エルザ | ナノ


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「エルザちゃん大丈夫?顔が真っ青よ?」
「少し…気持ち悪いです」

ジョースター邸に到着したもののかなり気持ち悪い。お母様が心配してくれてはいるが、正直喋ると色々と出そうになるので話しかけないでほしいな。

「歩くのが辛いなら抱っこしてあげよう」

ほら、とお父様に抱き上げられる。吐きそう…お父様とはいえ初対面の人の肩にぶちまけるわけにもいかないし………あ、吐き気をなかったことにすれば良いんじゃあないか。と、思った瞬間吐き気が消えた。禊さんサンキュー。

「お父様、もう平気みたいですから降ろしていただいてかまいませんよ」
「そうか?もしまた気分が悪くなったらすぐに言うんだぞ」
「はい」
「じゃあ行こうか」

お父様が自由になった手で屋敷の扉をノックするとメイドさんが出てきて中に通され、座って待っていると、ジョースター卿と、私と同い年くらいの男の子が現れた。恐らくジョナサン・ジョースターだろう。

「お久しぶりですジョースター卿。こちらが娘のエルザです。エルザ、ご挨拶を」
「初めましてジョースター卿。エルザと言います、よろしくお願い致します」

ぺこりと頭を下げるとジョースター卿に頭を撫でられた。顔を上げてみると優しそうに笑っていた。

「初めましてエルザちゃん。私はジョージ・ジョースター。こちらは息子のジョナサンだ、仲良くしてあげてほしい」
「もちろんです。ジョナサン、仲良くしましょう」
「う、うん。よろしくね、エルザ」

緊張しているのか、人見知りなのか、ジョースター卿の脚にしがみついて隠れているが仲良くする気はあるらしく、挨拶はしてくれた。まあ私は見た目は子供頭脳は大人状態なので温かく見守ることにしよう。

「二人で遊んでくるといい」
「そうねぇ、せっかくお友達になれたんだし」
「ジョジョ、エルザちゃんに庭を案内してあげなさい」

大人達に促され、私とジョナサンは庭で遊ぶことになった。薔薇が綺麗に咲いている。やっぱり貴族って薔薇が好きなんだろうか…私の家の庭にもあったのを見たし、部屋にも飾ってあった。まあ綺麗だとは思うけど。

「あ、あの、エルザ」
「ん?」
「怒ってる?」
「怒ってないよ」
「ホント?良かった。ずっと黙ってるから、何かしちゃったのかと思った」
「薔薇に見とれていただけだよ、ごめんね」
「ううん。僕のほうこそ、ごめんね。ねえエルザ、僕のことはジョジョって呼んで、父さんも僕をそう呼ぶんだ」
「分かったわジョジョ、改めてよろしくね」
「うん!あ、そうだ、薔薇も綺麗だけどこっちにも綺麗な花が沢山咲いているんだよ、見てみて、きっと気にいるから」

そう言ってあちこちと連れまわされた先には、確かに色々な綺麗な花々が咲き誇っていたが、如何せん今の私は幼女なので体力が無い。小走りで広い庭をぐるぐると案内されてはすぐに息が切れてしまう。ってかジョジョは疲れないのか、男女の差なのか、それとも私の体力がないのか、こんな状態では花を楽しむどころではない。

「ジョジョ、ま、待って…」
「エルザ、どうしたの?大丈夫?」

どうしたの?じゃあないだろう、と文句を言う前に、呼吸を整え、未だに不思議そうな顔をしているジョジョに向かって口を開く。大人達もいないしもう猫は被らないことにする。

「あのな、みんながみんなジョジョみたいに走り回れる体力があるとは限らないんだ。ましてや私は女の子だ、分かるな?」
「うん」
「ジョジョが私に綺麗な花を見せたいって思ってくれたのは嬉しいことだけれど、ゆっくり歩きながら見たって花は逃げたりしないんだから走る必要はないよな?」
「うん。…ごめんねエルザ。僕楽しくって…」
「じゃあもう一回、今度は歩きながら案内してくれる?」
「もちろん!ゆっくり歩いて見て回ろうね」

そうしてお庭案内二週目がスタートした。今度は走らず、時々立ち止まってじっくりと観察した。私もジョジョも花のことは詳しくないので名前やら何やらは分からなかったが充分楽しめた。しばらくするとメイドさんが呼びに来たので、屋敷に戻り、お茶を楽しんだ。日も暮れてきて、そろそろお別れの時間のようだ。

「エルザ、また来てね」
「大丈夫、また来るよ」
「本当に?」
「ホントホント」
「明日来てくれる?」
「明日はちょっと…」
「コラ、ジョジョ、エルザちゃんを困らせるんじゃあない」
「ハハハ、明日は無理だけれど、来週なら来れるよ。ジョナサン君、それじゃあだめかな?」
「……わかりました」
「じゃあまた来週ね、バイバイジョジョ」
「うん。必ず来てね。バイバイ」

名残惜しそうなジョナサンに別れを告げて馬車に乗り込む。にしても何であんなに懐かれたのか分かんないな…。まあ仲が良い方が良いだろうし、拒む理由もないし仲良くしとこうか。





そんなこんなで十年が経ち、ジョジョとも良い関係を築いていたある日、ついに原作が始まることになる。そう、やつが来たのである。







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