fate. | ナノ





今日大型ショッピングモールに行って買い物をした。
欲しいものも買えて満足できた。
あとはイルの仕事を終わらせるためにヨークシンに向かう。


私はもちろん飛行船で留守番。



けど、ヨークシンはオークションだけでなく値札競売市が有名だ。
パドキアにはそういう市はないから興味がある。
正直に言うと、行きたい。


イルは私の安全のために飛行船で留守番をさせるっていうのはわかってる。
知らない国で一人で出かけられるほど私は強くないし。



イルについてきてほしいけど、イルは仕事で忙しいだろうし。




「イル」




ソファーで雑誌を読んでたイルに話しかける。



「なに」
「あのさ、ヨークシンについたらさ、買い物行きたいんだけど……」
「……今日買い物いっぱいしたのに?」
「値札競売市に行きたいんだ」
「……最近のヨークシンは治安よくないよ」
「オークションにマフィアいるから?」
「マフィアくらいならうちの執事でも余裕だけど、今回は俺でも手こずりそうな奴らなんだよね」





ダメだと言わないで、私が自分から断念するように仕向けてる。
……やっぱり無理かな。
イルは私の安全のために言ってるというのがよくわかる。
だから余計に私も強く言えない。


けど今回を逃したら貧乏な私はもう二度と来れない。






「……ちょっとだけとか」
「ヨークシンに着いたら情報収集でオレは忙しいんだよね」
「す、すぐ終わるから」
「オレなまえの買い物に付き合う時間本当にないんだよね」
「二時間……一時間だけでも」
「……」
「おねがい」



私もソファーに座ってイルの目を見ながら言う。
イルも雑誌に向けてた視線を私に向けた。








「……一時間だけね」







「やった! イルありがとう!」
「……護衛はつけるから」
「もちろん!」






イルは仕方ないといった感じで私の手を握って雑誌に目を戻した。
やっぱりなんだかんだ言ってイルは私に優しい。
この優しさ、今度キルアに教えてあげよ。












――――次の日






「カル、よろしくね」
「……なんでボクが! ボクも兄様に着いていきます!」
「情報収集は明日からでもできるから」
「けど!」





イルが仕事でついていけないから他の護衛を誰か選ばなきゃならない。
そして選んだのはまさかのカルト君。
なんでこの人選なの。
……けど、これが仲良くなるきっかけかも!
がんばれ私!






「なまえ、一時間だからね」
「わかった! お土産買ってくるからね!」
「お土産はいいから絶対怪我しないで」
「はーい」





心配性だなあ。
苦笑いしながら返事する。






「じゃ、カルト君行こっか!」
「……」




ものすごく不服そうにわたしを睨むカルト君。
イルに着いて行きたいんだろうなあ。
そりゃそうだ。
カルト君は私の護衛をしに来たんじゃなくて仕事をしに来たんだからなあ。
うーん、本当に申し訳ない。



思わず手汗がにじむ。




……先行き不安だ。



けど仲良くなりたいしがんばらなきゃ。



(カルト君にお姉ちゃんって呼んで欲しい!)
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