Episode 2





マリンは色々な話をしてくれた。
今日食べたご飯、お友達と遊んだこと、そして魔晄炉爆破のニュース。

クラウドもバレットも出かけてるなんて、こんな時に大丈夫だろうか。
何かあっても、自分の身を守ることは出来るだろうけど。

話していると、ふとティファが駅の方に顔を上げた。


「あっ、マリン!」

夜も深くなってうとうとしだしたマリンに声をかける。
その声に目を覚ましたマリンは、同じほうを向いてハッとすると、嬉しそうに立ち上がった。
目線の先には、満面の笑みを浮かべたバレット。

「父ちゃん、おかえりなさい!」

「ただいまぁ!」

マリンを抱き抱えたバレットは、彼女の笑顔に骨抜きにされてる。
こういうのがギャップなんだろうな、なんて。
私とティファも、バレットに おかえり と声をかけた。
うん、無事に帰ってきてくれて良かった。
魔晄炉の件で危険な目にあってるんじゃないか、なんて、とんだ杞憂だったみたいだ。

「いい子にしてたか?」

バレットがマリンに訪ねる。


「うん、ティファとナマエと遊んでた。」

「そうかぁ〜 よーし よしよし」

マリンが答えると、バレットも嬉しそうにしてセブンスヘブンに入っていった。



そして、彼……クラウドは、その奥にひとり立っていた。
彼の方に歩みを進める。

「……クラウド、久しぶりだね。」

彼を目の前にしたのに、予想よりずっと落ち着いて声を掛けられていた自分に少し驚いた。

「ああ、ナマエ。元気だったか」

「うん、クラウドも元気そうで何より。」

「まあ、な。」

2人でセブンスヘブンへの階段をのぼる。

ティファは気をつかってくれたのか、ドアのところで私たちを待っていた。


「おつかれさま」

ティファの声に、クラウドが うん。と小さくこたえる。
ふとティファが何かに気付いたように、クラウドの胸元を指さした。
そこには、小さく揺れる1輪の黄色い花。


「それ どうしたの?
本物でしょ、めずらしいね」

言われて思い出したのか、クラウドは「ああ、」といって、花をティファに手渡した。

ティファも驚いたみたいで、花を受け取ると照れくさそうに笑う。


……あ、これ あんまり見たくないかも。



「意外だな。クラウド、こんなことするんだ」

「5年ぶりだ、少しは変わるさ」

何となく間に入ったらいけない気がして、2人のやりとりを一歩後ろから静かに聞いていた。
なんだか今日は、落ち込むことが多い気がする。


「バレットに話がある」

クラウドが真剣な面持ちでティファに言った。
入って入って、とティファに促されてクラウドが店につま先を向ける。

なんだか入りずらくて、私は踵を返した。


「ティファ、私いまからアパートの片付けしてくるから、先に戻ってるね。
バッグ2つくらいしかないし、すぐ終わると思う。」

「あ、ナマエ。うん、わかった。」

「クラウドも、後でね。」

「ん?ああ……」


小走りでアパートに向かう。
店を離れて振り返った時、ちょうどクラウドとティファがお店に入るのが見えた。

……やっぱり、あの二人がお似合いだよな。なんて思ったりして。

だめだ、疲れてるとどうしてもつまらない事ばっかり考えてしまう。
さっさと荷物を片付けて、今日は早めに寝ちゃおう。なんて考えながら、自分の部屋から荷物を運び出した。








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