どんな君も好き/敏京



「敏弥、髪の毛伸びたなぁ」
「そう?」
「うん。いつも見よるからあんま思わんかったけど、前のスキンよりかは全然」
「あーアレと比べるとそりゃ伸びたよね」


京君と2人。
ソファを背もたれにしてラグの敷かれた床に座り、晩酌。

俺はビールで、京君はワイン。


適当に買って来たツマミを食べながらテレビを見て話をしてると京君の手が俺の髪に触れた。

テレビから視線を外して、京君の方を見て笑う。


眼鏡越しに見える京君の表情は、酔っ払ってていつもより若干顔が赤く、笑い方も柔らかい。


何年見て来ても可愛いなって思うその表情。


「お揃いだよね、髪型」
「はー、ほな僕髪型変えとかな」
「何でだよ。いーじゃんお揃い」
「ふーん。僕、敏弥の半スキンかっこえぇと思っとったのに止めてもたんやぁ」
「お?マジでマジで?」
「うん。アレ格好良かったで」
「何で半スキンしてた時に言ってくんねーんだよ」
「言うとったやん。心ん中で」
「ちょ、それは俺に言ってよ」
「何で」
「何でってそりゃー京君に誉められたらテンション上がるだろ」
「ふーん」


あんまり話を気にし無い様子の京君は俺の髪の毛の右サイドを撫で付ける様に何度も指でとかす。

酔いが回ってる京君の目は濡れてて、エロい雰囲気じゃない筈なのにエロい。
京君自身が。


「あの半スキンの髪の毛立てて欲しかったわぁ」
「長いヤツ?モヒカンにしては高くね?」
「そこをやるんが敏弥やろ」
「俺ってどんなだよ」
「ん?敏弥かっこえぇから似合うで。頭の形も綺麗やったし」
「…京君酔ってんの?」
「は?」
「何かすげー嬉しい事言ってくれんじゃん」
「ニヤけんなやキモい」
「またまたー」


持ってたグラスをテーブルに置いて、京君の肩に腕を回して引き寄せる。

ワインと合うのかわかんねーチョコを食べてた京君は、眉を寄せて俺の顔を見たけど、嫌がる素振りは無い。


だってもうそうするのが自然な事になっちゃってるから。

そう思うと嬉しくてまた顔がニヤける。


すると、髪の毛を触ってた京君の手が俺の眼鏡を取って。
顔が近づいてきて唇に吸い付かれた。

柔らかく触れて、すぐ離れた。
間近で見える京君の口元は笑みを浮かべたまま。


「あー僕もスキンヘッドにしてみよかなぁ」
「京君が?いいね。スキンにしたトコ舐め回したい」
「…変態」
「ふふ」

呟いた京君に笑って。

俺の腕を振り解いて足の上に跨がって来た。


京君の柔らかい唇が、俺の唇、顎、首筋に吸い付いて時々噛み付く。


ソファにもたれて、そうされるのを目を細めて享受する。
手を伸ばして、お揃いの金髪の京君の髪の毛を撫でる。

ずっと金髪だから、手触りは傷んで感触が伝わって来るけど。
アシメの長い髪を掻き上げると、上目で俺の方を見た京君と目が合った。

口の端を歪めて笑う京君は、俺の服ん中に手を突っ込んで素肌を撫でて来て。


さっきとは違う色香を放つ京君に身を任せて。
されるがままに服を脱がされた。


「敏弥昔むっちゃガリやったし、半スキンにするなんて考えられん程綺麗やったのになぁ」
「ん…なーに。昔の方がよかった?」
「別に?どっちも敏弥やから。それに今は格好ようなったし」
「もー…嬉しすぎ。大好き」
「当たり前やん」


笑って京君は、俺の素肌に唇を落としてって。
アルコールが回って火照る身体に、吐息を漏らす。


刺青だらけの腕が俺の身体を撫で回して、ズボンに手をかけてんのがわかった。


「京君がヤラしーのは変わんないね」
「ん…敏弥のがヤラしいやんか」


お互い笑って。
まったりとした空気の中始まった情事。


大好きだよ。
以前よりずっと素直に、感情を出してくれる様になった京君。


ずっと大好き。

昔も、これからも。




20100220


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