続・意見不一致/京流
お前はどこその職人か。
何や仕事から帰って来たら、るきがまた何かしとった。
前に餃子手作りしたんに何かに目覚めたらしいん。
何かキッチンが凄い事になっとる…アレやで。
そんな手作りとかするつもりや無かったからキッチンはある意味綺麗なままやったのに、今やるきの手によってすっかり生活臭満載になってもた。
何でもえぇけど、何か…仕事から疲れて帰って来たら必死に何か作りよるるき見たら余計疲れた気ぃする…今度は何作るん…。
「あ、京さんお帰りなさい」
「ん。なぁ、何しとん」
「うどん」
「は?」
「うどんの作り方レシピ見つけたんで、うどん作ってるんです」
「はぁ…」
でも何でそんなビニール袋に入っとる白い物体踏んどん…。
え、るきに足蹴にされた物体食わなアカンの?
「…何でそんなん作るん。買った方が簡単やん」
「作った方が美味しいんですって!!」
と言うか晩ご飯にうどんかい。
餃子と言い粉モンばっかやな。
るきも僕より帰りが早いとは言え、仕事やったのに元気な奴やなぁ…。
ある意味感心しながら、一生懸命白い物体を踏むるきの横を擦り抜けて冷蔵庫から烏龍茶を取り出す。
何か見よったら余計疲れそうやから、そのままリビングのソファに座ってテレビをつける。
いつ晩飯出来んねやろ。
何かるきに台所任せるんが、この先不安になってきた気ぃする。
暫らくボーッとテレビ見よったら、何やえぇ匂いして来た。
「京さん!出来ました!」
「あー…」
それと同時に、るきのアホな声に呼ばれてのそのそとキッチンへ迎う。
あれだけ荒れてたキッチンは綺麗に片付けられて、テーブルには器だけやった。
コイツが綺麗好きでよかったわ。
「今日は肉うどんです!」
「や、肉っちゅーか…」
うどんが見えん程、肉とワカメと油揚げ?と卵がびっしり…具、入れ過ぎちゃう?
「何かうどん均等に切るの難しかったんで歪んだ形ですけど…味は美味しいと思いますよ!」
「ふーん」
「京さん七味いります?」
「いる」
るきから七味を受け取って、適当にかける。
まぁ見た目は具多いけど、美味しそうな匂いはするし。
そう思って箸を取り、一口食べる。
………。
…うん。
「何やねんコレ!味濃すぎるやろ!!」
「え?何でですか?普通にうどんスープの素と醤油っすよ?」
「醤油!?」
醤油って何やねん!
うわ、よくスープ見たら…。
「ちょ、めっちゃスープ黒いんやけど!普通スープは狐色で甘いモンやろ」
「え、これが普通ですけど…」
「嘘やん。うどんにスープの色が移っとる…何コレ…」
「えー…?あぁ、もしかして関西のスープと関東のスープの味の違いってヤツですか?」
「あぁ?何かちゃうん?」
「京さん…長年東京に住んでて、うどん食べなかったんですか?」
「うどんや食べに行かんし」
「……関東のうどんは味濃いっすよ」
はぁー…。
それでもコレは味濃すぎやろ…何かある意味ショック受けたわ。
「…美味しくないですか?他何か作りましょうか?」
ちょっとうどんを箸で摘んでスープの色が移っとるうどんを見つめとると、るきがめっちゃ心配そうな顔してこっち見て来た。
何なんその顔。
いや好きやけど。
可哀相になって来るやん。
「…別にいけるし。食い物粗末にしたらアカンやろ」
「スミマセン…京都の味…勉強しておきますから…」
「うん」
あからさまに落ち込むるき。
ほんまコイツに台所任せていけるんやろか…。
「………うどんは美味しいで」
るきの手作りやから。
「ッはい、有難う御座居ます」
うん、単純な奴。
一応食ったけど、ほんま味濃すぎる。
めっちゃ喉渇くし。
今更ながらコイツとも知らん事っていっぱいあるんやな。
終
20090122
[ 34/500 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]