今日も頑張った君へ。





"やっと街が見つかったから、今日はそこで寝る。
ナマエはもう仕事終わったか?"



ベッドに寝転がりながら握ったスマホが鳴ったのを咄嗟に手に取って、私は小さく笑った。
待ち侘びていた、彼からのメッセージ。
その上には、「仕事つかれたよー、クラウドは調子どう?」と、夕方に私が送った一言が表示されている。

優しい彼だ。私の何気ないメッセージにも丁寧に返してくれるのが嬉しくて、急いで返信を打った。




"うん。とっくに終わって、今はベッドの中。
今日寒いから厚い布団出してきちゃった。"





メッセージにはすぐに既読がついて、ぴこん、とスマホが受信を知らせる。



"腹出して寝るなよ。"



「ふふ、寝ないっつの。子供じゃないんだから。」

思わず画面に呟いて、すぐに返信を送った。
クラウドの中で、私が子供なイメージはまだまだ拭いきれていないらしい。
こんなメッセージが、よく来る。


"クラウドこそ、いつもみたいにヨダレ垂らして寝てたらティファ達にドン引きされるよ。"


なーんてな。
思わずにやけながら送ると、焦ったようにメッセージが返ってくる。


"え、"


え、って。
画面の向こうで慌てているのだろうか。
クラウドの焦った顔って、想像できないかも。


"ウソでーす。"


"驚かせないでくれ"


"ヨダレ垂らす顔見てみたいけどね"



"今度会ったら覚悟しとけよ。"




そこまでやりとりして、ぽんぽんと表示されていたメッセージの流れが、一瞬止まる。


今度、会ったら。


それはいつだろうか。
私たちはまた会えるのか。





会いたい



そう打ってから、送信の欄からその文字を消す。

……言えないよ。彼女でもないのに。

苦しくてぎゅう、っと目を瞑る。






ぴこん、



"早く、ナマエの顔が見たいな。"




「……クラウド、」

私も、早くあなたの顔が見たい。
まだ、ちゃんと告白も出来ないまま別れてしまったんだ。

だから、ちゃんと私があなたに言葉を伝えられるまで、


"それまで、ちゃんと元気にしてるんだよ。"


"分かってる。おやすみ、ナマエ。"





「……おやすみ、クラウド。」


彼のメッセージにスタンプを送って、スマホの画面を切る。
ベッドの中、浮かぶのは、あの日々の彼の姿ばかりだ。


どうか、明日も一日、彼らが元気で居られますように。
そう祈って、私は瞼を閉じた。










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