れるだけの口づけを交わす。
少しだけ顔を離すと、静雄は真っ赤になった顔を隠すように俯く。

「あ、ありがと…。」
背中に恐る恐る腕を廻し、今度は静雄から唇を触れ合わせた。







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