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kobakoまとめ *2021.12月号
・ほぼ魔族長と部下夢主(+たまにリザル)の会話文です。
・時系列等々バラバラ
・series設定の話も含まれています。


▼パブロフの長

「マスター……」
「ん」
「……美乳ですね」
「ハッ、当ぜ……、……どういう意味かな?」
「いひゃいれふごめんらさい言っれみただけでふッ!」

▼まだねむくない

「リシャナ」
「ふい」
「リシャナ」
「あい」
「リシャナ」
「……どうしたんですか」
「反応が遅い」
「も……眠くて……」
「……まだ早いだろう」
「うう、ほっぺつままないで……それにもう、体力の限界、です……」
「……リシャナ」
「マスターも、一緒に寝ましょうよ……手、握っておきます、から……」
「…………」
「…………」
「…………無理。起きろ」
「うううう、ね、寝かせてぇ……!」

▼犬にするやつ

「(わしわしわし」
「…………、(すっ」
「(わしわしわしわし」
「………………、(すっ」
「(わしわしわしわしわし」
「──何で整えたそばから私の髪わしわししちゃうんですかァッ!!!」
「…………暇潰し」

▼いいから足下ろしてください

「…………」
「……踏まないでください、マスター」
「床に転がっているということは踏んで欲しいということだろう?」
「違います……ベッドに乗る体力も無くなったんです……三徹のせいで」
「そのあと一歩が踏み出せない怠惰な部下を、ワタシは躾けてあげているんだよ。ワタシとワタシの足裏に感謝するんだね?」
「……アリガトウゴザイマス。マスターのおみ足の裏側さん」
「…………ギラヒム様、は?」
「ありがとうございます、ぎらひむさま」
「ッフン! 最初からそう言うんだね!!」
「(嬉しそう……)」

▼着せ替え部下

「むん、微妙だね」
「……さいですか」
「やはり胸元の味気なさが致命的だね。ワタシの隙のない美意識を以ってしても苦戦させてくれるとは。それ相応の対価は覚悟してもらわないとね?」
「いや、あの……」
「ほら、とっとと脱げ。次を試すよ」
「ま、マスター、あの」
「そもそも、お前が空から持ち帰った服では限度があるね。全く、人間どもの美意識はやはり理解し難い」
「ちょ、マスター! 勢いでパンツまで脱がそうとしないで下さい! ていうか……一旦ストップですッ!!」
「……何」
「何じゃなくて! すごくノリノリで私が買って帰ってきた服で着せ替え人形してますけど……! これおめかし用じゃなくてスカイロフト探索で使う変装用の服ですから!!」
「このワタシが見繕ってやっているというのに随分な態度だねぇ? だが、今回ばかりはお前の世迷い事を聞いてやる道理はないよ。全て、このワタシが、決める」
「何なんですかその強い意志……!!?」

▼べったり主従シリーズ_冬の恒例

「今日も今日とてお膝の上……」
「何か不満でも?」
「いえ全く。むしろ幸せです。……でも、マスターこそずっと私のこと乗せてて、足痺れたりしないんですか?」
「しないね。お前の貧相な体が乗るくらいでは、ワタシの強かな四肢に何の影響も与えられないとも」
「なんか、納得いかない……」
「褒めてあげているんだよ。主人に余計な負担をかけず、暖房器具としての役割はしっかりと果たせているんだから、ね? ……ほら、ご褒美」
「ん……んむ」
「……嬉しいだろう? ワタシの体温を感じたままキスまでされて」
「ちょっと悔しいです、けど……嬉しいです」
「フ、単純」

▼べったり主従シリーズ_ゴロゴロ

「マスター」
「…………」
「たぶん、ちゃんとお布団入ってた方があったかいですよ。……腰、抱いてくれるのすごく嬉しいですけど」
「……ふむはい」
「(お腹のところに顔埋められてて何言ってるのかわからないけど、流れ的にたぶん『うるさい』かな……)。……ずっとそうしてるなら、頭撫でちゃいますよ」
「…………」
「よしよし」
「……ん」
「……もしかして、ちょっと気持ち良さげですか?」
「…………ん」
「(かわいい……)」

▼どうしても目がいく

「…………(じっ」
「…………」
「マスター」
「何」
「何でマスターは、こんなにお尻が小さ、ぎゃうッ!!」
「……汚らわしい目で可憐な主人を視姦するだけでなく言葉責めまでするなんてね。残酷な部下の凌辱にワタシの繊細な心は傷つけられてばかりだよ」
「部下の鼻潰しかけといてどっちが残酷ですか……! ……そもそも、見られたくないならそんな格好しなけれ、むぎゃうッ!!」
「見られたくないなど誰が言った? お前がじろじろ見つめているそれは、本来ならば守られるべき造形品なのだよ。故に、その網膜に焼き付けたいと言うのなら、それ相応の対価と覚悟を支払ってくれないと、ね?」
「焼き付けたいのもありますけど、純粋に女の子としてこのお尻の小ささの秘訣を知りたいんです。……しっかり柔らかいし」
「……会話の流れで勝手に撫で回すな」

▼犯行後

「ます、ん……」
「…………」
「っぷは……、ます、たー」
「何」
「なんで、いきなり……すごく、ちゅーしてくれた、んですか……」
「…………、(ちう」
「んむ、むー……!?」

 主人によるキスの嵐は、私の腰が抜けるまで続きました。

 その後、何故唐突にあんなキスをされたのか疑問に思っていた私は──彼の部屋の片隅で、私のパンツ(主人使用済み)を発見したのでした。

▼服の中にカイロ仕込む的な

「フン、悪くはない」
「よかった……マスターが……やっとあったかそうな格好してくれた……」
「ワタシの肌が隠れてしまうことで大地における美の損失が生じているという事実には変わりないけれど、このローブを纏ったことで生まれた新たな美がそれを補ったからね。誰にも文句は言わせないとも」
「ちょっと何言ってるのかわからなかったですけど、でもローブ着たギラヒム様もちゃんと綺麗でちゃんと美人ですよ。布の切れ目から覗き見出来る長い脚も素敵で……っくし」
「……ああ、今気づいたけれど、お前は普段と変わらない貧相な格好のままだったね」
「貧相は余計です……。空でそのローブ買ったらルピー使い果たしちゃったので、私の分は買えなかったんです。……そんなわけで、マスターにあったかい格好してもらうという使命を果たした私はベッドに戻らせていただきます」
「ふぅん。……それなら、」
「え……ひぇッ!!?」
「……予想はしていたけれど、可愛らしさの欠片もない奇声だね」
「い、いや! その前に! 何で私、マスターと一緒に、ローブの中入ってるんですか!? どんな早技ですか!?」
「ああ、試しに突っ込んでみたけれど、思った通りこれが一番温かいね。さすがはこのワタシの冴え渡る思考」
「何のドヤ顔なんですか! ていうかこれじゃ結局いつもの湯たんぽ状態と変わらな……ひ!? す、素手で地肌撫でないでください!!」

▼犬が目上の存在にする行為

「い、嫌です……!」
「へえ、このワタシが良いと、言っているのに?」
「だ、だって、意味がわからないですもん……!!」
「意味も何も。──ワタシの頬をお前が舐める、ただそれだけだよ」
「最初から最後まで訳わからないですよッ!! 何のための儀式なんですか、今度は!!」
「決まっているだろう? お前に主人への忠誠を示させるための行為だよ。つべこべ言わず、お前はとっとと、ワタシの頬を、舐めろ」
「何も理解出来ないですッ! ひ、ま、ますた、本気なんですかッ……!?」
「ほら、リシャナ。──舌を、出せ」
「いぃ──ッッッ!!!」



 ……ぷにぷにしてました。

▼麗しのお背中

「…………(ぎゅう」
「朝から何」
「……たまには背中から抱きついてみたいなと思い」
「頭を擦り寄せるな。煩わしい」
「マスターが上裸なのがいけないんです。背中が綺麗すぎるんです」
「フン、そんなものは周知の事実にすぎないけれど。……お前がワタシの背にしがみつく理由にはならないね」
「んふふ……つやすべですねぇ、いい匂いしますねぇ、一生頬ずりできますねぇ……大好きです……」
「…………うぜぇ」

▼美人と変態は紙一重

「リザル」
「ンあ?」
「……最近、怖いことがあるの」
「ンだよ唐突に。悩み相談に見せかけた惚気話だったら却下だぞ」
「ち、違うから! ちゃんとした悩み相談! ていうか惚気話なんて一回もしたことないから!!」
「無意識ッてのが一番タチ悪ィよ。……まあいいや。何だよ、怖いコトって」
「うん……。この間敵地に行った時、マスターがいつものごとくマント脱いであの格好で戦おうとして……敵の人たちがすんごく驚いてるの、見てね」
「……おう」
「私、その時『なんであの人たちあんなに驚いてるんだろう』って反射的に思っちゃったの。……よくよく考えたらいきなり脱ぐし、脱いだら脱いだですごい格好してるのに」
「……ソダナ」
「マスターが世間的に見たら変態って呼ばれる部類に属するってことは理解してたはずなのに、私の中での基準が……常識が……崩れてきてる気がして……人としてどうなんだろうって……悩んでて……」
「すげェ切実なのは伝わってくるケド、解決策は全く思い浮かばねェしお嬢がそれを取り戻すのはもう諦めた方がいーだろうな」
「……やっぱり?」
「試しにお嬢がギラヒム様のあの格好見て抱く感想、言ってみろよ」
「……世界一かっこいい、スタイル抜群、匂い嗅ぎたい」
「そこなンだよなァ……」

▼見上げてごらん彼の股下を

「ほぉら、馬鹿犬はやはりこうして踏みつけて躾してあげるのが一番だよねぇ……?」
「ううう、今日もすんごくフミフミしてくる……!」

「(はっ……待てよ?)」
「(私はいつもマスターに踏まれる時、背を向けてるけど)」
「(マスターの腰の高さなら、今ここで仰向けになって上を見れば、もしかして──、)」

「(くるっ」
「……む?」
「やっぱり見えたッ!! マスターの太腿の付け根もとい、こか──、ブギャウッ!!!」
「自ら顔を踏まれに来るとは大した度胸じゃないか、馬鹿犬。お前の頭は百年教育しても犬以下だろうけどね?」
「わん……」

▼ぷりんっ

「マスターの、」
「ッフゥン……」
「生、尻…………」
「当然の反応だねぇ。本来なら、お前のような馬鹿部下が目にするには命一つ分でも到底賄えないのだけれど、今日のワタシは気分が良い。特別だよ?」
「ご機嫌悪かったらお尻見ただけで命取られてたんですね、私。ちなみに、ご機嫌宜しくて美人で寛大な今のマスターなら……お触りも良かったり、しますか?」
「ハッ、素晴らしき瞬間を永遠にその脳に刻みながら堪能するといいよ」
「本当ですか!? わーい!!」
「フンッ」
「や……柔らかい……!!」
「張りのある肌触りだろう? 魅入られてしまうよね? 忘れられなくなって、しまうよねぇ……?」
「全くです。感動です。感無量です。……それに、この肌触りなら…………えいっ(ぺちん」
「!!!」
「おお、良き音──んぎゃうッ!!?」
「…………随分調子に乗ったものじゃないか、リシャナ」
「な、んな、だって、お触り良いって……!!」
「己に許された範疇を理解出来ていないとは、やはりお前は馬鹿犬だね? ……罰として、今日はお前の尻を重点的に躾けてあげようか」
「いきなりすごい怒るじゃないですか……!! 何で揉むのは良くて叩くのはダメなんですかッ……!?」

▼べったり主従シリーズ_天まで届く豪速球

「リシャナ」
「はい」
「……好き」
「え…………………………」
「何」
「……今、一瞬、花がたくさん咲いてるスカイロフトに似た場所の景色が見えました…………」
「それは本当の天界だろうね。……次は、キスも一緒に与えてみようか」
「積極的に部下を天国送りにしようとしないでください!! しかもそんな方法でッ!!」

▼けど揉む

「…………(もみもみ」
「…………」
「…………(むにむに」
「…………」
「…………(もにもにもにもに」
「…………、」
「はぁ…………微妙」
「人のおっぱい勝手に揉んどいて心の底から溜め息つかないでくださいよ……」

▼リンク君と雑談

「リシャナって」
「んー?」
「やっぱりギラヒムのこと……好き、なのか?」
「うん、大好き」
「そ、即答なのか……そっか……」
「ふふん、そういう反応してくれる人、久しぶりで私も嬉しい。魔物の子たちに言っても『今さら何言ってんだ』みたいな反応しか返ってこないから。ゼルダちゃんは喜んでくれたけど」
「そ、そうなのか。……この際だから、いろいろ聞きたいんだけどさ、」
「ん、なになに?」
「リシャナから見たギラヒムって、どんなやつ……人、なんだ?」
「んー……綺麗、美人、かっこいい、足綺麗、いい匂い、肌ツヤツヤ、髪さらさら、服はだいぶ寒そう、でも慣れたらそれも込みで大好き」
「そう、なのか……」
「……変態だって、言うと思った?」
「正直言うと、そう。……リシャナにとっては、そうは感じないんだな」
「ううん、常に思ってる」
「え」
「すぐ外で脱ごうとするし、ていうか脱いでるし、私のことも脱がせようとしてくるし。舐めようとしてくるし、舐めさせようとしてくるし」
「……予想通りでむしろ安心したよ」
「さすがリンク君。でも、それも込みでマスターのこと大好きだから、私は本当に毒されてるんだと思う。……それに、」
「それに?」
「本気出したマスターは──あんなもんじゃ、済まない」
「(目が据わってる……)」

▼いつものやつ

「いひゃい……」
「何、その間抜け面は」
「さっき食べた焼きリンゴで唇火傷しちゃったんですよ。じんじんする……」
「そんな回りくどいおねだりの仕方でワタシの唇は与えてあげないよ」
「……全くそのつもりはなかったというか、発想の転換具合にびっくりなんですけど、むしろ今おねだりしたらちゅーしてくれるんですか?」
「フ、ワタシが満足いくおねだりをお前が出来たならね? 当然、地面に這いつくばるくらいはしてもらうけれど」
「じゃ、いいです」
「…………」
「…………」
「…………、(ガシッ」
「す、すんごく肩握ってくるじゃないですか!! マスターこそちゅーしたいなら素直に言ってくださいよッ……!!」
「誰がそんなことを口にした? ワタシはただ、お前を地に這わせて、そのついでに唇を与えてあげようとしている、だけ、だよ?」
「んじゃ私も、マスターが素直になるまで意地でもしてあげないですッ……!!」
「チッ、馬鹿部下のくせに生意気な……!」


「アイツら定期的にアレやってッケドよく飽きねェよな」
「リザルの兄貴は見慣れちまったんすね……」
「すっげェ不本意なことにな」

▼聖夜に向けて

「……リシャナ」
「むん」
「……部下の分際で命令に反するなんてね。よほど極寒の大地に裸で放り出されたいらしい」
「今回ばかりはどう脅されても一人での外出は却下です。年に一度の反抗期です」
「年に一度では済まない程度にお前の生意気な反抗には目を瞑っているつもりだけれどね? ……その点は再教育するとして、」
「……何ですか」
「何が目的か、素直に吐いたらどうだい?」
「…………」
「……裸に剥かれたいか?」
「う……。……その、」
「何」
「……去年、この時期に空に行ったら、聖なる夜とかいう記念日が出来てて。街が恋人同士で溢れかえってたんです」
「ほう」
「羨ましいとかそれ以前に……その光景を見てたら、マスターに会いたくて、帰りたくて仕方がなくなって。……だから今年は最初からマスターと一緒にいたいって思って」
「…………」
「……以上です」
「……………恋人同士、ね」
「え?」
「呆れるほどに単純な理由だね。面白みもない」
「言われると思いました……」
「だが」
「?」
「心が広く、慈悲深く美しいこのワタシが、特別に、憐れな部下の望みを聞いてあげようじゃないか」
「え、本当ですか……?」
「ただし。……当然、ねだったならねだった分だけの働きを、その日にしてもらうけれど、ね?」
「は、働きって……?」
「フッ……何だろうねぇ? 楽しみしておけばいい。子どものように……ね?」
「…………(ぞく」

▼聖夜とやらに

「ま、ます、たー……?」
「ん?」
「これ、どういう、状況、ですか……?」
「見ればわかるだろう」
「…………同じローブに包まれて、お膝乗って向かい合って……両手を、こ、こいびとつなぎで、重ねて、ましゅ……」
「なんだ、理解出来ているじゃないか。馬鹿部下のくせに」
「ち、ちち違いますよッ! なんでこんな状況になってるのかってことです!!」
「いちいち騒がしいね。せっかくこのワタシがお前の要望を叶えてあげようと言うのに。……ね?」
「わ、私、こんなこと、お願いしましたっけ……?」
「フン、言い出したのはお前だろう」
「な、何を、ですか……!?」
「──聖なる夜とやらが、恋人同士の記念日だと」
「…………へい?」
「お前がどうしてもと言うのなら、疑似的に、その体裁を保って、ワタシが相手をしてあげる。……そういうことだよ?」
「言い回しがすっごくいかがわしいんですけど……!」
「不満があるなら今すぐ叩き下ろすけれど?」
「……やです」
「単純。……ほら、顔を上げろ」
「ん──、」
「────」
「…………こんな体勢でちゅーしてるって、傍から見たら“ばかっぷる”ってやつですよ」
「言葉の意味は知らないけれど、その蕩けきった顔で言えることではなさそうだね」
「う……」

▼聖夜だから

「…………(くたり」
「勝手に主人の胸に身を委ねるな」
「……あまりにもちゅーちゅーされすぎて、腰が、抜けたんです。……マスターだってさっきからずっと私の髪で遊んでるじゃないですか」
「お前はワタシの所有物なのだから、遊ばれて当然だろう。……それにしても、この程度で腰を抜かしているようなら明日にはお前の体は使い物にならなくなっているだろうね?」
「すっごいイキイキしてる……。……なら、マスター」
「何」
「この後喋れなくさせられそうなので、言えるうちに言っておきます」
「……?」
「一緒にいたいと思った日に一緒にいられて、幸せでした。……出来ればずっと、こうしていたいくらい」
「────」
「……大好きです、マスター」
「──ッ、(ちう」
「ん、っむ!?」
「……馬鹿部下」
「む……?」
「…………好き」
「!!」
「……もう待ってやる気はねえよ。お前が先にやったんだから、覚悟しろ。……三日は寝かせねぇ」
「み、三日って! んむ! むー!!」

▼掃除する者とされるモノ

「ふう……やっとまとめ終わった。手伝ってくれてありがと、リザル」
「全く。一年でよくもまァこンだけいらねェ物溜め込んだモンだな」
「ほとんどが武器ばっかりだけどねぇ。古くなった食べ物とかは出てこないあたり、さすが魔族って感じ」
「魔族関係ねェ気するケドな。それより、お嬢にとっての一番の大仕事はここの掃除じゃねェだろ」
「……行きたくないからここで油売ってたのに」
「ンだよ。また痴話喧嘩してンのか?」
「痴話喧嘩はしてない。主従喧嘩はしてる」
「変わンねェだろ。今度は何やらかしたンだよ」
「……マスターのお部屋の前に自分の部屋の大掃除してたら、構って欲しくなったマスターがものすごい勢いで邪魔してきたから、塩対応してたら拗ねちゃった」
「……それを主従喧嘩と言い切ンのは無理あンだろ」
「……拗ねて部屋に閉じこもったマスター呼びに行ったら、死角から短刀飛んできたのに?」
「なンでそう両極端なンだよお前ら……」

▼年の瀬ぬくぬく

「あと一回太陽が昇って沈んだら、一年が終わり、らしいです」
「どこの誰だか知らないけれど、ワタシの許可も得ず随分勝手な事を決めてくれたものだね」
「誰かが決めた事なのかどうかはわからないですけど……空の世界ではそれで一区切り、らしいですよ」
「……そんな年月を数えて、何が楽しいのだろうね。特に人間なんて、死に向かう時計の針が進んでいるだけだというのに」
「……私も空にいた頃は楽しいとも何とも思わなかったですけど、」
「けど、何」
「……マスターの部下になってからは、年を重ねて行くの、とっても幸せですよ。ゆく年くる年いつでも隣にギラヒム様、です」
「馬鹿にしているのかい?」
「してないです! 幸せな事実です!」
「……能天気。あんまり馬鹿な事ばかり言うなら、このまま一生膝の上から下ろしてあげないよ」
「……それ、脅してるんですか?」
「…………」
「ご、ごめんらさいつねらないれ……!!」

▼いつまでも

「(ひしっ」
「今度は何」
「……年越す瞬間大地にいなかったーってやつが、魔物の子たちの間で流行ってるらしくて」
「だからと言ってワタシの体にしがみつく意味がわからない。……そんなに大地にいたくないのであれば、放り投げて空へ送ってあげようか?」
「やです、マスターと一緒にいないと意味ないです」
「……散々理由をつけておいて、結局は甘えたいだけだろう」
「そです。年越す瞬間大地じゃなくてマスターの膝上にいるんです(ひしっ」
「……いつまでも馬鹿部下だね」
「来年も、再来年も、いつまでもマスターの馬鹿部下です」
「……フン、使い潰してあげる」


▼長編1-1直後

 ──前触れなく訪れた終わりの始まり。
 目にした景色はきっと一生忘れることは出来なくて、でも叶うことなら今すぐに忘れたい、それほどまでに胸の内を掻き立てる光景だった。

 だから、主従で唇を結んだまま拠点へ戻り、互いの部屋に戻ろうとしたその時。
 私の手は、無意識にも彼の手首を掴んでいた。

「……マスター」
「…………」

 返事はなかった。その代わりに腰へ腕を回され彼の私室に導かれる。
 無言のままベッドに柔らかく身を放り出され、後から入ってきた主人に緩く体を抱かれる。服を脱がされるかと覚悟していたけれど、首元に顔をうずめられるのみにとどまった。
 形の良い後頭部を見下ろしながら、私は静かに唇を解く。

「……寝なきゃいけないのに寝たくないって、言ったら怒りますか?」
「別に。お前の場合、ここに来た時はいつもだろう」
「……そう聞くと、子供みたいですね、私」
「今さらだろう。身も心も、ね」
「む……」

 今私の首元に頭を押し付けてるのはギラヒム様の方なのに、軽薄な口調の子ども扱いに口を尖らせる。
 私は少しだけ逡巡し、彼に問いかけた。

「マスターは、すぐ寝られそうなんですか?」
「…………」

 返事はない。無視をされたと言うより、答えを告げたくないという気配がそこにはあった。少しずるい質問だったかもしれない。
 黙ったまま微動だにしない彼の頭に、私はおそるおそる手を伸ばす。そのままさらさらとした髪を梳いて後頭部を撫でたが、拒絶されることはなかった。

 彼が今何を思っているのかわからない。
 しかし何かを求められているような気がして、彼の顔が私の首元からわずかに離れたその時、額に唇を落とした。

 彼は数秒目を見開いて固まり、やがて短い吐息をこぼす。再び顔を寄せ、今度は私の首筋に舌を這わせる。そして、

「────っ、」

 熱い舌の感覚に酔って、輪郭を舐められて、最後にゆっくりと唇同士が重なった。
 
 だが、それだけだった。
 主従のどちらもさらなる熱を求めることはなく、二人額を合わせて抱き締め合うだけ。何の行為にも及ばない。

 この夜で最後となってしまう静かな時間を、いつまでも共有していたかったのだ。





-------この先下ネタ注意---------

▼ちんポジを直す長

1.しれっと高速で直す
「…………(スッ」
「(今直したな……)」

2.大々的に直す
「ん……ッふ、ああッ!」
「直すだけなのにそんな声出さないでくださいよッ……! 背徳感がすごいんですけど……!!」

3.脱いで直す
「……(ぼろん」
「!!?」
「ッフン……(スッ」
「せめて一言言ってから脱いでいただいて宜しいですか、マスター……あと何でドヤ顔なんですか……」

4.部下に直させる
「ほら、またズレているよ。お前は本当に仕方のない馬鹿部下だね?」
「なんで、わざわざ、私に、直させるんですかッ……! 絶対自分でやった方が手っ取り早いですよ……!」
「へえ? せっかくこのワタシがお前に役割をくれてやっているというのに随分な口の聞きようだね? ……それに、お前も主人のモノに触れた悦びを感じていただろう? ワタシが見逃すとでも思ったか?」
「…………バレてる」

5.そもそも履かないからいつでもベスポジでぶらんぶらんしてる
「だからマスター、下、履いて下さい……!! なんで寒がりなくせに積極的に脱いでぶらぶらしようとしちゃうんです……!?」
「寒さなど感じるわけがないだろう? 完成されたこのワタシの肉体に、温度など取るに足らぬ問題でしかない」
「じゃあ私の体湯たんぽにする必要ないじゃないですかっ! 全裸で抱かれるの、恥ずかしすぎます……!!」



情緒ぶち壊しなことも出来るのもkobakoの良いところ。
1月号もお楽しみに!