文 | ナノ

小松騏太之助12歳。忍術学園の3年生だ。
今俺が何してるかっていうと、ついさっき学園全体に配られたお知らせの紙を見ている。

「ついに今年も来たぜ!今年こそ優勝……したいんだけど、どうしたもんかなー。」

紙にはでかでかと『混合ダブルスサバイバルオリエンテーリング』と書かれている。もとは学園長の思いつきだったらしいが、なんだかんだで毎年やってるうちに恒例行事になったらしい。ただ、やはり日程は学園長の思いつきなのでその年によっては2、3回行われる時もあったようだ。
3年生にあがって最初のオリエンテーリング。1年、2年とおしいとこまでいったのに優勝できなかったので、今年こそは優勝してみたいものである。

「今年は誰と組むかなー。去年まで組んでくれてた滝先輩は卒業しちまったし。」

なんとしても明日の開始時刻までにペアを見つけなければならない。上級生と組んだ方が圧倒的に有利であるが、うかつに次屋先輩と組んで迷子になりたくはない。

「やっぱしろ先輩かなー。いやでも金吾先輩も4年にしちゃ強いしなー。」

プリントを見つめながらうんうん唸る。
とりあえず誰か上級生のいるところに行こうと食堂に入ったところで、見知った後ろ姿を見つけた。

「たーだっ!!」
「うわっ騏太之助!?いきなりなにすんだ離れろ!」

同級で同室の忠之進の背中に思いきりダイブ。うっかり俺の勢いが強すぎたのかただ忠が不運なだけなのか、忠の額が食堂のテーブルにぶつかる鈍い音がした。


「やぁ騏太之助。」

忠の向かいに座っていた6年生が挨拶してくれる。

「なの先輩、こんちはーっス!」

忠の隣に座りながら、島松奈之助先輩に挨拶。いつ会っても穏やかな先輩で、忠のちょっとした不運くらいは見慣れている様子だった。

「なの先輩と何話してたんだ?」
「明日のオリエンテーリング、奈之助先輩と組んでもらうことになったんだよ。奈之助先輩は優勝経験があるらしいから、その体験談でも聞こうとしてたところだ。」
「え、嘘!先輩優勝したことあるんスか!?えー知らなかった!!」
「とは言っても3年生の頃の話だよ。ほとんど組んだ上級生のおかげだ。」
「3年生ってったら俺らと同い年じゃないスか!えーいいなー俺も聞きたい聞かせて下さい!!」

俺が迫り忠が目を輝かせると、なの先輩は少し眉を下げて微笑んで、静かに口を開いた。


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