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これの静雄視点の続き
ノミ虫野郎はよく回る口で延々とよくわからない理論を繰り広げる。この話の帰結する先はさっぱりわからない。先ほど自分でいったように解るように話す気もないんだろう。どうでもいい、心底どうでもいい。俺は右手に握る標識をふりあげた、が。
「シズちゃん、大好き。」
力がぬける。
標識が手からすべりおちる。
なんだそれ。
嫌がらせなんだろ?
なんだよ、その顔。
「大好き、大好き、大好き。シズちゃんなんか、大好き。」
ややうつむきぎみで言い続ける臨也によく分からない感情がわきあがる。臨也を傷つけるための標識を握り締めていた手が臨也にのびて、その腕を掴んだ。
「臨也。」
「っ…何…?」
言っといて動揺するなら、最初から言うなよ。せっかく今まで見てみぬふりしてきたのに。
聞いてない、解らないといいつつもそれなりに耳を傾けていた先ほどの理論を思い出す。
『俺の発した「大嫌い」はシズちゃんにとっては「大好き」かもしれない。』
ならば俺の発した大嫌いは、こいつに何として伝わるんだろう。
「臨也。」
「なん…だよ…っ!」
離せよ、と暴れる臨也を引き寄せる。願わくば、今から俺の発する「 」が正しくこいつに伝わる事を祈って。
逆説的色彩相違論
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前のやつをなげたあとに要望をいただいて書いたもの
前のでもう完結させる気満々だったから色々無理矢理