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kobakoまとめ *2023.7月号
・ほぼ魔族長と部下夢主(+たまにリザル)の会話文です。
・時系列等々バラバラ
・series設定の話も含まれています。


▼学び長

「フン」
「うぎゃ」
「フム……やはりいいものだね。お前をこうしてベッドに磔にしてあげる瞬間は」
「さ、さいですか……」
「お前の凡庸な体も、こうして見下ろすとそそるものがある。フ、視点を変えるというのは時に重要なことなのだね。完璧なこのワタシにも、まだまだ学ぶべきことがあるということか」
「部下をベッドに押し倒しながら哲学しないでください……」
「ふぅん? せっかく猶予をあげてやったのに、無粋なものだね。……なら、お望み通り、最初から激しくしてあげようか……?」
「そういう意味じゃな……ひぃッ!!?」

▼怖い話大会

「……そう、彼がその部屋に近づくと、声が聞こえてきたのです。『紙くれ〜、紙くれ〜』という、地獄の亡者のような呻き声が」
「……おう」
「恐怖心よりも好奇心が勝ってしまった彼は、その部屋を覗いてしまいました。するとそこには……」
「…………、」
「肉体がなく、骨と皮だけの腕が伸びていて、」
「(べろん」
「ぴぎゃぁああああい!!?」
「うォッ!!?」
「な、へ、は、ま、ままマスター!? いつのまに後ろに!? ていうか、今うなじ、舐め……!!?」
「騒がしいことこの上ないね、馬鹿部下。それに、こんな夜更けに魔物どもの寝床に来ているなんて、よほど四肢を食われてしまいたいらしい」
「リザルたちと怖い話大会してたんです!! 獣の子たちが起きちゃうから小さい声で話してたのに!!」
「あー……お嬢。さっきの悲鳴で獣どもが皆起きたみてェだから、すぐここから出た方がいいぞ」
「だそうだ。どうせ同じ食われるなら、ここの獣たちよりワタシに食われた方がお前は本望だよねぇ? ほら、とっとと部屋に戻るよ」
「せっかくいいところだったのに!!」
「そういう問題かよ……」

 *

「というわけで、一日経っちゃったけどリザルが持ってる怖い話、聞かせて下さい」
「その話、まだ続いてたのかよ……。別に俺はそンな話持ってるなンて一言も言ってねェぞ」
「えー……私の何倍も長く魔物として生きてるリザルならいろいろ知ってると思ったのに」
「唐突に無茶振りがすぎンだよ。ンあー……強いて言うなら、」
「言うなら?」
「……主のためなら血反吐吐こうが体が砕けようが平気な顔して命懸けやがるどっかの主従が一番怖ェ」
「……恐縮です」

 *

「マスターは、何か怖い話、知ってます?」
「ッフン、そんなもの、」
「マスターの美しさが世界を破壊するレベルで怖いっていう話は知っているので、それ以外でお願いします」
「……チッ」
「お化けとか、そういう系で……」
「このワタシがそんな存在に関心を向けると思っていること自体が大きな間違いだ。肉体を失くした有象無象に割く時間など、持ち合わせていないものでね」
「そですか……」
「そもそもワタシに聞かずとも、お前はよく知っているだろう」
「へ? どういう意味ですか?」
「…………」
「……え?」
「……気づいていないのならそれでいい」
「え、へ!? どういう意味ですか!? マスター!!?」

 *

「それじゃ、おやすみなさい。マスター」
「ん」
「…………」
「…………」
「…………」
「……ああ、」
「?」
「来たね」
「へ?」
「……やはりお前には見えていないんだね」
「へ……え?」
「まあいい。……寝る」
「いや、寝るじゃなくてどういう意味ですかマスター!? 何が来たんですか!!?」

 *

「マスター……今日もその……いるんですか?」
「……どちらだと思う?」
「なんではぐらかすんですか……! ていうか、なんでいるってわかってて放っておくんですかっ……!!」
「フン、目に見えぬ存在ごときにワタシの聖域は踏み荒らせはしないからね。相手にするだけ労力の無駄というものだよ」
「うー……、……でも、ですよ。マスター」
「何」
「……せっかくのマスターと二人っきりの時間なのに。……邪魔されるの、嫌です」
「…………」
「…………」
「……ッフン、仕方がない。寛大で美しいこのワタシが、特別に、祓ってあげようじゃないか」
「あ、ありがとうございます……!!(上手くいった──!!)」

▼寝坊した日

「……おはようございます」
「部下のくせに主人より後に起きるなんて、また躾をし直さなければいけないようだね?」
「ごめんなさい。……あと、躾けられないといけないのに、マスターのちゅーで起きてごめんなさい。幸せです」
「……、……チッ」
「(バレないと思ったのにって顔……)」

▼しゃっくり部下

「えくっ」
「……?」
「えくっ……えくっ」
「……何」
「しゃ、しゃっくりが、出ちゃって……えくっ」
「…………」
「止まらないです……、えくっ」
「……ぷ」
「予想出来てましたけどすごいバカにする顔……えくっ!」

▼手が見たい

「(じー」
「……その不躾な視線は何が目的なのかな」
「マスターが指パッチンするところが、見たいなって思ったので」
「……へぇ」
「指パッチンした時の手が、綺麗で艶めかしくてずっと見てたいなと思ったので」
「特に理由は聞いていないのだけれど」
「……見てたいなと思ったので」
「二度言ったからといって応じてあげる義理もないね」
「ぶー……」

 *

「……(すかっ」
「…………」
「……(すかっ」
「…………、」
「……(すかっ」
「……ッフゥン!!(パッチィン!!」
「わあ! それですマスター!! その指パッチンする手が見たかったんです!! 綺麗です!!」
「……お前、このワタシを嵌めたね?」
「いやえと……えへへ……初めて指パッチン下手で得しました……」

▼死ぬかと思った

「──はっ!!」
「……何」
「……夢を、見ました」
「へぇ」
「マスターがかっこよすぎて致死しかける夢です」
「聞いてない」

▼大トカゲと貨幣の雑談

「大地にはよくルピーが転がってるから、空でのお買い物に困らなくて良かったかも」
「あの石コロが通貨なンだってな。人間も物好きだよな」
「魔物の子たちはルピー、使わないもんね」
「欲しいモンはブン捕るのが普通だかンな、魔族は。つか、お嬢もわざわざ行儀良くンなモン使わずに、盗って来ちまえば良くね?」
「まあ、そうなんだけど……なんとなーく良心が痛むので……」
「女神の兵隊を散々やっておいて今さら何言ってンだか」
「う、そこ突っ込まれると痛い……」
「事実だろ。魔族長の部下サマよ」
「うう……今日のリザル、いじわる……」
「たまにはナ」

▼あんまりにもささやかだったので

「マスターマスター、見てください」
「……何」
「ふんっ、力こぶ」
「…………」
「…………」
「……(つん」
「ひゃいん!?」
「ッハ、随分と脆い筋肉だね?」
「な、なんで突っついたんですか今……!?」
「お前のあまりにも些末な筋肉とやらの現実を教えてあげるためだよ」
「いじわる……!!」

▼あんまりにも完成されていたので

「なら、ですよ。マスター」
「今度は何」
「……“本物”の美しい力こぶ、見せてください」
「…………」
「…………」
「……ッフン!!(ムキッ!」
「!!!」
「さて。……感想は?」
「……いきなり芸術品を見てしまって、たぶん心臓が止まりかけました。ごちそうさまでした」
「ハッ!! これが本物、というやつだよ!!」

▼間抜けすぎて可愛いなと思った

「フン」
「むぎゃ」
「……間抜けな声」
「は、鼻つままれはら、だれだって間抜けなこえになりまふよ……!」
「…………(ぱっ」
「う、か、解放された……」
「…………(むに」
「ふぎゃ! な、なんれまた摘まむんれふか!!」
「…………フ」
「なにがおもひろいんれすか!!」

▼激烈に暑い

「…………」
「(今年も暑さでマスターが伸びてる……)」
「……(じっ」
「……えっと、見つめられてもこの暑さは私にもどうしようも出来ませんから」
「……知ってる(じっっ」
「な、なんでそんなにじっくり見つめてくださるんですか」
「…………」
「……マスター?」
「……三人に見える」
「は、はい?」
「…………何も言ってない」
「(こ、これは末期かもしれない……)」

▼もし魔族長がたばこを吸ったら

「ま、まままマスター!!?」
「騒がしい」
「騒がしいじゃなくて!! その咥えてる棒! 煙出てますよ!!?」
「だから何」
「何でそんなに冷静なんですか!? 火ついてますよね!? 危ないですよ!! ていうか何なんですかその棒!?」
「騒がしいと言っているだろう。こんな棒で美しいワタシの指が傷つけられるわけがない」
「それもありますけど……マスターが棒を咥えてるだけで色っぽ……じゃなくて、棒を挟んでる手が艶めかし……じゃなくて、なんだか健康に悪そうな気がするので、それっきりにしてください!!」
「それ以上支離滅裂な発言をするならお前の口にこれをねじ込むよ」

▼空飛び長

「……マスターはその気になれば空、飛べると思うんだよね」
「ソダナ」
「……リザル先輩、相槌が雑」
「唐突に訳わかンねェ話されて反応してやってるだけありがたいと思えよ」
「確かにそうだけど……。……飛べると思わない? 空」
「知らねェよ。あの人の魔術なンざ、お嬢のがよく見てンだろ」
「そっかぁ……。……、」
「まだなンかあンのか?」
「……もし飛べるとして、私も連れて行ってくれるとしたら、背中に乗せてくれるのかなって」
「……ソダナ(死ぬほどどうでもいいな)」

▼下らない話センサー

「……マスター」
「このワタシに下らない話を聞く余裕があるとでも?」
「……なんで私が下らない話をするってわかったんですか」
「ッフン、お前の頭の中など全て見通せるとも」
「ぶー……。……(やっぱりリザルって、とっても優しいんだな)」

▼需要と供給の一致〜シャワー編

〜シャワー後

「む」
「あっ」
「こんなところにいたとは。主人の許可もなく一人でうろつくなんて、仕置きを受ける覚悟は出来ているようだね?」
「マスターこそ、ずっと探してたんですよ、私。早く見つけないとって慌ててたのに」
「ならとっととこちらへ来て、ワタシに体を提供しろ」
「はーい。お膝、失礼します」
「ッフン。…………まだ温かいか」
「マスターも、まだシャワー上がりのいい匂いで幸せです」
「うるさいよ。…………(ぎゅう」

▼だから何?

「…………(もみもみ」
「(また当たり前のようにおっぱい揉まれてる……)」
「……(さわさわ」
「(今度はお尻触り始めた……)」
「……(むにむに」
「(慣れてきた自分がいる……良くない……。……こういう時は、)」
「ま、マスター!」
「何」
「マスターの、えっち!!」
「…………」
「…………」
「……で?」
「……何でもないです」

 *

「マスター」
「何」
「えっち! ……って、意味わかります?」
「このワタシを誰だと思っている」
「……そうやっておっぱい揉んだりお尻触ったりする行為は、えっちだと思うんですよね」
「だから?」
「…………」
「…………」
「……私の負けです」
「フゥン……やはりお前は愚かだね?」

▼食べてる姿を観察したかっただけ

「ほら」
「え……くれるんですか? リンゴ」
「何か文句でも?」
「い、いえ……いただきます」
「…………」
「……(もくもく」
「……ほら」
「……え、リンゴ、またくれるんですか?」
「何か文句でも?」
「いやえと、お腹いっぱ、」
「何か、文句でも?」
「……いただきます」
「フン」
「……、(かじかじ」
「…………」
「ま、マスター、もう次のリンゴ用意してますけど、まさか私を太らせて食べようとしてます……!?」
「……フ」
「フってなんですか!? 本当に食べようとしてるんですか!!?」

▼大ざっパイセン

「リザルは、その……」
「ンあ?」
「腕、もう、痛くない?」
「まァな。日付も経ったし、まだ変な感覚はあっケド慣れても来たな」
「そうなんだ……良かったって言っていいのかわからないけど、良かった……かな」
「めンどくせェからもう余計な気ィ使うなや。最初からお嬢にゃ何とも思っちゃいねェよ。幻肢痛も、回復兵に神経いじくらせたら消えたしな」
「……いじくらせたら?」
「おう」
「そ、そんなことして大丈夫なの!!?」
「さァな。ま、もう使わねェからいンじゃね?」
「り、リザル先輩……自分の体に対して執着なさすぎませんか……!?」

▼口癖

「──『ってやつ』」
「え? 何、リザル」
「って、よく言うよな。お嬢」
「あー、うん。そうかも」
「ンだよ、無意識か?」
「……そうかも。なんでそんな言い回しをよくするのかわからないけど、なんだか言っちゃうんだよね」
「ふーン。細胞にでも刻まれてンのかね」
「それは何だか……怖い話……」

▼許嫁

「……他の亜人族は、」
「何」
「……長に、許嫁がいる場合が多いみたいです」
「ふぅん」
「…………」
「……そう待ってるだけで答えを与えてあげると思ったなら、実にお前は愚かだね」
「…………(ふすっ」
「勝手に聞いて勝手に拗ねるな」
「拗ねてないです。……(ふすっ」

▼魔族長のまじかこいつシリーズ_歩行編

「(スタスタ」
「(マスターが歩いてる……)」
「(スタスタ」
「(早くついていかないと遅れちゃう……)」
「(スタスタスタ」
「(……なんで、歩いてるだけであんなにかっこいいんだろう。前から見ても後ろから見てもかっこよ、)」
「……リシャナ」
「は、はい!!」
「……お前はこのワタシが呼吸をするだけでも見惚れてしまうんだろうね」
「はい!! そうですね!!」
「…………」

▼魔族長のまじかこいつシリーズ_剣技編

「ほら、油断をしたらすぐに」
「あ!!」
「(パシッ!」
「────」
「一体お前はいつになったら剣を取られなくなるんだろうね。戦場だったら既に真っ二つにされて、」
「ま、マスター……!!」
「……何」
「今の剣キャッチするやつ……もう一回やってくださいッ!!」
「……却下」

▼魔族長のまじかこいつシリーズ_食物編

「昔本で読んだんですけど、どこかの国の人は魔物と虫を使ってお薬を作るらしいですよ」
「フン、冒涜的な話だね。そもそも、食われる運命にあるのは人間側だと言うのに」
「そうですよね。あと美味しくなさそうですし。……あ、でも、」
「……何」
「仮に、ですよ。仮にそういう目でマスターを見たなら、すっごく美味しそ、」
「……指先から順に貪ってあげようか?」
「……ごめんなさいでした」

▼そもそも止まらないと思った

「あのねリザル。悩んでることがあるの」
「……へー」
「戦ってる時、マスターが興奮すると自分の剣をぺろーって舐めるんだけど」
「ンダナ」
「……舌切れちゃったらどうしようってソワソワするのね」
「まあな」
「でも、ね。……私の目にはすごくかっこよく見えるから、危ないですよって止めることも出来なくて。……悩んでるの」
「……そうかい(心の底からどっちでもいい)」

▼あついんだもん

「…………リシャナ」
「……マスター」
「何」
「あの……暑いのはわかりますし、脱ぎたい気持ちもわからなくないんですけど。……脱がす作業を私に委ねるのは、いかがなものかなって」
「……何か、文句でも?」
「う。……いえ(従わなきゃ怒り狂いそうな目……)」



次回もお楽しみに!