6.善をなさんとするものは門を叩き、
 愛する者は門が開放されているのを見出す


膨れた胸を……乳房を優しく揉む。母体にまったく考慮せず、強引に発達を促されたそれは、Fの指に合わせてふんわりと形を変えた。

「んぅ、」

ふにふにと目新しい感覚を一頻り味わっていると、カルナがもじもじと股をくねらせはじめる。
なにがしたいのか、なんとなくわかって、柔らかそうなほんのり色付く男性器に手を伸ばし、とりつけられた塞き止めるものの固定具を外す。

「汚いぞ。」

カルナがムスッと少しだけ目を細め睨んだような顔をする。これが最大限の嫌悪の顔なのだろうか。嫌悪したとて無理もない。これを外してカルナが晒すのは、カルナがからみると醜態以外のなにものでもないだろう。それでも譲る気は無い。

「そうかもしれない、でもだした方が気持ちよくなれるよ。」

そっと器具を引く。尿道に刺さっているようだ。

「俺はカルナさんに気持ちよくなって欲しい。」

弱点への刺激が最低限で済むように、優しく引き抜いた。普段の男らしさに相反し、弱々しく控えめのソレが顔を出す。

栓を抜くと同時に、塞き止められていたものが音を立てて吹き出される。
排尿……自分で制御もできなくなった行為は、カルナの意志とは関係なく続けられる。カルナの酷く屈辱的、それでいて光悦とした表情は、その行為がカルナにとって、最高で最悪なことなのだと訴えていた。

「……かわいい。」

気がつくと 声に出していた。
カルナの発する汚らしい水の音。量が多い、塞き止めたまま、我慢していたのだろう。今のカルナはもう、自分で下の世話をするのも精一杯なのだ。
素直な尿意に、抗えないとわかっていて堪えようとする意志。ちいさな男性器を通る液体に支配され、打ち震える全身。「かわいらしい」以外のなにものでもなく、堪らないほど愛おしい。

「趣味が悪いな。」

カルナが言う。自分でもそう思う。
けれどそうさせているのは紛れもなくカルナである。カルナでなければダメだった。
どこか不満げなカルナはいつものようにシュッとした、男らしい顔つきをした。けれどちょろろっ♡♡と最後まで排泄の悦に浸る股とのギャップは、寧ろFを昂らせる。

「止まったね。だすの気持ちよかったでしょ?
腰、浮いてたよ。」

「……ああ。」

どれだけ屈辱的であっても、聞けば素直に答えてくれる。カルナらしからぬ行為に未だ少しだけ違和感を拭いきれず、ふわふわと漂うようだった頭が、やっと地に足をつけたようだ。

放尿を終えた口から、たらりとカルナのおしっこが垂れている。みつめていると、自然と口角があがった。

「変態だとは思っていたが、まさかここまでとはな。」

「カルナさんも感じてるでしょ?お互い様だよ。」

中断していた胸への刺激を再開させる。
女性にも、もはや男性にもみえない中性的な色気、俺のカルナだけの特別なカタチ。永遠に触っていられる、そう思う。それほどまでにカルナのそれは気持ちがいい。

優しく揉んでいただけだった手に、少しだけ力を加えて、膨らみを中心に寄せる。変わらぬ胸元の石が肌に埋もれ、小さな谷間ができた。カルナが息を飲む。感じているのだ。

腰が浮いている。アナルの器具をベットに押しつけ、ぐりぐりと掻き回して、刺激を得ようとしているようだ。
おかげで次の悪戯を思いついてしまった。

カルナの乳首の器具を掴む
たらりと涎を垂らし、惚けた顔がこちらを向いた。その顔には期待の色が見える。

器具を固定したまま、そっと持ち上げた。器具から少しだけはみだした乳輪が上へと引き伸ばされて、器具に吸いつかれているような見た目をする。

「あっ、あぁぁぁ♡それは……!」

カルナはこれが大好きだ。初めてのセックスの時、無理矢理に持ち上げてわかった。カルナは一際甲高い声をあげる。以前のように激しくはしてやれないが、ぐりぐりとあらゆる方向に引っ張り回す。

びくん!びくん!とカルナが跳ねる。
男性器がぺちぺちと揺さぶられて、垂れていたものが飛び散った。

カルナがイっている。嬉しかった。

金属の音がして、カルナが乳頭の器具を外す。一刻も早く触って欲しい、そういう動きに見えた。

器具の先端は針のように尖り、内側へと差し込まれていたようだ。

「それ、痛くないの?」

「ああ、問題ない。」

白い胸の双丘を、栓を失ったピンク色の入口から、白い液体が伝う。
カルナが抱きしめる準備……おいでとでも言わんばかりに両手を構えた。それに甘えるように、促されるままに身を寄せて、溢れる乳汁に舌をつける。ちゅぷちゅぷと吸いつくと、やはりいつかのようにふつふつと身体が上気し始めた。

けれど以前のように、熱に浮かされることはなかった。
きっと今、以前のように無茶苦茶にしたら、この人の身体は本当に壊れてしまう。それだけは、してはいけないのだ。

「F……」

無茶苦茶にされようと構わない。カルナはそう思っていた。そう思っていたからこそ、その胸の器具を取り外したのだ。
けれどFはしなかった。
Fは今、必死に耐えている。それはカルナを守るためだ。
本当に、カルナを愛しているからだ。
……カルナは返す言葉を失った。無茶苦茶にされようと、壊されようと構わないなど、自分は消滅するべき負荷だろう、などと。
それは自分よりカルナが大切なFにとって、いちばんの侮辱であったかもしれない。

「あっ、あっ♡F♡つっ、ふぅ♡」

解ける。力を抜く。醜態だろうと、屈辱だろうと、もうどうでもよくなった。

「どうしたの?カルナさん。」

Fが汗の滲んだ顔で、優しく微笑む。
その笑顔に、蟲に拓かれた腹の奥がズクリと疼いた。
開いた股がまたすこし、悦びを噴き出した。

明確に甘えを見せだしたカルナに、Fの体温も上昇する。それが嬉しくて、カルナもめいいっぱい微笑んだ。抱かれるオンナの顔をして、思うがままに熱く言葉を放ったのだ。

「愛している♡♡」


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