03
遠隔でアルジュナに指示を出していたRは令呪による命が遮られると同時に、アルジュナとの交信が断絶され、絶望の縁に立たされていた。

アルジュナとのパスは繋がったままだ。殺されてはいない。それがかえって恐ろしい。アルジュナは今なにをされているのか、もしあのランサーのように扱われていたら、死ぬよりも苦しい仕打ちを受けていたら……

何度でも念を送る。返事が来るまで何度でも、ずっと。
やめてしまったら、もうなにもかも失ってしまいそうな気がしていた。


それだけを続け数日が過ぎた。

アルジュナとのパスは未だ途切れていない。
ランサーを思い出して令呪を宿す手がずっとガクガクと震える。
アルジュナは生きている。どのような姿で?
アルジュナは生きている。彼の意思で?
アルジュナは生きている。人間のまま?

ずっと頭を抱え蹲っている。
苦しくて部屋に引きこもっている。
愛しい人が異形に呑まれていく姿が、ずっと瞼の裏にうつっている。

「神様、アルジュナを助けて……!」

刹那、豪快な音がして窓ガラスが飛び散った。侵入者だ。夜襲か、サーヴァントのいないRにそのようなことをする必要はないはずだ。そんなことをしなくともRはとっくに弱っている。いま攻撃などされても反撃できない。現に相手が近づいていることにすら気がつけなかったのだ。

Rは固く閉じていた目を開き、侵入者に目を向けた。
その人を見てRは目を見開く。
もう会えないと思っていた。

「ある、じゅな。」

「マスターR。アルジュナ、ただいま帰還致しました。」

月の光だけが差し込む暗い部屋に、その美しい人は帰ってきたのだ。
あの状況を打開して、主の元へ帰ってきたのだ。

思わず駆け寄る。
ふらつく身体を動かして、その人に近づき、抱きしめた。

「R……痩せられましたか?」

「うん……なんにも喉を通らなくて。」

「目の隈が酷い。きちんと睡眠していませんね?」

「怖くて眠れなかったんだよ……!」

暖かい。ちゃんとアルジュナの体温を感じられる。
首筋にアルジュナの息がかかる。密着した胸から鼓動を感じる。
生きている。

アルジュナに撫でられた。安堵で涙がぼろぼろと零れる。愛おしい暖かさに身を委ねた。アルジュナはいつもと違って照れずに、めいいっぱい甘やかしてくれた。嬉しくてずっと抱きついていた。

涙が収まって、落ち着いた。
その人の顔が見たくて目を開ける。

目を開けると、アルジュナの背後、暗闇の中何かが蠢いていた。
月の光を反射するそれはヒトの形を持たぬ異形だ。
ランサーが産んでいたのと同じヒトの遺伝子を持つ歪な触手生物、それがなぜかそこにいた。

「アルジュナ!」

その人に危険を伝えようと身じろぐが、固く抱きとめられ全く動けない。ずるりずるりとそれは近づいてきた。アルジュナは動かない。抱きしめられたままで表情も見えない。抱擁の幸福が恐怖へと変化する。

「アルジュナ、どうしたんだ!」

ガクガクと身体が震える。
アルジュナは依然として愛撫を続けている。けれどその手はRに一切の抵抗を許さない。

「もう離したりしませんよ、R。愛していますから。」

ずるりと触手が脚に絡む。
その触手でできた肉の花は全くそんなことは無いのに、不思議とアルジュナと似ているように思える。
きっとアルジュナが産んだのだ。そう思った。

触手が全身に絡まると、アルジュナの抱擁が解かれた。けれど身体の自由は奪われたままだ。
アルジュナはうっとりとRの瞳を覗き込んだ。 アルジュナはRのみたことの無い顔をしていた。自制心を失った顔。……はっきりと欲情している顔。
Rのズボンが脱がされた。アルジュナはれろっと舌を出し飴を舐めるようにまだ柔いソレを刺激する。

「アルジュナ、まて、だめだ、おかしい!こんなの絶対におかしい!」

「はむっ、ちゅっ♡れろっ♡はぁ……♡R♡R♡れろっ♡」

責め立てるように動きが早くなる。
搾り取るように吸引される。
喉の奥まで誘導される。
ぢゅぱっ♡ぢゅぱっ♡と汚らしい音が響く。そんなこと気にもできないほどアルジュナは夢中だった。

「あ、あぁぁ、アルジュナぁ、でる、でるからはなして……!」

アルジュナはRの制止の声も聞かずに喉の奥、狭いところまでRの剛直を呑み込む。
耐えられない。

ドクドクとRの欲望がアルジュナの喉に流れ込む。アルジュナは顔を顰め、目に水の膜を作ったが、ごっくんと呑み込むと口腔を見せ溶けるように笑って見せた。

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