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ボクとキスしよう

 ダイゴさんの胸元に刺さっているメガラペルピン。彼のパートナーであるメタグロスをメガシンカさせるための、大切なもの。キーストーンの台座はまるで王冠のようなデザインで、まさにホウエンの王者である彼らしい。そんなメガラペルピンが、今、私の手の中に。1日が終わるときにスーツから外して、柔らかい布で手入れをして、ワインレッドのクッションに寝かせている。いつもこのキーストーンに口づけをしてメガシンカをさせているダイゴさん。その姿はまさに芸術品のように上品で高貴。

 私も、と口づけると、硬くて冷たかった。でも、いつもこうやってるんだなって、なんだかダイゴさんになった気分だった。それに、こうすれば……いつもは恥ずかしくていっぱいいっぱいのキスを、楽しめる。

「何をしてるんだい?」
「えっ、いつの間に……!?」
「そんな回りくどいことしなくても、こうすればいいだろう?」

 キーストーンとは違う、柔らかくて温かいキスだった。

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