反発し合う少年少女の若干続き)



Nの何処が好きなの、と問われた。双子の彼女の目元は少し赤くて、ああ彼女を悲しませたのかと気付く。けれど彼女が問いかけた言葉は強く、逃げることを許さない。くるくると頬にかかっている長い癖のある髪の毛を指で弄ぶ彼女に、俺はどう答えるべきかと意味もなく帽子のつばに手をやる。深く被りなおすと彼女はじっと俺を見詰めてる。ああ、昔から彼女の瞳は何時だってまっすぐで強い意志が秘められていた。濁りのない目はNと対照的で、おなじ綺麗な瞳なのに、Nはいつも悲しみを帯びていた。それが最近彼女に伝染していたけれど、変わらず彼女の瞳は美しい白を帯びた穏やかな目だ。



「、好きっていうか、…俺が、Nの側に勝手に居たいん、だ」



悲しみが取れないなら、静かにそれを一緒に背負って、時の流れに流したい。



ぽつりと呟けばそう、とホワイトは目を伏せてまた、くるくると指に髪の毛を絡めて遊ぶ。最近彼女は凄く大人っぽくなった。少女というより、女性に近くなってきてる。けれど彼女がそれにより傷ついていることを、俺は知ってる。知らないわけがない。俺のことでNと争った事だって知ってるし、Nがホワイトを傷つけてしまったと悔やんでいるのも知っている。だからこそ彼はホワイトが更に壊れないか恐れているし、聡明なことを知っているから彼女が今後不安定になり暴走することを危惧している。純真な存在が落ちていくことが恐いのだ。彼女は自分が俺にある種捨てられたと思っているらしいが(俺を取るなとNに言ったらしいから、)俺は双子であり、いつだって俺を守ってくれた、ホワイトという存在を見捨てることなどしない。彼女が俺を必要としてくれるならいつだって彼女の側に居るし、俺が彼女の双子であることに何時までも変わりはない。Nを好きで、愛しく思うことが彼女を切り捨てるような理由にはならない。



「そう、じゃあ、…もう私は、要らない?」



ぽそりと呟かれた言葉は静かで悲しく。ああ彼女はやっぱり、彼とよく似ている。それはない、と彼女の手を握り締めれば、ホワイトは泣きそうな顔をして笑った。ほら、君は嫌がるかもしれないけど、俺がNに惹かれて彼を助けたいと思ったのは、ホワイトに似た悲しみと優しさを感じたからなんだよ。ホワイトもNも脆くて優しい存在だから、俺は出来れば―この手で二人を抱きしめていたい。



正反対の二人

(正反対。けれど確かな、俺の大事な人たち)



10.09.28


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -