短編 | ナノ
呪う門に福よ来いっ


「何かすごいこと起きないかなー」


年下の可愛い恋人が、急にそんなことを言い出した。


「例えば?」

「恭平くんが死んだり……恭平くんが交通事故にあったり」

「何それ!?」


俺、何かしたのか!?


「笑う門には福来る、って言うでしょ?」


理乃ちゃんが難しい顔で話し出す。
嫌な予感しかしないけど、聞くしかない。


「でも笑ってても全然福が来ないから、呪ってみることにしたの」

「その発想おかしいでしょ!?」

「どこが?」

「俺が1.7回くらい死んでるし!」


激しくツッコミ過ぎて息切れする。
理乃ちゃんはそんな俺をつまらなそうに見ていた。


「理乃ちゃんは幸せじゃないの?」

「恭平くんは幸せなの?」


質問をそっくりそのまま返される。俺の答えなんて決まってる。


「もちろん!理乃ちゃんと一緒に居るし!」

「……そうですか」


少し照れている様子だけど、それでもつまらなそうな顔をする理乃ちゃん。
ここは彼氏として頑張らないとな!


「理乃ちゃん」

「っ!」


理乃ちゃんの腕を引き寄せて軽くキスをする。



「幸せが来るおまじない!」


本当は俺と一緒に居て幸せになって欲しいけど。
(…将来的には絶対そうしたいけど)


今はまだ無理なら、どんな努力だってしてやる。
理乃ちゃんが幸せを感じてくれるように。


俺が一人で幸せなだけじゃ駄目だ。


「ありがと、恭平くん」


理乃ちゃんがやっと笑ってくれる。
俺は、理乃ちゃんがそうやって笑ってくれると幸せなんだ。


「今日は素敵な男の人と運命的な出会いがあるかもなー」

「ちょ…ちょっと待った!そういう事じゃないからっ!?」


まずは俺の幸せが逃げないように努力する必要がありそうだ。


→おまけ



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