旦那と嫁/玲流



ベッドルームには、ルキが拘って選んだルームランプがあって。
光の加減で蝶やら何やらの模様が影として壁に映る。

そのオレンジの光の中、素っ裸の汗ばんだルキの背中。
久々の情事の余韻に浸りつつ、ヘビースモーカーなルキは終わったら煙草吸うのが癖みたいで。

肘を付いて煙草を吸いながら、携帯をイジっていた。


因みにコロンは教育上良くないので、営み中はベッドルーム出入り禁止になってます。
多分ゲージの中の布団で寝てるかと。


肘を付いてルキの様子を見つめ、ツートンの伸びた髪をゆっくり撫でる。
昔はよくツートンにしてたなぁってちょっと考えながら。


機嫌直れって意味を込めて、ルキの男にしては薄い肩に唇を落とす。
何度かキスをして、肩甲骨を甘噛みするとルキが身じろいだ。


「…ンだよ」
「んー?」


ただの戯れ。
それに不機嫌そうな声で応えるルキ。

氣志團万博に出さして貰ってから、あんま機嫌よくねーんだよな、ルキ。
原因はわかるんだけど。


ベッドサイドに置いた灰皿に煙草を押し付けて消し、ルキが俺の方へ向き直る。


「れいちゃん可愛い嫁がいて良かったね」
「おぅ、目の前に最高に可愛い嫁がいっけどな」
「誰がテメーの嫁だよ」
「ルキ」
「ウゼェよ馬鹿」
「仕方ねーだろ。あそこで無下にする方が不自然じゃん。ルキだって握手してただろ」
「…わかってるけどムカつくんだよ!」


そう言ってルキがiPhone持った手を振りかざして来たので、自分の目の前で手首を掴む。

このバイオレンスな嫁め。


ルキの手に持つiPhoneを取り上げると、画面には俺がサインが書いた画像が映し出されてたから、あぁ、と納得。


ルキを引き寄せて、腕枕に頭を乗せさせて枕に一緒に沈む。


ルキのiPhoneを掲げて見やる。


「お前なぁ、携帯壊れたらどうすんだよ」
「iPhone5予約したから」
「れいちゃんの頭も壊れたらどうすんの」
「筋肉あるから大丈夫」
「頭はさすがに筋肉ねーよ」


ちょっと笑いながら、ルキが見てた某ブログの文章を目で追う。


「まぁそんな時の為にせっかく『オモチャ』与えてんだから、使えよ。あれ結構頑丈じゃん」
「忙しくて使う暇ねーよ」
「あー…そうだなー…」


わざと書いた自分のメッセージを見て、口角を上げる。

ルキには散々マネもいて公的な場だから、ネタで書いたんだって言って宥めたけど。

白々しい、文章を眺めて鼻で笑う。

裏の事情なんて知らない、公式の場所でこう書くしかないだろう。

俺は別にどうでもいいんだけど。
基本人と関わんの好きじゃねーし。

文章を読み終わって腕を下ろすと、ルキが俺の手の中からiPhoneを取り返した。


腕の中でiPhoneを操作するルキ。


「ルキもツイッターで書けばいいじゃん、俺への愛を」
「俺の愛はそんな安くねーんだよ、馬鹿か」
「はは、十分わかってるし」
「じゃ、俺が嫉妬深くてこう言うの嫌いなの、わかってるよな?」
「勿論」
「お前性格悪ぃんだよ」
「まさか。愛情表現だろ」


ガキみたいな嫉妬して、独占欲丸出しにするルキが。
俺は可愛くて仕方が無い。


公に出来ないルキとの関係に、不満がある訳ではなくて。
寧ろ変な憶測が飛び交うなら隠し通す方がいい。

けど、公に出来ない分、他に俺へのベクトルがあからさまなのが許せないルキ。


お前も結構狙われてたりするんだけどね。
何ツイッターで虎と絡んでんの。

あ、思い出したらちょっとムカついて来た。


けど、携帯を枕元に置いて、俺の腕枕の上で寝る体勢を整えるルキに、やっぱり愛しさなんてモンを感じて。


「はー…」
「ん?寝る?」
「うん」
「コロンは?」
「ゲージん中」
「了解」


今日は2人きりで寝るらしい。
まぁ素っ裸だしなー…。


寝に入ったルキの髪を優しく撫でる。


あんま可愛い事すんなよなー。


もっと苛めたくなんじゃん。




20120921



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