※連載に反映されたりされなかったり
※非連載のもR指定のも含みます
儘@ 03/23 20:15 ザンコク


始まりはとても初々しかったと思う。
毎晩悩み枕を濡らし胸を痛めて散々葛藤したすえに告白を決意した。台本なんて作った覚えすらある。だけど、まぁ、当然の結果で終わった。
なのに私は諦められなくて振り向いてほしくて何度も思いを伝えた。すると回を重ねるごとに告白は切実なものから日常へありふれたものになる。いつも、毎回、私は思い悩み言葉を探し伝わるようにと告げていたのにアルファロにとっては……。
儘@ 03/21 23:33 300年


誰か私を責めて欲しい。
好きだ 大切だ 愛おしい。ずっと望んだ言葉だったのに不思議と涙が溢れることはなかった。というか乾いてる。誰か酷い女だと罵って欲しい。アルファロがやっと思いに応えてくれたのに…私はその言葉を信じなかった。全然胸に響いて来ないし実感もない。アルファロが本当の意味で思いに気付くはずないと。だってアルファロはずっと……。
いや。誰か不誠実な私を殺して。ボスに望まれた時、私は逃げ道が出来たと心から救われてしまったのだから。
儘@ 02/23 22:36 今日もおやすみ


仕事が終わって寝る準備まで整えてからどちらかの部屋で一緒に過ごす。それが一番安心する時間なのにソファでくつろいだ瞬間に睡魔がやってきた。途中から見始めたドラマも頭に入ってこないし頭が泳ぐ。ふぁぁ〜と隠すことなく欠伸をすると軽く窘められた。残念だけどもう眠ることにして立ち上がるとアルファロはドアまで送ってくれた。ノブに手をかけると「そうだ」とアルファロの思い出した声に振り向く。

「ん?」
「コカロ おやすみなさい」

振り返った瞬間、唇に柔らかなものが軽く触れた。アルファロの香り。顔が目の前にあって硬直する。脳が一瞬でクラッシュしする。キスされた…と分かって後ろに飛びのくと強かに頭をドアに打ち付けた。なにしてるんですか、と呆れられる。え、だって、え?なに今の?

「何って貴女が散々せがんだおやすみのキスですよ」
「へ?あー、そんな事、あったような、なかったような?」

実際三桁はいくくらい要求して散々困らせてきたんだけど。なんだかあっさりと、余裕たっぷりにされてしまい次に困らされるのは私だった。これは逃げるべきと判断してドアノブに力を込めるとアルファロの手が重なった。さらに右も左もアルファロの腕に退路を断たれる。

「コカロはしてくれないのですか?」
儘@ 02/23 19:17 根差す


結局、いつもの様にベッドで目が覚め一番にアルファロが視界に現れた。でもいつもと違ったのは自分の寝室ではなく医務室のベッドの上ということ。身動きをしようにもあまり動かなかった。「痛みはありますか?」という声も痛みも麻酔のせいなのかどこか遠い。ええと確か私はボスと…いやボスに…
『おやすみなさい 三虎様』
その瞬間僅かに腕が見えた気がする。多分凪いだのだ 私を。そして飛ばされた。つまり、つまり

「失敗しちゃった☆」
「…コカロ」
「踏み込んではいけない領域に無遠慮に入ってしまったみたい。イタタ、もしかして結構重症?」
「ええ…頭も打っていまからしばらく安静に」

私って定期的に重症負ってる気がするなぁ…今回死ななかっただけマシだけど。安静と言われたら何も出来なくて目を瞑ると手が温かく包まれた。隣を見るとアルファロはただじっと握った手を見ていて、だから私も目を閉じたまま口を開いた。

「私達がボスに出来る事って少ないね」
「……」
「ボスの心には深い根が残されてる」

忌まわしい根なら全て取り払ってあげたい。いつか花咲く根なら芽吹くよう水をあげたい。でも私には触れる事も許されなかった。
儘@ 02/19 07:52 不可侵


ボスが私より早く眠った。珍しいというか初めての出来事だった。いつも私が力尽きて眠るかアルファロを呼び寄せ送るまで眠ることなんてないのに、今は瞼を落とし静かに寝息を立てている。アルファロを通信で呼んですぐ落ちてしまったみたい。
(それにしても…なんて穏やかな寝顔)
シーツが汚れていないか確認し大きな布団で覆う。いつも飢えて満たされていない表情だけれど寝顔はそんな影すら見えない。深く瞼を落とした表情に胸をくすぐられ、私はそっと顔を近づけた。ボスはどんな夢をみるんだろう?

「おやすみなさい 三虎様」

良い夢をみれるよう願いを込めて額にそっと口付ける。けれど、その瞬間勢いよく瞼が開かれた。
「え」
一瞬腕が見えた気がする。バン。全身に痛みが走る。アルファロの声。なにが起きたのか分からないまま私は意識を失った。
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