安心する居場所/玲流




仕事の事を考えなくていい、完全オフの時間。
家でれいたとコロンとごろごろして思い思いの時間を過ごす。

まだ陽が高いからコロンの散歩行けねーし、さっき部屋ん中で玩具で遊んで走り回ったから今は雑誌読んでるれいたの胡座かいた足の間におさまってて。
一応節電って事で、温度設定は高めなんだけど、コロンは甘えたで人にべったりとくっつくのが好きだから。
れいたの太股辺りに顎を乗せて目を細めてる。

いや俺も寝転がってコロンと共にれいたの膝を枕にしてんだけどね。
れいたの膝?太股?筋肉質でかてーんだけど。


読んでた雑誌に飽きて、iPhoneちょっとイジって飽きて、真上にあるれいたの手と雑誌を見上げる。

熱心にバイクの雑誌読んでる。
俺はそんな興味ねーからわかんねーけど。

車とかバイクとかイジんの好きだもんなー。


手を伸ばして、一緒に買いに行ったシンプルなペアリングを指先でなぞると「んー?」って気の無い返事。

何だこの野郎。

下ろした腕で、ペシッとれいたの太股を叩くとコロンの方がビクッてした。
ごめんごめん。


「なーにしてんの」ってれいたの言葉を無視して、仰向けからちょっと体勢を変えて横向きになる。
起きてちょっと欠伸をしたコロンを撫でる。

うん、可愛い。
撫でてたら俺の方に近寄って来たから、引き寄せる。

コロンの柔らかい毛並みに唇を寄せた。


動物特有の高い体温が心地好くて、れいたの糞固い膝枕でも目を閉じた。
まぁそれは、俺が手触り重視で選んだラグが寝心地いいからって事で。

















「───…ん…、」


ふ、と自分の意識が覚醒する。
どうやら寝てたみたいで、瞬きをして視線を動かして自分が今どんな状態かを思案する。


あー…コロンとれいたの膝で寝てたっけ。


近くにいたコロンは、視線だけじゃ探せなかったけど、腹の辺りが温かいから多分そこに丸まってるんだろうな、と思う。

そう思いながら少し身体をずらすと、手が髪に触れる。


「起きた?」
「…れーた、俺寝てた?」
「ちょっとな」


見上げるとさっきまで熱心に雑誌読んでたれいたが、目を細めて俺の顔を見下ろしながら優しい手つきで俺の頭を撫でた。

ちょっと寝てたからか、まだ意識が微睡んでて。
れいたのその手を掴んで指を絡める様に繋ぐ。


「疲れてんじゃねーの?ベッドで寝る?」
「や、平気」
「そー?晩飯どっか食いに行く?買い物行くのも面倒だし」
「あー、うん。コロンの散歩行ってから」
「そろそろ陽陰って来てるし、ちょうどいいかもな」
「うん」


多分れいたなりに気を使ってんだろうなーって思いながら、れいたの骨ばった指を指先で弄ぶ。
別に家事すんの嫌いじゃないからいいんだけどね。


「あ、ルキが寝てる間さー、コロンも一緒に寝てたんだけどさ」


そう言いながら、れいたは空いてる手で自分の携帯を操作して画面を見せて来る。
目を細めてその画像を見ると、コロンの寝姿。


「腹出して寝てんの、超可愛くね?」
「あー可愛い。マジ可愛いコロン」


腹出して、安心しきった顔で寝て。
癒しだね、かなり。


「で、これも超可愛く撮れたんだよなー」


そう機嫌良く言うれいたが携帯を操作して、次に見せられた画像は。

…まぁ、どっからどう見ても俺が寝てる顔ですね。

れいたの膝枕で寝て、れいたが上から写メったんだろうなって写真。
ご丁寧にコロンとの2ショット。
コロンは可愛い、マジで。


「盗撮ですよ、れいちゃん」
「恋人を写メるのは盗撮とは言いません」
「許可してねーから」
「俺の膝で寝る事が許可だろ」
「……」


笑って俺を見下ろすれいたは、携帯をラグの上に置いた。
ちょっとムカついて、握ったれいたの手ごと、れいたの太股を叩く。

固い。
この筋肉野郎。


そんな事をしてると、さすがに気配でコロンが起きて来た。
伸びをして、俺の顔付近に尻尾を振りながら近寄って来る。


「コロンもよく寝てたなー?」
「犬って結構寝るらしいしな」
「2人共可愛かったぜ。散歩行く?」
「ん、行く」


コロンを撫でて、肘を付いて起き上がる。
変な体勢で寝てたからか、身体の節々が痛かった。


首を回して、コロンを抱き上げて着替えとハーネスを取りに行く。


「れいた行かねーの」
「…行く、けど。ちょっと待って」
「何で」
「足痺れて今動けねーんだよ」
「え、どっちの足!?」
「うるせぇ近寄んなコラ!」
「ひでー!れいちゃん!」
「酷いのはお前だろ!うっれしそうな顔しやがって!」
「あははっ」


コロンを抱っこしたまま、足痺れても膝枕してくれた、愛しいダーリンの足を揉んで楽し、…治してやろうと思います。

別に写メの仕返しじゃねーよ?




20120721



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