(若干バイオレンスなホワイトさんとNさんのお話故注意。視点ホワイト)(若干ですが暴力表現苦手な人バック!!



触るな、と叩いた白い手が赤く染まる。思い切り力を入れてたから白い服から伸びたその手はじんじんと赤くなってる。帽子を一度取ってなおし被ろうとしながらザマァみろ、と思った瞬間生意気だね、と静かに囁かれぐいっと引っ張られ思い切り結い上げた髪を持ち上げられる。反動でしゃがみこんでしかも帽子が地面に落ちた。しかも上へと引っ張られてるからめちゃくちゃ痛いし不自然に上半身持ち上がるしふざけんなホント。泣きべそばっかこっちはかいてられないんですけど。



「ったい!顔だけは紳士面してるくせ、に!」

「それはコッチの台詞だよ、すました顔してる癖に、暴力癖があるなんて知らなかった」



ああブラックが君の双子だなんて虫唾が走る。歪んだ笑いをする奴の首筋には冷や汗が流れてるのを私は知ってる。何、恐い?同志の私が歪む様を面白いって思ってるんでしょ?なのになんで恐がるの?ああ私が聡いから?知らなくてイイ世界を知って狂ったから?それは全部貴方の伝染。恐がるのは、私の病んだ部分が、貴方が一番嫌がった部分だったから?



「ブラックに今は無闇に叩いたりしない。小さい頃はのろのろしてるのとか、イラっとしてた。でもそれがブラックだったから、今は分かる」

「そう、でも彼に手を上げたんだ。トモダチに手を上げないだのなんだの僕に偉そうに言ったくせに、」



君もやっぱり汚い世界で生きる汚い人間だ、掃除機で吸い取られるべきゴミと一緒。背中を蹴られて咽て吐いて唾をぺっと吐き出せば、私は地面に手をついて髪を引っ張るのをやめたコイツの足を払うように片足を突き出して横に振る。激突して痛いけど倒れたNは帽子が外れて綺麗な緑の髪がさらさら揺れた。ああそれだけは綺麗。ねえ、大人しくただないものねだりしていれば、私はこんなにイライラなんてしなかった。自分を暴走させることなんてなかった。



「ガキ」

「ホワイトこそ」



お互い地面に倒れこんだまま吐き捨てれば、Nの瞳は濁らないことに腹を立てる。そんなにブラックに関しては一途で居られるんだ。じゃあどうして、ブラックが悲しむだろうことをするの?なんでブラックに伝染させようとするの?私だけならよかったのに、ブラックが泣くのは、悲しむのは、Nのせい。Nなんかを、好きになって、手を伸ばして支えようとしちゃうから。



「私の、守るべき人を、取らないでよ」



もう既にあの子は伝染してしまった。貴方というウイルスに感染した。N、貴方は私をも暴走させるウイルスだ。排除するにはどうしたらいい?どうしたら私は、悲しい貴方とあの子に後押しのための笑顔を向けられる―?



Nが立ち上がって私の落ちた帽子を拾う。引っ張られた髪からずれたヘアゴムが、風が吹いてきてぱさ、と下に落ちた。それも拾ったNは私の腕を引いて無理やり立たせる。長い髪がふわふわ風に揺れて、私の醜く歪んだ顔を隠してくれる。俯いているからあの人の顔なんて分からない、それでも頭を撫でてくれた手は優しく穏やかで、きっと思い切り叩いた部分が赤く腫れている事だろう。ごめんなさいといいたくても、私は大切なものをとられて、傷つきそうなのを受け止めて包めるほど、優しくは――ないんだ。



反発し合う少年少女

(歪んだ少女は純粋すぎた)(ああごめんね、そんな君を巻き込んで悲しませているのは、君が一番大切な人が愛してくれた僕なんだ)(その呟きが優しくて、私は抱きしめられたNの胸元をとん、と叩いた)



10.09.27


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