こねた02 | ナノ

ねた

コウタとアキト

一目見たその瞬間におれはお前に恋をした。「コウタ」しかし、あろうことかお前が恋をしたのは「おれ、リクヤさんのこと、…好きみたいなんだ」おれではなくてあいつだった。「どうしたら、いいんだろう」あいつだったんだな、「どうしたらって、…好きならちゃんと伝えろよ。じゃなきゃ、後悔するぜ」…アキト。


( おれのように )
2014/07/24 (19:55)

アキトとハナコ

くらりとよろめいたわたしの腕を掴んだのは男の子にしては小さめの手だった。顔を上げるとそこにはアキトくんの姿。彼は大丈夫?と首を傾げた。わたしは大丈夫と聞き取りにくいくらいに控えめに呟く。聞こえなかったかもと思ったけれど彼の大丈夫そうには見えないがの言葉にちゃんと聞き取ってくれたことを確認してわたしはほっと胸を撫で下ろした。続けてアキトくんは体調が悪いのか?と聞いてきたからわたしは首を横に振った。別に熱があるわけでもないし、頭も痛くない。気持ち悪い訳でもない。わたしの反応にうーんと声をあげたアキトくんはなにを思ったのかわたしをおんぶしだしてわたしがえ?え?っと声を発すると彼はダック荘まで送るよと言った。お前が心配だからと言ったアキトくんの背中はいつもより大きく見える。わたしは重くてごめんねと彼に呟く。控えめな声だけど耳元だものちゃんと聞こえた筈。案の定、彼はわたしの言葉にそんなことないと返した。寧ろかる、…と言いかけたアキトくんははっとしたかのように一瞬、固まるともしかしてなんだが、今日の昼食、食べてないんじゃないか?と聞いてきたからわたしはこくりと頷いてダイエット中だからと呟いた。そんなわたしの呟きに彼はやっぱりなと言うと続けてちゃんと食べないと駄目だぞと言った。わたしがでもと呟くとアキトくんは体によくないしなにより今のままじゅうぶん可愛いんだからお前はそのままでいいと思うよと言ってくれて、わたしは自分の顔が熱くなっていることに気がついた。だって可愛いだなんてそんなこと両親や女の子の友だち以外から言われたことなくてとっても恥ずかしい。恥ずかしいけど嬉しい。わたしは真っ赤な顔を彼の肩に押しつけながらうんと返事を返した。肩越しにわかってくれてよかったと優しげな声で聞こえた。


( 好きになっちゃったかも )
2014/06/22 (16:37)

リクヤとアキト

先ほどはすみませんでしたと彼が頭を下げたのはこれで何度目だろうか?わたしは構いませんよと言う。これもまた何度目になるのだろうか?彼が頭を下げた分だけ言っているであろう事以外はわからない。しかしながらこのやり取りは今日がはじめてではない。クラスで孤立しているわたしがクラスメイトに不名誉なふたつ名で呼ばれることは少なくはない。彼はその度に怒りを露わにしてはあとで私の元へやってきて頭を下げる。すみませんの言葉とともに。彼は真面目な反面、感受性が豊かであり、また、直情的な性格だ。明るく前向きで素直であると言えば聞こえがいいかも知れない。きっとわたしの小隊、ジェノック第三小隊に所属さえされなければ瀬名 アラタのようにクラスメイトとも打ち解けていたであろう彼は皮肉にもわたしの小隊に配属された。おかげで彼は大きく損をしたに違いない。損をしたに決まっている。それでも真面目な彼はわたしに尽くしてくれている。わたしと行動をともにし、わたしの為に任務をこなし、わたしの為に笑い泣き、そして怒る。なんと人がいいのだろうか。人がよすぎて恐ろしいくらいだ。


「谷下くん」

「なんですか?リクヤさん」

「貴方は損な生き方をしていますね」

「そんなこと、ありません!自分はリクヤさんと言う素晴らしい小隊長に出会えました!尊敬できるお方に巡り会えたんです!こんなによい生き方は他にありません!」

「そうですか」

「はい!」


あぁ、ほんとうに人がいい。吐き気がする程に。


( 彼ではなくわたしに吐き気がする )
2014/06/18 (03:06)

アキトとアカネ

何故、リクヤさんに絶対的に従うのですか?と猫のような黄色い目をまっすぐこちらに向けて問うのはおれがリクヤさんの警護役から外された後、タカオとユウジの次にきた警護役の生徒であるアカネだ。彼女のことは正直、よく知らないがリクヤさんを最後まで守り抜いてくれた警護役の生徒の一人であり、タカオとユウジが親しげに話す相手だ。所謂、友人と言うやつ。彼女には感謝しているが、そのくらいの認識しかないアカネにいきなり尋ねられたら言葉におれは首をかしげる。それと同時に口を開いた。


「どうしたんだ?いきなり、」


そう尋ねるとアカネはすみませんと頭を下げ、それに続けてわたしにはリクヤさんに絶対的に従うシンさんやアキトさんの気持ちがわからなくてと言った。おれは喧嘩ごしには?と返しそうになる言葉を飲み込み咳払いをする。そしてアカネに視線をあわせて口を開いた。


「おれは辛くて苦しい世界でもがくリクヤさんの救いになりたいから。おれは使命のせいで誰もが理解してくれないリクヤさんの一番の理解者になりたい。はじめて会ったときに直感したよ、この人は孤独な人だって。まだ、あまり大きくない背中には大きすぎる使命と重たすぎる孤独、苦しみを背負っていると。おれは全てを受け入れることでリクヤさんの力になりたかった。今でも力になりたい。おれにはそうすることしか出来ないから。だから、おれにとってリクヤさんのお言葉は絶対なんだ。誰がなんと言おうとも、な」


そう言うとアカネはなるほどと呟いてうなずいた。なにがなるほどなのかわからない。が、彼女の中ではなにかが解決したのだろう。うんうんとうなずくと有り難うございました、アキトさん!と言って笑った。




( ふふっ、アキトさんのお話しを聞いて違う考えを持つ人がいるって素敵なことなんだなぁ、と思いました! )( …は? )
2014/06/18 (03:06)

ムラクとヒカル

「桜は?」

「散る」

「梅は?」

「こぼれる」

「椿は?」

「落ちる」

「牡丹は?」

「くずれる」

「じゃあ、人間は?」

「朽ちる」

「ぼくは?」

「咲き誇る。永遠に、な」
2014/05/31 (00:31)

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