文 | ナノ

「よろしくな、奈之助!」




ぽん、と頭をなでられた。伊作先輩の紹介で組むことになった6年生。楠絢蒔先輩。
正直、あまり話をしたことはなかった。ただ、伊作先輩とふざけあって遊んでいる姿はよく見かけたから、仲良しなんだろうとは思っていた。

混合ダブルスサバイバルオリエンテーリング。他学年とペアを組んで各ポイントを通過しながらゴールを目指すサバイバルレースだ。実は今年はこれで3回目の開催となる。いままでは各ポイントにいる先生からハンコをもらっていたのだが、また学園長が突如思いついたらしく今回は各ポイントに置いてある旗を貰ってくるというルールに変更されたようだ。

学園を出て、まずは第1ポイントを目指す。地図を見るふりをしてちらりと先輩を見ると、口笛を吹きながら悠々と歩いていた。

いったい何を話したらいいんだろうか。
俺の3歩が先輩の2歩。ゆっくり歩いているから早足になる必要はまったくないのだが、今はむしろ早くポイントに辿り着きたかった。


「奈之助、なの!!」
「はい?うわぁっ!!!!」

いきなり呼ばれて顔をあげると、目の前に楠先輩のドアップ。しかも、変顔の。

「あっははははびっくりしたかー?」

驚きでドキドキと鳴る心臓を抑える。まったくもってこの先輩は。

でも。
さっきより緊張がほぐれたのは事実で。

「第1ポイントはもうすぐですよ先輩。行きましょう。」
「ああ!」



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