無邪気な中毒者 | ナノ

4.あるもので何ができるかを考えるべきである。※


薄手のシャツを少しまくって、胸へと手を差し入れた。肌はしっとりとしている。冷や汗をかいていたのだろう。

「A、そこまでだ。オレの身体では、お前を満たせない。」

「やってみないとわかんないだろ?」

シャツを捲りあげて胸の突起に目をやると、それはぷっくりとふくらんでいて、肥大しているのがわかる。

カルナがあ……と小さく唸り、その顔を見ると目が合った。普段のカルナから考えるとありえないような、絶望すら感じられるその顔に、加虐心を煽られる。

「見苦しいぞ。」

カルナが言った。自分の身体のことだろう。

「そんなことはないぞ。これまで見たどんなものよりずっときれいだ。」

そういうと、その人はまた困ったように目を細めた。

そのまま膨らむ胸の頂きを、見せつけるように舌で押しつぶした。我慢強いカルナが、それだけで身をよじり眉を寄せる。
吸ってみたり、軽く歯をたててみたり、舌先で転がしてみたり、そうするたびに跳ねる姿がかわいらしくて、今度は指でくにくにと弄んでいただけだった反対の突起に強く吸い付いた。
ぢゅるるっと音が鳴り、カルナが初めて声をあげて喘ぐ。
もしかしてとズボンを下ろしてみると、下着は身につけておらず、トロトロと液体を垂れ流す小ぶりなソレが露わになった。

「カルナ、下着は?」

カルナはびくびくと絶頂の余韻に打ち震え、こちらの声を聞いてはいないようだ。
ちょっとした興味が背を押して、その人の秘処を指を探ってみる。指先がそこに触れた時、どろりとした暖かい液体が滑り落ちた。これは…ローション?

敏感な入り口に触れられて、カルナがこちらの動きに気がついたようだ。
自分が零した液体を訝しげに見めるAに対して、カルナは自ら尻たぶを割った。秘めておくべき場所が露わになって、よく見える。とろとろと涙を流すアナは縦に割れていて、盛り上がっていて、カルナがかつてどのような扱いをされていたかを物語っている。当然、カルナを汚した連中に対しての怒りが湧く。

「準備はしてある。いつでもいれていい。」

が、それ以上に、自ら大きく股を開き、甘い言葉を放つその人を前に、興奮して仕方がなかった。

必要ならつかえ。と言ったカルナの視線の先に、ローションの入った容器があった。
先ほど見回したときにはなかったものだ。風呂場で使ってきたのだろう。どうりで時間がかかったわけだ。
なぜ準備してきたのか、こんなものを持っているのか疑問はあったが、またカルナが空の瞳でどこか遠くを見ていて、少し身体が冷えて、

「カルナ。」

「どうした。」

「このローション、口に含んでも大丈夫ってかいてある。」

「なんだ、それがどうし、まて、それは、は、あぁっ!!」

カルナの腰を持ち上げて、後孔を覆うように口に押しつけた。
舌でぐりぐりとそこをまさぐると熱く柔らかく、抵抗するどころか迎え入れるように形を変える。ぐるりと一周舐めあげると、カルナは唾液が垂れるのにも気づかず歯を食いしばり、入口をキュッと締めた。
Aの熱い舌はそれを押し返すように入り込み、ぐちゅりぐちゅりと卑劣な音をたてながら、カルナのナカを容赦なくえぐる。
不規則な動きをする舌がイイところをかすめて、けれど決定的な刺激は与えずに去っていった。おそらくわざと焦らしているのではない。どうすればいいのかわからず彷徨っているのだ。Aを引き離そうにも、仰向けのまま、腰を持ちあげられた状態ではまともに力も入らない。下半身は言うことを聞かず、脚はAをはさんで離さない。気持ちがいいのは確かだ。しかし、このままではおかしくなってしまう…!

「ひ、や、A、まへ、あ、くッ…!」

意味は伝わらなかったろうが、カルナの声にAは口をはなした。
唾液でてかてかと湿り充血したそこをみて、Aはこくりと喉をならしたが、カルナの液体でぐしゃぐしゃになった顔をみて「やりすぎた。」と楽な体勢をとらせた。
頬を赤らめ目をそらし、こらえているAをみて、我慢させるくらいならば止めなければよかったと思ったカルナは、顔を軽く拭ってすぐに、服に覆われ未だ見ぬAの陰茎に指を這わせた。

「は、カルナ!?」

触れてしまえば、服の上からでも形がわかるほど立ち上がっている。先の方から根元のほうまで、指先で優しく撫であげると、Aは恥ずかしげに息を詰め、それをまた膨らませた。
その反応がどうにも初々しく、眩しくて、一抹の罪悪感を生んだが、熱が冷めることはなく、奥はじくじくと疼いてしかたがなかった。

「続けたかったのだろう?止めてすまない。遠慮はするな、オレに構わず使ってくれ。」

「カルナ。」

そうする理由はわからないが、たたみかけるようなカルナの言葉に、必死さを汲み取ったAは、落ち着かせてやろうとその口を優しくついばんだ。
その身体をもういちどはじめのように床に縫い付け、カルナの慎ましく開いた唇を丹念に舐めあげ、そっと離した。

互いの荒い息がかかり、熱を共有する。相手が興奮しているのだとわかり、嬉しく思った。Aは下半身の衣類を脱ぎ捨て、脈打つ物を入り口に押し当てる。そうするとカルナが腕を背にまわし、目尻を下げ色っぽく微笑んだ。
それをYESと受け取って、最後に一つ。

「カルナ、使うなんていうな。」

それを聞いたカルナは微笑みをくずして、きょとんとした顔をした。ああ、いつものカルナだ。そう思うと無性に興奮して、導かれるまま柔らかいナカに自らのソレを押し込んだ。

「あ、ぁんっ!!っ…!!」

油断していたのか一瞬甲高い喘ぎ声が聞こえたが、すぐに抑えられた。必死にこらえる姿は扇動的で、支配欲が満たされる。しかしこんな気持ちは、カルナの心に傷を残した連中と変わらないのだろう。

「カルナこらえるな、もっと楽にしてくれ。」

動きを止めてその人の涙をふき取り、落ち着くのを待つ。
息を整え、カルナが口を開いた。

「オレの声は萎えるといわれた。」

誰に?と聞きそうになって飲み込んだ。思い出したくなんてないだろう。
そんな奴らの言うことなんて、忘れてしまえばいいのに。

「抱かれるメスの声でないと。まあ、そうだろうな。
 お前も耳障りなものは極力少ないほうがいいだろう。」

俺の発言を疑問としか思わないようだ。
まあカルナらしいといえばカルナらしい。優先順位に自分など入っていないのだ。
俺はカルナだけが欲しい、カルナだけがいればいいなんて、言っても理解してはくれないのだろう。

「耳障りなわけあるか!お前に我慢なんてさせたくない。」

「言ったはずだ。オレに構わず使え。お前が満足に快楽を得れるのなら、オレはそれが」

「使うなんていうな、っていったぞ。」

「!すまない。しかし、」

「わかった、カルナ。こういえばいいんだろ?」

ぐちゅりと水音がした。気持ちとともに体も少し前進して、カルナの内側をおし広げた。
その人は無言のまま眉をよせ、俺の言葉を待っている。

もう一押しと思うと口走らずにはいられない。
今度もそうだ。

「自制なんて捨てろ、お前の全部が欲しい。」

床についていた手を、その人の脇下に滑り込ませ、背面から肩を抑えつけた。
これで絶対に逃げられない。など、そんなことをしなくても逃げはしないのだと、わかっているのに。

「…承知、した。」

肯定の言葉に安堵して、もう一度キスをした。
今度は溶け合うような、混ざり合うような、深いキス。
舌を突き出すと、カルナが受け入れてくれる。
カルナが俺の舌を吸って、食んで、自らの舌と絡めて、刺激をくれる。

どこか慣れを感じる動きだった。
それが悔しいのに、カルナの味に興奮して、口を離せなくなる。カルナの甘美な唾液を啜って、耐えられなくなって、腰の律動を再開した。
ずちゅっ、ずちゅっと繰り返される音に、頭の中まで掻き回されている。カルナはもう自分が何度絶頂したかも分からず、それでもAの熱を感受し、甘い声をこぼしていた。

「カルナ、あ、もう、」

そういったAの涙がカルナの胸を滑って、甘い刺激が全身に流れた。果てた身体がAの剛直を締め上げ、それから無意識に逃げようとする。しかしAはそれを許さず身体をおさえつけ、カルナの最奥を貫いた。

「あ……!」

カルナの声は堕ちきって、もう一切の余裕も感じられない。
透き通り過ぎている肌も、鋭く瞬く視線も、神のような思考さえももうドロドロで、首筋には初めにつけたキスマークが咲いていた。彼を人間にしたようで、こうでもしないとカルナに届かないのだと今更ながら気付いて、それでも

「カルナ、あいしてる。」

呪いの言葉を口にする。
本当にカルナが遠く、大きな存在であっても、届くのなら足掻き続ける。
それは間違ったことではないと、自分とカルナに言い聞かせながら。

ドクドクと放たれた熱い欲望はカルナの内側を浸して満たし、最高の幸福感を与えた。Aに、初めて誰かに自分の全てを与え、与えられて、もう苦しむことなど無いのだと、安心してカルナは意識を手放した。
ただひとり、いまだ苦しむ人を残して。

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