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「きゃー!!!!!!!!!」
屯所に響いた女中の叫び声に、部屋にいた土方はため息とともに呟いた。
「はぁ…………またか……」
今月、これで何度目だろうか……
そんな事を思いながら、土方が山積みの書類から目を離しぼんやりと考えていると、慌ただしい足音とともに自室の障子が勢いよく開いた。
「ひ、土方さんっ!!き、ききき聞いてくださーい!!」
そして、このパターンも何度目だろうか……
土方は本日二回目のため息をはくと、呆れたように菜々に言った。
「……はぁ…今日は何だ?」
「それがですね!!沖田隊長がっ!!!」
土方の言葉を聞いた菜々は一息で一気に説明をする。
略して言うと、
「洗濯物を干している時に総悟が蝉の抜け殻を服に引っ付けた……と?」
「ち、違います!!蝉が抜けている最中の物です!!……と、鳥肌がっ……」
思い出して体を震わせる菜々を見て、土方は頭をかく。
「総悟の奴、毎度毎度……ガキみてぇに。ってかお前ら、付き合ってんだろーが。いつまでそんな付き合う前にあるような事をするつもりだ?」
「知りませんよ…私、される方なんですからっ!」
すると、土方は開いたままの障子をちらりと見て呆れたように声をかけた。
「………おい、総悟。そろそろやめたらどうだ。」
「……え?」
菜々が、土方の見る方向に目を向ければ、開きっぱなしの障子にもたれ掛かる沖田の姿があった。
「うるせー、土方の癖に。菜々は返してもらいやすぜ。」
その言葉に土方も言い返した。
「返すも何も、奪ってなんかねーだろ。」
「はっ、どうだかねィ。菜々、こっちに来なせェ。」
「え?た、隊長!?」
そう言うと、沖田は菜々の腕を掴み無理やり立たせ、引っ張っていった。
土方は、その様子を黙って見送ると、さみしく呟いた。
「障子、閉めていけよコノヤロー………」
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