名前変換なしネームレス(?)の夢小説もどき。
拍手お礼文、1000文字未満、ネタや会話文等の詰め合わせ。更新履歴には残しません。
ゆりかご
──初めて会ったとき、彼女は15歳でオレは11歳だった。
深い夜の日だった。
初めて顔を合わせた日、彼女は「我愛羅様、よろしくお願いします」と緊張気味に声を発した。
どうやら父様がつけた監視者らしいが不愉快極まりなく殺そうとしても特殊な術によって憚られ監視を許した。
初めて笑顔を見た日、彼女は「これからはあなたの良き理解者の一人として、我愛羅様よろしくお願いします」と出逢いなおした。
うずまきナルトとの出逢いを経て変わりたいと願うオレの気持ちを皮肉にも監視をしていたからこそ一番に理解して支えてくれた。
今となって名前は良き友として、守りたい人として彼女が隣にいた。
初めて喜んだ日、彼女は「我愛羅様、風影就任おめでとうございます」と飛び上がるほどの感情を身体で体現していた。
誰よりもオレを理解しているのは彼女だけだと信じて側近に指名すると「命を賭してお仕えします」と忍びとしての距離感で承諾をされて、どこかで霧がかった闇が胸の中で広がっていった。
初めて驚かせた日、彼女は「すみません、お気持ちは嬉しいのですが応えられません」と申し訳なさそうに気持ちを断られた。
それから程なくして彼女は側近を辞任した。
仕方なく受け入れてから昔のような間柄で個人的な関係を築いている。程なくして彼女は風影様の恋人で婚約者ではないかと周囲では噂になっているらしい。
初めて泣いた日、彼女は「もう私を、自由にしてくれませんか?」と嘆いた。
「耐えられない、こんなにも縛られてしまうなんて。私は違うって周囲に訴え続けても誰も信じてくれない。逃げたいだけなのに」
最後の暗闇の中で「私を殺して」と彼女は叫んだ。
もう駄目、離して、もう許して、そう叫んで彼女は泣いた。
……懐かしい。
オレのなかに生きる、愛おしい記憶だ。
「調子はどうだ?」
風影一族しか知らない秘密の部屋でオレを待っている名前に会いに行く。
最近は愛情を返してくれるようになって気持ちが繋がり合えた喜びを実感している日々だ。
ここには誰も訪れることはない。二人だけの世界でまた一つ幸せを折り重ねていこう。
2024.04.03.
2024/04/03
好きな言葉
──今度はここに行こう、景色が良くて一緒にみてほしい。
我愛羅様は平気で未来の話をする。この間柄に別れがくるものだって考えがない。
いつまでも二人で一緒に入れるものだと想ってくれている。
その姿、私には眩しいよ。
あなたの些細な願いを叶えてあげられない私はいつだって無力に感じてしまうよ。
我愛羅の好きな言葉・未来
2023/04/06
質問
「今時間は大丈夫か?」
今日の任務は滞りなく完了、報告も済ませた矢先に声をかけられた。
「はい! 大丈夫です。何か問題でも?」
「一つ聞きたいのだが……相手に待ち伏せされている状況ではどうする?」
「まず大前提として冷静に対応することが重要で一番やってはいけないことはパニックに陥ることです。もし待ち伏せされているとわかっているのなら相手の注意を分散させたり──……」
忍者学校で習ったことや経験によって得た知識を織り交ぜ必死になって応えた。このお方が対処の仕方を知らないわけがない、なのにどうして? と不安がよぎる。
「それでいい、よく考えているな」
我愛羅様は落ち着いた様子で頷いた。かけられた言葉にほっと安堵した。
「……そういえば医療忍者だったな。仲間が重体の場合はどのように対処する?」
「それは医療忍術を使えない場合を想定してますか?」
「ああ」
「外傷によって対応は変わりますが……まずは出血点の確認と圧迫による止血を──……」
急にどうしたんだろう、私の任務中の態度に疑問を持っているのだろうかと不安になる。抜き打ちテストのような質問に必死になってできることを述べ続けた。
「もう、大丈夫だ。こちらも勉強になった」
「いえ、有事の際に自分がとれる選択肢が増えることはいいことですから」
「ああ。あと……これからどこかに食事にでも誘われたら、どうする?」
「その場合は、まず……ん?」
は、食事に……? えーっと。曲がりなりにも年相応の男性から食事誘われるのってちょっと気がある証拠、であって。え。
「お返事の前に我愛羅様にとって望ましい返答をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
すると我愛羅様の気が気ではない緊迫した表情から満足そうな柔らかい顔つきに変わっていって微笑まれた。
「断らないでくれ。もし共にできたら次の休日の予定でも聞こうかと思っていたのだが……不躾だっただろうか?」
「い、いえ。そんなことありません……もしよろしければ……よろこんで」
こういう時はどうしたらいいんだろう。突然舞い降りてきた質問に関しては知識も経験も不足してる。どうしよう。
私は我愛羅様の背中を追いかけて隣を歩くことで精一杯だった。
2023/01/28
ハグの日
「我愛羅、今日はハグの日だってよ」
「……しない」
「まだ何も言ってないのになんで!」
「抱きしめるだけでは物足りなくなるからな。それでもいいのな――」
「やっぱりしなくていいかも」
「……」
「うそ、そんなに落ち込まないでよ」
「落ち込んでなんかない」
「わかったわかった、とりあえずぎゅーっとしようね」
2022/08/09
過去拍手文
唐突に恋人である我愛羅に「もうすぐ誕生日だろう、何か欲しいものはあるか?」と訊ねられて悩みに悩んだ末に「じゃあ……」と呟く。
「キスして、ほしい」
彼は奥手だ。私のことを大切に想っている誠実のあらわれだとしても私にはそれがなんだか焦れったくて物足りない。距離を縮めたい。
「それは、恋人同士なら普通にするものだろう」
「えっ、それならどうしよう……。私、その、もう少し恋人らしいことしたいから強請ってみたんだけどプレゼントにはならない?」
「ならない」
え、じゃあ、これから普通にするんだ。特別でなくとも恋人だから普通に……当たり前のように。……ううう。なんか恥ずかしい。
私だけがしたがっているのかと思ってたけど我愛羅も私とキスがしたいのだろうか、そう思えて気持ちを確認したくなる。
「特別でなくとも、してくれるの?」
「オレは……したいと想っていた」
気持ちを知ってしまって顔が熱くなるのを感じながら両手で頬を押さえると我愛羅はそんな私の様子を見て、少しだけ口元を緩めた。
「わかった」
頭を撫でられたかと思えばゆっくりと顔を近づけられて反射的に目を瞑る。……唇に触れる柔らかさと温かさに塞がれてしまった。優しくて心地良い触れ合いだった。
目を開けると微笑みを浮かべる彼は見惚れてしまうくらい嬉しそうな表情を浮かべていた。
またしてほしいなと視線を合わせると自然と言葉にしなくてもお互い唇を寄せた。
「どうして今までしてくれなかったの?」
「機会を探っていた」
え、ええ……タイミングが分からなかったってこと? 我愛羅らしくて淡く微笑むと我愛羅はその唇の上に啄むような軽い口づけを何度もしてくれた。我愛羅は喜んでくてれているのか、分からない。分からないけど、嬉しい。幸せになって夢中で浸っていると無意識に「んっ」と声が漏れてしまった。
我愛羅も驚いたように息をつめて押し黙ってしまう。
「ごめんなさい、変な声でちゃって」
「……嫌だったか?」
謝るとまるで気にしていないという意思表示なのか彼の手が後頭部へ添えられる。
「ちょっとびっくりしただけ、すごく嬉しいよ」
「そうか……」
頬だけじゃなくて耳まで赤らんでいる。なんだか新鮮でつい見つめてしまう。
「我愛羅も、照れたりするんだね」
私の声によってだろうか、少し得意げになると面映ゆい気持ちを誤魔化すように我愛羅にまた口付けられた。今度は深く、舌が入り込んできた。思わず身体が震えたけれど逃げられないよう押さえつけられた。
内頬や根まで、ゆっくり味わい尽くすかのように絡ませてくる舌の動きに翻弄される。暴力的にも感じる愛情が口の端から唾液と共にあふれそうになるのを必死に耐えて、呼吸の仕方がよく分からなくて苦しくなってきたところでようやく離された。
肩で大きく息をしていると我愛羅が愛おしむように微笑んで「欲しいものは見つかったか?」と問いかけに私は首を横に振った。
「まだ見つからないみたい……」
本当はこの時間がもっとほしい、もっとたくさん我愛羅に触れてほしい。まだふたりでできてないことを、知らないことを他の誰でもない我愛羅に教えて欲しい。
でもきっと特別な日でなくとも当たり前のようにある日々の中であっても、この時間はこれからもこうして当たり前のように我愛羅は与えてくれるのだから。
「考えておくね……」
大好きな人と一緒にいられる時間が何よりも幸せで、今はただ彼から与えられる至福感と優しさに包まれていたかった。
2022/03/29
唇
我愛羅が私の唇にそっと指を置いて触れてくる。かさついた感触に顔をしかめた。
「荒れてる」
急な接近に慌てて目を逸らして「あ……後で保湿剤塗るから離して」と抗議するとまるで逃げるのを拒むようにぐっとそのまま指に力が加えられて上唇に刺激が走った。
「いっ……」
「すまない、切れてしまったか」
我愛羅は顔を寄せてきてキスをしてくる。
触れ合いからどことなく申し訳なさそうに控えめでもお詫びなのか知らないけど唇を湿らせながら血を拭いとって丹念に舐めてくれる。口先に吸いついて最後に甘噛みを残すと満足したのか「これでいい」と頭を撫でられる。
「全、然、よ、く、な、い……っ!」
ただただ唖然として睨めつけても「まだ血がでているな」と重なり合いそうになる唇を手で遮るとどこか不満気だ。
「我愛羅が触れるところだからちゃんとお手入れします」
「オレがしておこう」
我愛羅の前ではなんにも役に立たない遮る手は抵抗を失って彼によって繋ぎ止められてしまう。隔たりがなくなってしまえば、またやわい感触がおりてくる。
2021/12/28
友達?
「が、我愛羅」
「どうした」
「あのね、こういうことって友達でもしないと思うんだけど」
「用があるから寄ってもいいか」と言われて招き入れると玄関の扉をすぐに閉められて腰を引き寄せられて抱きしめられた。
更に身体を密着されてぎりぎりと圧迫される。怒ってる……?
「そうだな」
「え、じゃあどうし……て、するの?」
「友、だとは思っていないからな」
「そんな……」
悲しくて震える声で「私は我愛羅のこといい友達だと思っていたのに」と腕の中で俯くと、「悲しませるためにそんなことを言ったわけではない」と申し訳なさそうに微笑まれた。
「こういうことをする間柄の関係を知っているか?」
「あ、……愛人」
涙が出そうだ。友達以下だ。
「違う」
「じゃあ、なに」
「恋人だ」
拉げてた気持ちが吹き飛ばさるてしまう。言葉の意味を自覚するとどんどん頬と身体が熱を帯びていってどうしようもなくなる。
「いつまでも気づいてくれないからな、もう我慢の限界だ。そろそろ男として意識してくれないか」
「オレは恋人という間柄になりたい」と希求してくる我愛羅に、私は必死になって頷くだけでしか返事ができなかった。
2021/12/25
傍からみる
!モブ視点
「風影様、お疲れ様です」
「お疲れ様です」
今日の業務も終わり。同僚とふたりで帰ろうとした矢先、風影様も執務が終わったのか出くわしてしまう。
廊下を開けながら挨拶をかわすと一言労いの言葉を頂いた。
「あの風影様──……」
もしかしたら風影様と恋仲ではないかと噂が密かに立っている方の名前をあげて「さっき少しだけお話しました。Aランク任務から無事に戻ったみたいですね」と伝えて反応を伺う。
すると風影様は「そうか、……無事に帰ってきたのか」と心底安心したような柔和な表情になる。
名前を聞いただけでこんな無防備に……その様子でおおかた察してしまう。
帰ってきた、誰の元になんて質問をするのは野暮な至りだろう。
妙に感心を覚えながら「あ、そういえば……」と続ける。
「医療班のところに行くとか言ってたような……」
「医療班のところに……?」
その瞬間、風影様はいてもたってもいられない様子になって「そうか、お前達も遅くまでご苦労だった」と早足でその場を立ち去ってしまう。
風影様の気配が消えたタイミングを見計らって、隣で惚けている同僚を肘で小突きながら囁いた。
「あんたみた、風影様の安心した笑顔から心配そうに歪んだ顔……」
「ああ、みた」
「よかった。私の幻覚じゃなかったのね。やっぱり……あの人が」
「風影様の特別な人っスね。なんていうか……あれはかなり愛されてますね」
「そうね……」
「なんか急に恋人が欲しくなりました。怪我したら心配して駆けつけてくれるような恋人」
「あら。できるといいね、応援してる」
「ところで先輩、今度僕とご飯でも……」
「いやいや、冗談よしてよ」「あの、本気なんですけど」と浮足立ったままその場を後にしたのだった。
2021/11/30
寒い朝
「もう朝だ」
「ううう、寒い……ベッドからでたくない」
「……そうだな」
「ほら、我愛羅も朝だよ起きないの?」
「……まだ少し時間がある」
「そうだね。それでも……。さ、寒い……が、我愛羅……くっついていい……?」
「……くっつく…………」
「い、いやなら、覚悟を決めて……起きよう?」
「いや、大丈夫だ。こっちにこい」
「ありがとう、手もほしい……」
「隙間ができると冷気が入って余計寒いだろう、……もう少し密着したほうがいい」
「ぎゅっ、てしていいの?」
「……ああ」
「やっぱり、我愛羅あったかい……大好き」
「っ……」
「我愛羅?」
「身体が火照ってもう熱いくらいだ……自制の限界がくる前に離れよう」
「え、そんな我愛羅までも……急に冷たくなるなんて……」
2021/11/28
可愛い人
最近気になる人がいる、その人を見れば見るほど日毎に想いが募ってやり場のない気持ちが溢れそうになる。
惹かれているからそう見えるのか他の者よりも特別に映るのは気のせいではないはずだ。
出逢った頃と比べると隣にいる彼女はよく笑うようになった。何が面白いのかも嬉しいのかも分からないがいつもこの表情を見ていると彼女と自分は同じ気持ちで傍にいたいと想ってくれているようにみえて安心する。
特に最近は目に見えて実感するから「何かいいことでもあったのか」と聞くと「好きな人が、できたんです」と、何気ない一言にすぎないのに衝撃が胸に響いていたかった。
「意外と可愛い人でほっとけなくて、気づいたらいつも心にその人がいるんです。でも手が届かない人で恋と同時に失恋しちゃったんですけど一緒にいるとやっぱり幸せなんです」
どこか遠くを見つめる彼女は切なげで、その眼差しは手が届かない可愛い人に降り注いでいるのであろう。一体誰なのか、いつからなのか。恋は女性を綺麗にすると聞くが彼女が魅力的に見えたのはその人のために変わったからだったのか。
自分とはかけ離れている存在だろうと茫漠に思う反面、自分であれば失恋なんてさせないのにとやるせなくなる。
誰なのか聞いてもいいかと問うと彼女は頬を染めながら「我愛羅様」とまっすぐ伝えてくるから思わず何食わぬ顔で「そうか」と応えて我にかえる。
「……オレ?」
可愛い人……?
2021/11/28
膝枕
突然いつもと変わらない表情で「膝枕というものはなんだ」と聞いてくるから、ソファに腰掛けて無理矢理我愛羅に横になってもらう。
「これが膝枕です、どうぞ」
頭を太腿に乗せるように指示すると「そこは太腿だが……」と言い淀みながら頭を預けてくれた。我愛羅はがちがちに固まったまま「これが本当に膝枕なのか? それに……どこを見ればいいのか分からない」と見つめてくる。
どこでそんなものを知って興味を惹かれたのだろう。まさか言葉通り膝を枕にするものだと思って疑問を感じたのか、テマリさんかカンクロウさんあたりにそそのかされたのか。
「騙したりしてないから。えーっと、……あっち向いててよ」
とりあえずなんか恥ずかしい。居心地は良いのか悪いのかはあえて聞かない。
我愛羅の視線が気になるから彼の目を手で覆うとそこはかとなく不服そうな雰囲気を醸し出している我愛羅を見ていると複雑な心境を抱く。
「嫌なら起きて。それに膝枕してもらうなら別にカンクロウさんとか、んーあとはカンクロウさんでもよかったんじゃない?」
「なぜカンクロウ限定なんだ」
「じゃあテマリさんとかバキ上忍? マツリちゃ、」
「……誰でもいいって訳ではない」
へぇ、それって……。唐突に我愛羅の顔が見たくなったから瞼の上から手を離すと顔の向きを変えられた。仕方がないから我愛羅の髪に指を差し入れて梳くと心なしか頬が赤い気がする。
今、心臓が高鳴って仕方ないのに我愛羅の表情が見たくてたまらない。
「我愛羅、こっち向いて?」
呼びかけてみても返答がない。規則正しい呼吸音だけ聞こえてくる。
「狸寝入りで誤魔化してない?」
「……寝ている」
「そういうことにしておきます」
なんだか気に入ったご様子だからもうしばらくこのまましてあげとこう。
甘えるのが下手くそな大好きな人のために。
2021/11/27
コードネーム
!モブ視点
「暗部名もらったの」
「それって言ってもいいやつでしたっけ……あ、でも確か僕と組む予定でしたよね、支障がないなら教えてもらってもいいですか」
「タヌキ」
「ん?」
「タヌキ」
暗部名は動物の名をつけられることが多い。
でもこれは……。
「……愛されてますね……」
「どういうこと? でもなんか以外だよね、私そんなにタヌキ好きじゃないんだけどなぁ」
「それ風影様が聞くとショック受けると思いますので内密に……」
「ショック? それとも私ってタヌキっぽいのかな?」
「違うと思います」
「我愛羅の好み?」
「うーん、えーと。それもなんか少し違うと思います」
多分きっと風影様は自分のものだってそう言いたいのだろうか。言わないほうがいいですかね。
2021/11/27
弱み
我愛羅のずるいところは傍にいたいと思わせることが上手なところだと思う。
「我愛羅、また明日ね」
黙って縋るようにじっと見つめられ、名残惜しそうに触れてくる。抵抗すれば難なく逃れることができる力加減で抱きすくめられるから逆に困惑してしまう。
「我愛羅?」
離れがたい様子が全身から伝わってくる。我愛羅の耳殻が私の頬にくっついて少し冷たい、それほどまでに近い。
だめだ……いじらしいこの人に負けてしまう。
「我愛羅……私が我愛羅に特別弱いって知っててやってるでしょ?」
「そのつもりはない」
素……無自覚……。もっと傍にいたくなってしまった。
「やっぱり……その、今日泊まっていい……?」
「ああ」
顔をあわせるとどことなく瞳の輝きが増した気がする。無表情でも喜んでくれているのか、後頭部を撫でられてさらにきつく抱き寄せられる。「ベッドが一人用だから少し狭いかもしれない」と心配する我愛羅をよそに私は添い寝前提……なの? と疑問に思いつつも「逆に狭いほうが寄り添って眠れるからいいよね?」返した。
2021/11/27
待ち合わせと我愛羅
「我愛羅、難しい顔をしてるね。何かあったのか?」
「テマリか……。今度恋人と出かけることになったんだがわざわざ待ち合わせをすることになった……同棲しているのだから一緒に出ればいいものを……」
「な、なんだそれ……めちゃくちゃ、かわいいじゃないか! そんな彼女のこと大切にしろよ我愛羅」
「待ち合わせする意図が理解ができない。一緒にいる時間は長いほうがいいに超したことはない」
「待ち合わせデートしたいってことだろっ! 初々しい恋人同士の気分を味わいたいんだよ、かわいいじゃないか!」
「な、なるほどな……」
「こういう、いじらしいところがたまらないね。私もあの子みたいな恋人がほしいよ」
「たとえテマリでもそれは許さない、彼女はテマリとも付き合えると言っていた」
「冗談だ、それに私は女だぞ?」
「………………関係ない……」
「あの子が抱く愛の前では性別も障害にもならないんだね、さすがだね」
2021/11/22
千年殺しと我愛羅
「ナルトくんがね、『木の葉体術秘伝奥義・千年殺し』の話してくれたんだけど、どういう技なんだろう。私も会得できるかな?」
「……虚を突くような攻撃なのは確かなんだが……あの術は誰もが使用を躊躇う至難の技だ。何より尻込みするような痛さ……いや、なんでもない。それだけだ」
「そうなの? 我愛羅にここまで言わせる秘伝奥義、一体何? どんな技なの?」
「とてもじゃないがオレの口で言うには難しい」
「そっか……ナルトくんに直接聞くしかないのかな? でも秘伝奥義なんて他里の忍びに教えてくれないだろうし……、うーん」
アレがどんな技なのか知った時、彼女ははどんな顔をするんだろうな。
2021/11/21
カメラと我愛羅
※現パロ
「じゃーん機種変した、画質がいいみたい。せっかくだからツーショ撮ろう?」
「なぜ急に……」
「ほら、私がシャッター切るよ。こっちみるんだよ、そうそう」
……
「我愛羅、目瞑ってる……やだ、なんか愛おしい……」
「消せないのか?」
「消さない、宝物にする」
2021/11/20