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舌出して嘲笑え
▼こたつって最高だと思うわけ
寒い冬はこたつに限る、そんな持論を掲げる山野は屯所の広間にあるこたつに体を潜らせながらカチャカチャと手元を動かしていた

「おーわった………っ冷た!?」

突然感じた冷たい何かに思わず叫んだ山野はそのままこたつから体を起こし、自分に冷気を与えたであろう人物を確認し、文句を投げた

「沖田冷たいわ」

「外寒いんでさぁ…一人でぬくぬくなんぞズリィじゃねーの山野よぉ」

冷たい足をわざとくっ付けてくる沖田に足で対抗するせいでこたつがガタガタと揺れる
気がすんだのか山野の足に絡むのを止めた沖田に山野もまたゴロリと体を横たえ、ゲームの電源を落とした

「なーにさ、今日は何やるよん…一狩り行くー?それとも土管工事のおっさんでぱーりぃするー?」
「あれだィあれ…大乱闘」

「おーけー…あ、沖田電源入れてよん」

沖田のが言葉を聞いた山野はそれまでやっていたゲーム機をこたつの上に置いたままもぞもぞと動きながら棚から新しくコントローラーを取り出した



「くっそ死ね」
「ふざけんなお前が死ね」

口が悪くなるのはいつものこと
画面に集中しながら画面内でもこたつの中でも互いを攻撃しあう山野と沖田がいる部屋の近くから段々と騒がしい声が近付いていた

「おい山野…今のは無しだろ!」

「総悟ー爽ーいるかー」

「無しはなーしだよん…って、待て、待って!それだめ駄目だってっ!!…あああぁぁぁぁぁ」

「今日から新しく女中が入ることになった」

「ハッ…山野のくせに生意気なんでぃ」

「ねぇ無視ィィィィィ!?無視なの?反抗期なのか!?山野?総悟??」

「…今のところ俺のが勝率高いんだぞコノヤロー」

「聞こえてる?聞こえてる上で無視してんの??なんなのコイツらァァァァ」
「山野ー総悟ー…近藤さん泣き始めたぞ」

「次山野プリんな、俺ビカチュウ使うから」
「え、俺あれ苦手なんだけど」
「強制でぃ」

「聞けやコノヤロォォぉぉぉぉ!!」

「うるさいよん雑魚キャラ」
「リアルで大乱闘してやろうか」

「なんなのコイツら!!?」

途中から紛れ込んできた声の主にやっと目をやった二人に、それまで騒ぎ立ててた近藤と土方はため息をつく。

「何のようですかお二方、俺も沖田も今日は非番ですよん」
「つまんねー用で大乱闘の邪魔したんならアンタらと大乱闘しやすぜ」

「いつからこんな子に育ったの!?勲はそんな子に育てた覚えないわよ!?」
「近藤さんは育ててないだろ……今日から新しく女中雇うことになったから挨拶がてら紹介してるだけだ」

再び泣き始めた近藤の横で煙を吐き出しながらそう言った土方、その二人に隠れるように立っていた女性の姿に山野と沖田は目を瞬かせた

「へぇ…」
「ほー…」

「くそアマ拾ってなんつーだらしない面見せてんだコイツら」
「すっごい可愛い子だから手出しちゃ駄目だからね!!…って、え?今なんか言った二人とも?」

山野と沖田が重なって呟いた言葉は近藤の耳には入らなかった。不思議そうな顔で見返してくる近藤に対してヘラッと笑った山野が一度だけ沖田と目を合わせてから口を開いた

「なーんも言ってないよん近藤さん…ゲーム途中なんでそろそろいいっすか?」
「そうか!突然悪かったな…」
「あ、あの…」
「沖田いいよん」

ゲームを再開した二人の声に挟まるように近藤らが連れてきた女性が声をかけるが聞こえないのか聞いていないのか、山野も沖田も気にせずにゲームを続ける
「ね、ねぇ!」
「おー…よっしそのまま落ちやがれ」
「お前が落ちろ…っと危ねっ!?」

二人の冷たい対応に固く掌を握りながらも大きく息を吸ってから声を出した女性は勇気があると言えよう

「あの!!!」

「うるせェんでさァ」
「ゲームの邪魔はするべからず…この部屋のルールだよん」

前髪から覗く二人の目は思いの外冷めていた。一度口ごもった

「ぁ…すみません、ご挨拶だけでもさせて頂こうかと思って。神無月麻里と申します、明日からお世話になります」

その声に返ってくる反応はなく、土方がため息を吐きながら注意すると憎たらしい反応だけが返ってくる。
異様に冷めた空気の室内とは反対に軽快なBGMがテレビからは流れ続ける。ゲーム画面に集中して話を聞かない二人を置いて、近藤たちは女性…麻里を引き連れて去っていった


「なんでィあれ」
「分からん」

開いた襖を閉める寸前、見えた三人の後ろ姿。それは麻里を囲むように立つ近藤と土方だった