親愛なるふでばこさまァのお家から(勝手に)お借りしまして文房具擬人化の子達かわいいですという衝動で書いたものですすみませんでした。
☆ナチュラルに同棲
☆設定とか適当
☆性格とかわからん
今日は良い天気だった。ぶらぶら土手を散歩して沈みかける夕陽を見る。あの光が彩の瞳に反射したらきっととてもきらきらするんだろうな、とか考えながら家路につく。
僕と彩は一週間前から同棲をはじめた。
きっかけはよく覚えていない。けれど互いに一緒に居るのが普通で、なんとなく、がきっと正解なのだ。
くすんだコンクリートの階段を登り、二階へ。四階建てのマンションの二階の、一番端の部屋に僕等は住んでいる。時々上の階からバタバタ走る音やなんだか良く分からない怒声やらが聞こえてくるが、ボロっちいマンションなので仕方が無い。金銭的にあまり余裕がないのだ。けどまあ、部屋に入ってしまえば防音はそこそこきちんとしているし、そんなに気にする所ではない。
気にする所は他にある。
同棲をはじめて、気づいた事がある。
これは同棲をはじめなければ気付かなかったことで、まあ別に知らなくてもよかったような、嬉しいやら悲しいやら複雑な気持ちなのだが。
彩は劇的に金遣いが荒い。なんというか、馬鹿なのかと言いたくなる程に、例えるなら小学生のお使いに一万円の札束を持たせて余ったら好きなもの買っていいよと言うみたいな、馬鹿みたいな買い物の仕方。良く今迄それで生きてこれたな、と思ったけど彩の実家はトンデモな金持ちらしく、所詮庶民の僕にはセレブの気持ちなんてわからないということだった。
しかし今回の同棲にあたって、彩の両親からそれはもう猛反発を喰らって半ば駆け落ちみたいな事態になってしまったので金銭的援助は期待できない。もともとそんなこと頼むつもりも無かったが彩の金遣いを考えるとそれこそ一ヶ月くらいで破産しそうなので彩には必要最低限のお小遣いしか渡さない決まりになった。
普段から湯水以上に金を使っていた彩だったから、最初こそどうなるかひやひやだったけれど、順応性は高いらしく、あれば使うが無ければ使わないと言うことで、意外となんとかなるもんだった。
ポケットから鍵を取り出して鍵穴へ差し込む。くるりと回して錠の開く音。玄関に彩のサンダルがきちんと並べてある。僕が部屋を出た時のままだ。
「彩、ただいまー」
玄関から真っ直ぐ廊下を歩いて二つの扉を通り過ぎ、いちばん奥に向かう。目的地はリビングだ。扉の陰からちょろっと顔を覗かせて綺麗な銀髪が揺れる。彩だ。
「おかえりー、モノ」
にへーと笑っててこてこ近づいて来て、右腕に左腕を絡ませてくる。可愛いなぁ。
「お腹すいた。」
「ちゃんと買って来たよ、卵とネギと鶏もも肉」
「えへー」
僕は左手にぶら下げていたビニール袋を掲げてみせた。
今日の晩御飯は親子丼。
☆☆☆☆
ぐつぐつと煮る鍋から視線を外して、ちらりとリビングを盗み見る。
モノは何やらビニール袋をがさがさしていた。お菓子でも買ってきたのだろうか。
卵と鶏肉に視線を戻して、ガスの元栓を切る。ちょっと焦げてるけど大丈夫だろう。余熱で少し置いといて味を染み込ませた方がモノは好きだった、はず。
僕はきちんと火が消えているのを確認して、キッチンから離れた。
モノの背中に抱きついてぎゅうっとする。あったかい。
「モノー、なにやってるのー」
「んー」
モノはガサゴソしていた袋をくしゃくしゃにまるめてゴミ箱へ投げた。ナイッシュー!
「ほら、あげる」
手のひらくらいの箱。食玩? あ、ガム入ってる。
それは僕が時々集めてる指人形の食玩だった。モノ、覚えててくれたんだなー。
「ありがとー、モノ好きー」
ぎゅっともう一度だきしめてから鍋を見に行った。
指人形は後でテレビの前に飾っておこう。
鍋の蓋を開けるとちょっと焦げた匂いがしたけど、多分大丈夫だ。モノは僕が作った物はなんでも美味しい美味しいって言って食べてくれるし。男は胃袋で掴めって白さんも言ってたし。
お肉が程よく柔らかくなったので火を止めた。
お皿を出して、炊飯器を開ける。炊けたお米のいい匂い。思わず顔が綻ぶ。いつの間にか隣のモノが立っていて、だらしない顔が見られてしまった。恥ずかしい。
「ご飯どれくらい食べる?」
「たくさん食べるよ、彩ちゃんのご飯は美味しいからね」
大好き!!