「で、何で俺らが部屋の掃除担当なんでィ」

「仕方ないでしょ、くじで決まったんだから」

私たちは、汚い部屋の中にいた。

「一番手をつけたくない場所でさァ」

「便所よりマシじゃない」

そーごが渋々と部屋の中に入った。
ここは、密偵の部屋。
辺りに散らかっている、服などを足で蹴散らしている。


「あー、もう!片付けるのに、汚してどうすんの!」

「汚いヤロー共の服なんて、触りたくありやせん」

そのそーごのやり切れない様子に私は一喝入れた。

背中をバシッと一発叩く。


「いって…!」

「そーご、私の立場になってみてよ!女なのに男の部屋の掃除しなきゃいけないんだよ?ほら、もうすぐそこに袴が転がってる!私はそれらを処理しなきゃいけないんだよ?分かるか、この屈辱が!私の部屋はあんな綺麗なのに、くじで男子便を引いてそれだけは勘弁って土下座したらこの様よ!」

いっきに話したせいで、息が上がった。
そーごは、しばらく私を無言で見つめ小さく笑った。

「悪かったねィ、菜々。よし、俺は要らないものを捨てるからお前は服を拾え。いいな?」

「それ、普通逆じゃね?」

「さぁー、始めるかィ」

「いや、聞こうよ。ねえ、そーご」

そーごは全く無視をして、落ちていた袴を投げつけてきた。


「ねぇ、そ、うわっ!!」

顔に当たったものを確認し、私はその汚物を投げ返した。


「そーごぉぉぉぉっ!!」


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