構え/玲流
明日ライブって日。
横浜のホテルに前乗りで泊まるって事でコロンは先にペットホテルに預けて、各1人部屋を与えて貰ってるけど、ルキの部屋に来てルキと2人。
事務所からは早く寝てコンディション整えろってよく言われてるけど。
その日の気分でやっぱ寝る気になんねーんだよな。
ルキがツイッターにアップする為に色んなグッズを撮ったり着たりして。
何か、ルキが服買って1人ファッションショーしてる時と同じような感じでちょっと笑う。
服好きだもんなー、ルキ。
今回もルキ好みのデザインで。
俺が写メに写らない様に、ベッドに寝転がってそんなルキを眺めて。
写メを撮り終わったら次はツイッターにアップするらしく、iPhoneをイジりながらベッドの縁に腰掛けたから。
ルキの腰に腕を回して自分に引き寄せる。
したら、ルキは画面を見ながらそのまま俺に背中を向ける形で寝転がった。
「なーに、れいちゃん」
「せっかく部屋来たのに何してんの」
「んー。この撮った画像アップしたら終わるから」
「いつ」
「もうちょっと」
一緒に横向きに寝転がったルキの腹に両腕回して抱き締めて、うなじに顔を寄せてキスをする。
ルキはiPhoneに夢中だけど。
「んー。れいちゃん擽ったい」
「まだ?」
「まだ」
「えー」
うなじから、ルキの匂いを嗅いでると、ルキの笑った声が聞こえて来た。
いつ構ってくれんだよルキさんはよー。
まぁルキはファンの為に色々やってんだろうけど。
何となく、ルキのうなじに軽く噛み付く。
「痕付けたら怒る」
「付いてねーって」
「ん」
「で、まだ?」
「まだ。我慢してね、れいちゃん」
「んだよー」
ちょっと身体を起こしてルキの肩越しにiPhone画面を覗くと。
さっきルキが角度とか拘って撮った画像が画面上にアップされてた。
「マメだねー」
「そー?」
「うん」
「れいたもやれば?」
「や、何書けばいいかわかんねーし」
「あー…まぁね」
「…………」
「…………」
「…だから擽ったいって」
ルキが操作する画面ばっか見るのもすぐに飽きて。
横向きに寝てるルキの金髪から覗く新しく開けた左のピアスが付いてる耳にキスを落とす。
ルキは耳が弱かったりするから、ちょっと身体が身じろいだ。
髪を掻き上げて、軽いキスを何度か繰り返す。
「あーもう。わかった。わかったから」
「終わった?」
「はいはい、終わった終わった」
「よし」
ルキがiPhoneをベッドに置いて、ぐるっと身体を反転させて俺の方へ向く。
呆れた様な視線と目が合った。
と、同時にルキの腕が俺の首へと回り、ルキの身体を組み敷く体勢になる。
顔を近付けて、ルキの口元が笑う。
「甘えたですねー?れいちゃん?」
「いいじゃん。明日には皆のルキになるんだから。今日ぐらい俺のルキでいても」
「えー?ほとんどの時間、お前のルキでいると思うけど?」
「何言ってんだよこのワーカーホリックめ」
「んふ。だって好きなんだもん」
「知ってる」
だから、余計に2人でいる時間は大事なんだよ。
お互い恋人なんだから、我儘聞きやがれ。
「あ、れいちゃんにバンダナ作って欲しいってお願い、よく来るよー?」
「…その内な」
「デザインする?楽しみ」
「ルキつけんの?」
「れいちゃんモデルなら、ライブでつけるし」
お揃いデショ?って笑う目の前の恋人はマジで可愛い。
そのまま、ゆっくりとキスをして、お互いの唇を啄むように何度も重ね合わせた。
何人もの人の前で吠えて求められても。
可愛いコイツは俺のだから。
終
20130110
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