遥か彼方_08
何事もなかったかのように流れていく日常の中で、ただひとりだけ……図々しくもわたしだけが、取り残されてしまったように感じていた。
こんなにまで胸が苦しくなるほどに好きだったんだと、一体何がおかしいのか、笑ってしまう。
わたしは……雅治に生かされているような矛盾すら、どこかで感じていたのだ。
遥か彼方
8.
「伊織おはよ!」
「あ、おはよう千夏」
翌日のことだった。
登校中、後ろから元気な声を掛けられて振り返ると、丸井くんと一緒に歩いている千夏の姿。
なんだか嬉しくなって(でもからかうような視線を向けると千夏は怒るから)、ただ、微笑んだ。
千夏は丸井くんになにやら声をかけて、わたしへと小走りに駆け寄ると、耳元で囁いた。
「昨日、連絡くれなかったじゃん」
「あ……」
千夏には悪いが、必ず連絡すると約束したにも関わらず、すっかり忘れていたと心の中で謝る。
精神状態が不安定で、それどころじゃなかったとでも言い訳をすれば、千夏は過剰に反応してしまうだろう。
だけど、千夏からも心配の連絡が無かったということは、彼女も何かそれどころじゃないことがあったんじゃないだろうかと疑ってしまう。
わたしとは違う、前向きな何か。
丸井くんと千夏の様子を見ていたら、それはなんとなく想像がついた。
……ふたりの気持ちが通じ合って間もないときに、雅治のことを打ち明けるのは勇気がいった。
「伊織?」
「ああ……うん、ごめん、大丈夫だったよ」
「大丈夫だった……って……?」
千夏に嘘をつくのも嫌で、かと言って本当のことを打ち明けるのもタイミングが悪い気がして……。
言葉自体には嘘のない戯言を吐き出した。千夏は怪訝な顔をしてわたしを見る。
うまく誤魔化したつもりだったけど、やっぱりそうはいかないか、と少し諦めに似た溜息をついた時だった。
「伊織」
「!」
「よう仁王。昨日真田に殴られなかった肌は綺麗だな〜!」
「なーに茶化しちょる。負けたのはお前さんの精神的な問題じゃろう?」
「あー?別に問題とかねえし!」
「ええからどきんしゃい。俺は伊織に用があるんじゃ」
千夏はぽかん、と雅治と丸井くんの様子を見ていた。そしてすぐ、わたしに不安げな顔を向ける。
わたしは咄嗟に雅治から目を逸らした。千夏はますますわたしを見る。
どうして、昨日の今日でそんなに易々とわたしの名前を呼ぶのだ。わたしに用って、なんだ。
「ちょっと来てくれんか」
「え……ちょ……っ!」
すると雅治は、怯えたわたしをちらりと見てから、強い力でわたしの手首を掴んだ。
もうあと少しで校舎だというところで、足早にわたしを裏庭に引っ張っていく。
千夏と丸井くんは、そんなわたしと雅治の背中を、ただただ、呆然と見つめていたに違いなかった。
「ねえっ……!ちょっと!」
「…………」
ただ歩いていく雅治の背中に、その沈黙に、身の置き場の無い思いをしながら、わたしは引き摺られた。
もしかして、やっぱり納得がいかないと、わたしを引きとめてくれるんだろうか。
そうだったらどんなにいいだろうと、矛盾めいた気持ちがわたしを支配した。
そうされたい願望もある。そこまで強くわたしを求めてくれたら、わたしの気持ちも少しは落ち着くだろうか。
おかしな期待が体中を駆け巡って、感情が高ぶっていくのを自覚していた。
「……すまん、痛かったか?」
裏庭で、誰も居ないことを確かめてから、雅治は呟くように言った。
黙って首を振って見上げると、雅治はわたしから目を逸らした。
そんなことは今まで一度たりとも無かったことだった。だから、酷く傷付いた。……勝手だけれど。
「まだ、吉井には話してないんじゃろ?」
「え……」
「俺らのこと」
「……話して、ないよ」
話しかけたが、ちゃんと言ったわけじゃない。
千夏の中ではまだ、わたし達は付き合っているだろう。今の様子を見たなら、尚更だ。
「俺もブン太には話しちょらん……じゃからこその提案なんじゃけど、せめてふたりの前だけでも、このまま付き合うふりをせんか?」
「え……」
もうすぐホームルームが始まる。
そのせいか、雅治はどこか急いだ様子でそう言った。
それとも、わたしとふたりでいることが、気まずいのかもしれない。
わたしが問い返さずとも、雅治の言いたいことはわかっていた。わたしと同じ気持ちなのだ。
「ブン太の様子見ちょったらわかるじゃろ?どうも、俺らの想像以上にうまくいっちょるようじゃ」
「……悪い風を送りたくないってことだよね?」
「お前さんはどう思う」
「それは……わたしもなんとなく、思ってたから」
そうか、と雅治はまたわたしから目を逸らして、立ち去るか立ち去るまいか迷っているようだった。
立ち去ればいいじゃない、と投げやりに言いたくなってしまう。
バカな期待を裏切られたことの落胆なのか、彼がわたしから目を逸らすことへの落胆なのか。
わたしはとにかく、自分でもよくわからない気持ちの激しい沈みを感じて、背中を向けた。
「ホームルーム始まっちゃうから、もう行くね」
「ああ……」
少しだけ振り返った先に見えた雅治の表情は、わたしが先に立ち去ったことに、どこかほっとしたように見えた。
それが、一ヶ月前のことだ。
ホームルームが終わってすぐに、もう一度千夏に聞かれた。
わたしは何食わぬ顔をして答えた。「あ、雅治ね、戻ってきてくれた」
こうも付け加えた。「さっきのは、それでもわたしが不安そうにしてたから、お説教」と、笑いながら。
千夏に嘘をついている、という気持ちよりも、ふたりの間に波風を立てないでいる、というような、どこかふたりのためだと思っている気持ちの方が勝っていた。だから平気だったんだろう。
ふたりの前だけとは言っても、雅治もわたしもお互いのクラスメイトだ。ほぼ毎日、「ふり」は続いていく。
そんなことをしながら一ヶ月も過ぎれば、わたしも雅治も「ふり」はお手の物になってきていた。
その度に胸が締め付けられても、触れ合うことはないおかげで、かろうじて精神状態を保てていた。
相変わらず雅治が女子生徒から呼び出される度に、酷い不安に襲われても、「彼女の貫禄」という「ふり」をして、いってらっしゃいと微笑むこともあった。
ふたりは全く気付いていないように思う。
それどころか、6月に入ってからの千夏はどこか忙しそうだった。
おかしな機器を持ってはああでもないこうでもないと呟いてみたり、理数が苦手なわたしに意味不明のことを聞いてきたこともある。(素因数分解がどうとか)
それがぴたっと止んだと思えば、今度は丸井くんからのお誘いの雰囲気にどきどきしているらしく、話を聞く限りでは、ふたりは物凄く順調で、それは本当に微笑ましく、わたし達のことを気にしている余裕もないだろうと結論付けてもいいくらいだった。
「いい天気……」
目が覚めて、しばらくベッドの中でごろごろと寝返りを繰り返していた休日。
窓を見れば、透き通るようなブルーが瞼を焦がす。
このところ独り言が多くなったなと、今度は口に出さないように独りごちた。
休日は、いつも雅治と一緒に居た気がする。
空の青を見て雅治を思い出すのは、今に始まったことじゃない。
青は雅治の好きな色だった。だからわたしにとって青は、雅治だ。
一ヶ月もこんな憂鬱な気持ちを引き摺っていたことがあっただろうか。
そうやってぼんやりと自分のこと考えようとしても、雅治の顔が浮かんでは消えた。
「おはよ……今日もデート?」
「うん……いってきまーす」
ゆっくりと着替えを済まして、外に出る。
雅治と別れてから一ヶ月……晴れた日は、外出するように心がけていた。
母は雅治と付き合っていたことを知っているから、すっかりデートと思い込んでいる。それでいい。
面倒臭くて説明する気にもなれないし、青い空の下を歩くのは、雅治とデートを楽しんでいるようなものなのだと思っていた。青は、雅治だから……。
いつもそうして幻想の雅治と休日を過ごしていたから、まさか、本物に会うなんて、思ってもみなかったのだ。
だから突然それが訪れた今日に、わたしは動揺を隠し切れないままでいた。
「…………よう、散歩か」
「……っ、うん」
雅治はテニスバッグ片手に、正面から歩いてきていた。
わたしが先にその姿に気付いて立ち止まり、やがて雅治も気付いて、一度は立ち止まりかけて、だけどゆっくり向かってきてくれたのだ。
「今、部活の帰りなの……?」
「ああ……」
いつかこうして偶然会うことを期待して外を出歩くようにしていたんじゃないかと思うほど、わたしの口から出る言葉はどこか台詞めいていて、そう言おうと随分前から決められていた響きがあった。
今更ながらに自覚する。
丸井くんも千夏もいない場所で、こうしてふたりになることを、わたしは望んでいたのかもしれない。
雅治は依然、わたしから目を逸らすけど。わたしは雅治を見つめていたかった。
そういう矛盾した心情は、自分を嫌いになるには十分過ぎるほどの要素だ。
わたしはあの日から、わたしが嫌いになっている。
「……あ、土曜の部活は午前中に終わるんだと思ってた。遅い日もあるんだね」
「…………」
腕時計は1時を回っている。
付き合っていた頃は11時にどこかで待ち合わせて、食事を一緒にしていた。
沈黙が怖くて、上滑りするような言葉を並べて投げかけると、雅治はその時ようやくわたしを見て、確かめるように言った。
「ああ、部活は午前中に終わったんだが……アイツと会っちょった」
その言葉に、思わず表情が歪みかけた。
だけどすぐに、嫉妬や悲観を交ぜた感情を読み取られないように、わたしは震えそうになる唇を開ける。
「あ、そうだったんだ。そうだよねえ、こんな時間までやってることなんて、今までないもんね」
「……まあの」
わざとだと、わかっていた。
それが雅治にとって何を意味するのかはわからない。わたしへの、小さな抵抗なのかもしれない。
戻ってきた雅治に、確かにわたしは優柔不断に身を委ねて、最終的に酷い仕打ちをした。
不二くんが言っていたように、わたし自身もそう感じていたように、雅治はわたしのことを愛してくれていた。
だから雅治が傷付いたのは事実だ。その傷に対する、報復めいた言葉だった。
――彼女と、会っていた……
「……伊織」
「っ……」
遂に黙ってしまったわたしを見て、雅治はわたしの名前を呼んだ。
あの日から一ヶ月、ふたりであるときに呼ばれたことのない響き。
雅治は、極力わたしの名前を呼ばないようにしていた。それはわたしも同じだった。
お互いが、なんとなくそんなお互いに気付いていたからこそ、構えてしまう。
「なに……?」
「……なんとも思わんの?」
いつもわたしから目を逸らしていた雅治が、今はしっかりとわたしを見て、問いかける。
逼迫した感情が押し寄せて、出来ることなら、今すぐ逃げ出してしまいたかった。
「なん、ともって……」
「俺がアイツと会っちょったって聞いて、お前は、もうなんとも思わんのか?」
切ない視線が胸に突き刺さる。
雅治が、わたしを求めていることが伝わってきた。
それなのに、差し伸べられているその手を、掴むことが出来ない。
最初からわかっていた。これはわたしの問題なのだ。もう消すことは安易じゃないだろう、心の闇。
「……そんなこと、言われても……こ、困る……」
「答えになっちょらん」
雅治が、ぐっと近付いてきた。
わたしを見下ろして、「のう、ちゃんと答えてくれ」と迫る。
涙が溢れ出てしまいそうだった。今すぐ抱きしめて欲しいと願うのに、声が出ない。
「ごめ……」
「……なんで謝る」
「……わたし、……わたし雅治のこと、信じられないの」
「…………」
そう言って彼を遠ざけて、片方の掌で顔の半分を覆った。
こんなことを口に出してしまえば、もう後戻りなんで出来ない。
わたしは二度も雅治を拒絶したのだ。彼を傷つけている。
それでも、ちゃんと答えてくれという雅治の言葉には、ちゃんと答えたつもりだった。
それが彼の求めいた答えとは違うとしても、それが今の、わたしの答えだった。
疑心暗鬼に苛まれて、雅治を見失っている。
好きで好きで仕方ないけれど、こんな気持ちのまま、雅治と付き合えない。
雅治は納得出来ないだろう。彼が悪いわけじゃないからだ。わたしの、心の問題だから。
「…………忘れちょった」
やがて長い沈黙の後に、雅治が、ぽつりと呟く。
わたしは覆っていた手を外して、ゆっくりと雅治を見上げた。
彼は微笑んでいた。哀しい顔で。
「俺が惚れた女は、みんなそう言うんよ」
背中を向けて、去っていった。
しばらくその背中を見つめた後、わたしは、雅治、と嗄れた声を絞り出した。
でもそのときには、すでに雅治の背中は、見えなくなっていた……一ヶ月前の、デジャヴだった――。
ただ歩いて町並みを眺めていても、頭の中ではそれと認識もせず、気休めにもならなかった。
頭の中で、雅治の哀しい微笑みが消えずにいる。
取り返しのつかないことをしてしまったという自覚が、確かにそこにあった。
いつも飄々としていて、感情を表に出さない人だから、わたしは甘えていたんじゃないだろうか。
だから、言ってしまってもいいと思った……?
言い訳にもならない……。酷いことを……酷いことを、言ってしまった。
何度目元を拭っても、雅治の顔を思い出せば目の前が歪んだ。
彼にあんな顔をさせて、それに何の意味があったのだろう。
何を気取って、あんなことを言ってしまったのか。あんな風に拒絶してしまったのだろう。
やがて歩いていくうちに、メンタルクリニックの小さな看板が目に入った。
あまり気を揉んでいては、いつかこういう病院の世話になってしまうかもしれないと胡乱げに見つめる。
その時、メンタルクリニックの入り口から、「待って、待って」と聞こえてきた。
ぼんやりと耳に残っていた声を聞いた気がして、振り返る。
でもその人は、わたしを呼んでいるわけではなく、先に入り口に入ろうとしている人の背中に呼びかけていた。
どこか臆病に身を縮めた彼女を見て、一瞬はやはり見覚えがないと思ったものの、目を凝らしていくうちに、それが誰だか、はっきりと頭の中に浮かび上がってきた。
練習試合の日、雅治を「雅治」と呼び、二人でどこかへ消えてしまった、あの女性だ。
年上であろう色気をまとっていたあの時の風貌と、今、病院に入ることを躊躇うような臆病な彼女は一瞬ではわからないほどの変化を見せている。
でも、あの声をわたしは覚えていた。わたしの中の最後の薄い壁を壊した声でもある。
わたしは駆け寄った。どうしたかったのかは自分でもわからない。
でも彼女が「雅治」と呼ぶからには、それ相当の仲であったんだと確信している。
彼女と話せば、取り戻せなかった雅治が、少しは取り戻せるかもしれない。
違う、取り戻したいのは、わたしの心だ。
「すいません!」
「!……え、……え?」
「あの、あなた、一ヶ月前の立海大附属高校であった練習試合に、いらしてましたよね?」
「……っ……なに、なに……」
あの日の凛とした彼女とは思えないほどの狼狽ぶりで、わたしを見て、余計に身を縮めてしまっている。
でも確かに彼女なのだ。こんな美人、この辺りに何人も居てたまるか。
「あの、わたし、仁王雅治の――……友人、なんですけど……」
「…………雅治……」
「はい、それで、あなたにちょっと……なんていうか、聞きたいことがあるっていうか……あの――ッ」
「――ちょっと!!あなた誰!?」
何を聞きたいというのだ、と自分に問いかけながらも、時間がもらえないか聞こうとした時だった。
後ろから脅かすような勢いで声がかかり、その意図の通りに驚いて振り返ると、わたしを睥睨しながらこちらに向かってきている女性が居た。
さっき、彼女が「待って」と呼びかけていた人だ。……彼女よりも幾分か若く見える。
「雅治の……友達なんだって」と、怯えた様子で彼女が彼女に伝える。
「聞いてた。何の用か知りませんけど、彼女に構わないでください」
「あ……あの、わたし、仁王雅治の――」
「――その名前を出さないで!!」
「ッ……」
雅治が彼女に、何かしたというのか……その様子にこちらまで縮こまってしまう。
若い方の彼女は、びくびくとしていた彼女を連れて病院の中に入っていった。
そして数十秒もしないうちに、わたしに怒鳴った彼女の方が病院から出てきた。
視線を合わせるのが怖くて立ち尽くすように構えていると、突然、「さっきはごめんなさい」と小さな声で謝られた。
「いえ……大丈夫です」
「いろいろ理由はあるんだけど、彼の名前はちょっと禁句なんです。ごめんなさい。いきなり怒鳴ったりして。わたしも情緒不安定なんだ。何度も何度も裏切られてるから」
「え……」
病院の中をぼんやりと見ながら、少し溜息交じりにそう言った。
だけどすぐにわたしの視線を感じて、取り繕う。少し、疲れているようにも見えた。
「こっちの話です。えっと、仁王雅治の、彼女さん?」
「……というか、元、彼女です」
「元……じゃあ、彼女の後輩だった人?あれ、いや、でも知り合いじゃなかったっぽいから……」
一人でぶつぶつと言う彼女の話を聞いていて、わたしも少し引っかかった。
後輩だった人、……というのは、雅治の言う、「アイツ」のことだろう。
ということは、あの人はその先輩にあたる……そして、ここは、メンタルクリニックだ。
「あ……」
「どうかした?」
「いえ、あの……ひょっとして、あの人……」
「……?」
言ってしまってもいいのか躊躇ったのも束の間、唾を呑み込んで、勇気を出した。
「依存症の方ですか?」
「……知ってるってことは、仁王雅治があなたに話したってことだ、彼女のこと。彼女のこと、練習試合で見たんですか?」
「あ、はい……ほんの一瞬、見ただけだけど……その時は、まだ付き合ってたので……気になってて」
「あー、なるほど。わかるなあ、それ……わたしも彼女とは同じような出会い方だったし。全然良くないんだけど、この辺りじゃ彼女は知る人ぞ知る、だもん」
「え…………」
「ねえ、もしかしてなんか、思い詰めてませんか?すっごい、表情が暗いし」
いや、そうかな……と否定した声は、上滑りしていくだけだった。
「さっきのお詫びに、相談に乗ろうか?多分、あなたとわたし、同い年だし!もう、口調も砕けちゃっていいよね?わたし、氷帝生徒なの。あなた立海なんでしょ?」
「…………」
ドン、と自分の胸を力強く叩いて冗談めいた彼女に、どこか憧れを抱いたせいもある。
彼女はわたしが真似するどころか、想像もし得ない強さを持っているふうに思わせてくれた。
わたしは積み上げられて崩れかかっていた澱みを吐き出すオアシスを見つけたような気がして、自分でもよくわからないままに、うん、と頷いていた――。
to be continued...
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