テレビ出演/敏京
「京君ー起きてーもうお昼だよー」
「ん"ー…うっさい…死ね」
「酷くね!?今日来るって言ったじゃんかー起きてよ」
「…嫌。無理。眠い」
「やーだー。京君起きてくんなきゃやだ」
「………」
「ちょ、無視して寝ないで!」
「………」
また無視された!
何だよ。
そんなに睡眠が大事かよ。
まぁ仕方無い。
京君ちだし京君起きなきゃつまんないし、俺も一緒に寝よ。
そう思って、京君が丸まって寝てる隣に身体を滑り込ませる。
「…何入って来とんねん」
「俺も寝る」
「あっそ。なら僕起きるわ」
「………」
……何か俺って愛されてなくね?
まぁいいや。
京君起きるなら起きるし。
身体を起こした京君と向かい合う様に身体を起こして、寝起きで不機嫌な顔にキスをする。
「朝からウザいですね敏弥さん」
「もうお昼ですよ京君」
「は。何か昼飯買って来たん?」
「うん。食べる?」
「食う。何があるん」
「んー…」
ボサボサの頭を掻きながらベッドから降りる京君を見送りながら、京君ちに来る前にコンビニで買った袋を引き寄せる。
弁当とかおにぎりとかサンドイッチとか飲み物とか適当に買って来たのをテーブルに並べると顔を洗った京君が隣に座った。
「どれ食べる?」
「んー…チキン南蛮弁当」
「はい」
「ん」
弁当のふたを開けながらボーッとしてる京君を見つめる。
寝呆けてる。
可愛い。
「あ、京君、ビデオ観よ」
「…えぇけど。何観るん」
「昨日のヤツ」
録画予約してたんだよねー。
家から持って来たビデオを取出し、京君ちのデッキにセットする。
片足立てて弁当箱を手に持って食ってる、京君の隣に腰を下ろす。
リモコンを操作すると、映し出される画面。
「これ…」
「うん、昨日放送されたMステ」
「…録画したん?」
「当たり前!」
「アホか…」
「いいじゃん。京君がテレビに映ってるもん。録画するだろ」
「自分やって映っとるやん」
「あぁ、うん。俺テレビ映りいいよね」
「キモい事言わんといてや」
白い衣裳で、赤髪の京君。
隣にいるのと同一人物なのに、テレビ放送で映ってるのを観ると違う人物に見える。
取り敢えず、他は興味無いから自分のバンドんトコまで早送り。
「お前悪趣味やな。こんなん観てどないするん」
「えーよくない?」
「嫌やし。待ち時間は長いし、えぇ事無かったし」
「あー…確かにそれはねー…」
画面から目を離さず、お互いダラダラと話をしながら俺も買って来たハンバーグ弁当を食べ始める。
トーク中。
京君の唇がキラキラしてる。
いいよね、アレ。
キスしたい。
「…やっぱおもろないやん」
「えー?」
「つーか、嫌やねんけど。この女とか。こんな女が、敏弥見とるとかありえん」
「あぁ、髪型の話の?でも別に似てなくね?」
「自分を持っとらんヤツが嫌やねん。自分で曲も作れん、髪型も真似ってどう言う事なん」
「あぁ…」
京君の言いたい事がわかって、納得。
ちょっと残念。
嫉妬してくれたのかなって思ったのに。
あらかた食べ終えた弁当箱をテーブルに置きながら、何だかんだで歌に入ると真剣に見る。
予感を短くしたバージョン。
京君大好きな俺としては、いつも後ろから見てる京君が見れて嬉しいけど、京君は不満みたいで。
「チッ。何やねんコレ。何で僕の顔ばっか映すん最悪や」
「バンド全体はあんま映って無いもんねぇ…」
「ホンマ嫌やわ。アイドルちゃうねんで」
「あー…御免、やっぱ観るの嫌だった?」
イラつかせたかったワケじゃねぇし。
ダメだったかなぁ…。
「うん、嫌や」
「御免ね?」
「何で敏弥が謝るん」
「観せたの俺だし」
「謝るぐらいなら最初からすんな」
「…うん」
画面ん中では歌も終わって。
他はつまんないから停止を押してテレビに切り替える。
弁当も食べ終わって、烏龍茶を飲む京君。
「京君ー機嫌直して?」
「……」
「ね?」
「別に悪ないし」
「ホント?ホントに?」
「しつこいで。ウザい」
やっぱ悪いじゃん!
いや、口悪いのはいつもの事か。
「京君ー」
「なん。暑苦しい」
抱き締めてみたら、口では嫌がってるけど、振り払われ無いからそのまま。
「仕事、だけど自由にならないのは嫌だよね」
「……」
「それは仕事上の話で。京君大好きの俺としては、画面上でいつもと違う京君が見えるのは、嬉しい」
「……そう言う意味で言うなら、トークも歌も、僕にとったらおもろない話やん」
「…え?」
「別に何でも無い」
京君の言ってる事を吸い病後理解して、思わず笑みが零れる。
まぁ俺、あんま映ってねぇから。
可愛い事言うなぁ…可愛い。
「やっぱ京君大好き」
「うん。いつまでくっついとん離れぇや」
「やですー」
「はぁ…」
あ、溜め息吐かれた。
でも可愛い事言ってくれたから、またビデオに録ろ。
終
20090127
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