冷嘲熱罵 2/2 | ナノ



ーー苛々する。

風紀室で昼食を摂っていると、転入生が騒いでいるとの連絡が入った。
行ってみると案の定いつもの面子が騒ぎの中心にいた。加えて生徒会長である宮村の姿も見つけてしまった。
「ーー何を騒いでいる」
声を掛けるといつも通り嫌味が返ってくる。
いつもの応酬、いつものやり取り。
そこに違和感を感じた。
いつもの彼奴の好戦的な笑みに覇気がないのだ。どこか余裕のない顔。
「…おい、宮村?いつもの威勢はどうした」
思わず出た言葉は、宮村に一蹴された。
それどころか俺の心配を馬鹿にされ、溜まりに溜まった怒りゲージが振り切れた。
「ーーもう我慢ならねえ…生徒指導室に来い。テメェは俺直々に矯正してやるよ」

あの場を引き連れてきた委員たちに任せ、宮村を強制連行する。転入生が何か叫んでいたが、知ったことか。
宮村を無理矢理生徒指導室に押し込め、椅子に座らせる。
「痛ェな…俺は暴力は好きじゃねぇんだよ」
宮村は俺が掴んでいたところを摩りながら俺を睨んできた。
「…ったく、こっちが下手に出てりゃあ調子に乗りやがって…いい加減、俺だってキレるぜ」
「ほお…?そういえば、お前がキレたところは見たことがないな」
自分は立ったまま、文字通り宮村を見下して高圧的な態度を取るが、怯む様子は全くなく。
寧ろ挑発するように見上げてくる視線にさらに苛々が募る。
こちらが追い詰めている筈なのに、いつまで経ってもニヤニヤしながら口答えする宮村。その前髪を乱暴に掴み、そのまま引っ張って強引に立たせる。
ここで漸く宮村の顔が歪んだ。
「生徒指導室に連れて来られて、いつまで余裕でいられるか見ものだな」
「っ…。はッ、随分と暴力的だな…」
「テメェ…誰に口答えしてんだよ、罵られて喜んでるような変態が。テメェなんか黙って這いつくばってりゃあいいんだよ」
言い切ったところで宮村が息を飲み、体を震わせて俯いた。
さすがに言いすぎたか…?
「…やっべ…」
「…あ?」
「………イッた」
「は、ぁあ…?!」
俺は思わず宮村の下腹部に視線を移し、再び視線を上へと持ち上げて宮村の顔を見る。
いきなり何を言い出すんだ、こいつは。イッた、だと?どこにそんな興奮する要素があった。
予想外の事態にひくりと頬が引き攣り、そして宮村の髪から手を放した。
「あー…最近抜いてねぇからなあ…いつもなら耐えられんのに…」
「は?え…はあ?」
「ああ…その顔、ヤベェな。ガチで引いてんだろ、堪んねー…」
本調子じゃなかったのはそれが原因かと頭の片隅で考えつつ、眉をひそめ不快感を露わにしていると宮村は眉を寄せた。
しかしその顔は明らかに悦楽の表情で。
「また勃ちそう…」
一言ぼそりと呟かれた言葉にリアルに引いた。
ちょっと待て、どう言うことだよ。訳がわからねえ。

ぐるぐると混乱した頭が導き出したのは。
「お前、ガチで変態だったのか…」
「はあー……お前のさ、本気で俺の事が嫌いっていう態度がクるんだよなあ」
「気持ち悪ィ…」
嫌悪を顕著に呟くと、宮村の目が物欲しげに輝いた。
「……なあ、瀬野」
「んだよ。つかこっち来んな、キモイ」
そんな期待を込めた目を向けるだけじゃあ…なあ?
「それが人にものを頼む態度かよ、ああ?靴でも舐めて媚びを売るくらいしたらどうだ、変態」
一瞬きょとりとした後、形のいい宮村の唇が緩やかに上へと持ち上がった。

ーーああ、兎に角誰かこいつの取扱説明書くれないか





無自覚S×精神的M
>>ドM企画様 提出



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